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日本の火山災害 [地震・火山・地質]

9月27日(土)

日本の火山災害について調べてみた。

明治初年(1868年)以降で、死者+行方不明の合計10人以上。
477人 1888(明治21) 磐梯山  山体崩壊による岩屑なだれで村落埋没
144人 1914(大正3) 十勝岳  岩屑なだれ、融雪型火山泥流
125人 1902(明治35) 伊豆鳥島  島民全滅
 72人 1900(明治33) 安達太良山 水蒸気爆発にともなう火砕サージで硫黄採掘所が全壊
 59人 1914(大正3) 桜島  噴火・地震(大正大噴火)
 43人 1991(平成3) 雲仙普賢岳  火砕流、消防団、火山研究者、報道関係者など殉職
 31人 1952(昭和27) 明神礁海底噴火  観測船第5海洋丸遭難、全員殉職
 12人 1958(昭和33) 阿蘇山  噴石
 11人 1940(昭和15) 伊豆三宅島  火山弾、溶岩流など

江戸時代までさかのぼると、
1467人 1741(寛保元) 渡島大島  山体崩壊による岩屑なだれが海に入り津波
1151人 1783(天明3) 浅間山  火砕流、溶岩流、吾妻川・利根川洪水(天明の大噴火)
とか、
約15000人 1792(寛政4) 雲仙岳  山体崩壊による岩屑なだれが海に入り大津波(島原大変肥後迷惑)
など、文字通り桁違いの火山災害がある。

今回の木曽御嶽山の噴火は、噴火の規模はそれほどではないが 、紅葉の季節、好天気の土曜日の昼頃、近年の登山ブームということで、山頂付近に多数の登山者がいたことが不幸だった。
犠牲者の数がこのリストに載るレベルにならないことを願っている。

木曽御嶽山が噴火、火砕流も発生 [地震・火山・地質]

9月27日(土)
11時53分頃、長野・岐阜県境の木曽御嶽山が噴火。
噴火警戒レベルは1(平常)で、しかもお天気が良い土曜日のため、山頂を目指す登山者が多数。
噴石が飛散しただけでなく、火砕流も発生。
小規模でも火砕流に巻き込まれたらまず助からない。
登山者の安否が気がかりだが、ともかく早く下山すること。
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↑ 噴火の瞬間をとらえた登山者の写真。
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状況的にかなり危険。
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↑ これ小規模ながら、間違いなく火砕流。
この中に登山者がいないことを願う。
pic.twitter.com/mobJ2mqhNh
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↑ 火山灰の中を避難する登山者。
pic.twitter.com/DRa2onaXZO

木曽御嶽山(3067m)は、日本では富士山に次ぐ標高の火山。
爆裂カルデラをもつ複式成層火山で、東日本火山帯の西端に位置する。
最近1万年間で4回のマグマ噴火と12回の水蒸気爆発を起こしたことが判っている。
1979年に約5000年にぶりに噴火。
この時もほとんど無警戒だった。
その後、1991年と2007年に小噴火しているが、今回の噴火はそれより大きく、1979年並になるかも。
今回も完全な不意打ち。
噴火してから「入山規制(警戒レベル3)」にしても遅い。
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↑ 噴煙を上げる御嶽山。右奥、遠くに富士山。
27日14時34分、共同通信社機から。
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↑ 山頂南側に3~4個の火口が開き、盛大に噴煙を上げている。
27日午後2時13分、朝日新聞のヘリコプターから。

【追記(15時半)】
山頂付近に多数の登山者が取り残されている模様。
怪我人(含、重傷者)も出ている。
噴火が続いている状況では、麓から上って助けに行くことも、山岳救助ペリコプターを飛ばすことも、二重遭難のリスクが高すぎて無理。
あとは、自衛隊の出動だが・・・。
ともかく、とてもまずい状況。

【追記(17時半)】
『朝日新聞』の最新情報によると、16時現在、意識不明7人、重症7人。
さらに増加する状勢。

【追記(19時)】
夕方のニュース、とくに別目的の取材班が偶然に噴火を撮影したNHKニュースなどを見ると、噴出物の主体は火山灰で、マグマ起源の物質(本質物)はほとんど出ていないように見える。
また暗くなっても、噴煙にマグマの熱が映える「火映」現象も観測されていないので、マグマは地上近くにまでは上がってきていない気がする。
マグマ水蒸気爆発ではなく、水蒸気爆発のように見える。

【追記(21時)】
長野県木曽広域消防本部の集計で、山小屋に取り残されている人41人、大怪我32人、その内、意識不明10人以上。
これは山小屋に収容されている登山者の把握で、山頂付近にどれだけの人が倒れているかはわからない。
近年の火山災害としては、1991年6月3日の雲仙普賢岳(長崎県)の大規模火災流(死者・行方不明43名)以来の被害になる可能性大。

【追記(28日1時)】
火山専門家の早川由紀夫先生のマップによると、火砕流は南側に流下した模様。
この方向には登山道はないので、大勢が巻き込まれた可能性は少ないと思う。
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↑ 火砕流の写真(滝越地点の固定カメラ)
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↑ 早川由紀夫先生(群馬大学)による概略図。

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御岳山が噴火、けが人多数 岐阜・長野県境、火砕流も
気象庁は27日、長野と岐阜の県境にある御岳山(標高3067メートル)が噴火した、と発表した。同庁によると、噴火は2007年以来。同庁は警戒レベルを入山規制のレベル3とした。長野県庁によると、飛んできた岩に当たって1人がけがをした。けがの程度は不明。同県王滝村などによると、複数の人が足などにけがをしているという。地元の消防によると、けが人が多数出ている。

気象庁によると、27日午前11時53分ごろに発生。国土交通省中部地方整備局が設置しているカメラでは、南側斜面を噴煙が3キロ以上流れ下りている様子が観測されているという。同庁は、噴火警戒レベルを1(平常)から3(入山規制)に引き上げ、山頂付近から周囲4キロ程度の範囲で、噴火に伴う噴石の飛散などへの警戒を呼びかけている。

群馬大の早川由紀夫教授(火山学)は「火砕流が下の方まで下っているようだ。天気がよく、登山者がいたようなので心配だ」と話した
『朝日新聞』2014年9月27日14時25分
http://www.asahi.com/articles/ASG9W4CDNG9WUTIL00B.html?iref=comtop_6_01
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噴火 山頂に150人超取り残される
◇剣ケ峰付近には100人以上

長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(3067メートル)の27日の噴火で、長野県警の災害警備本部は同日午後2時20分の時点で山頂に約150人以上、剣ケ峰付近に100人以上が取り残されていると発表した。4人が灰に埋まっているとの情報があるという。

一方、木曽広域消防本部は、山頂付近の山小屋の経営者らの話として、同日午後2時現在、救援を待っている登山客のうち、1人は足の切断が必要とみられるほどの重傷としている。ほかに7人がけがをしているという。

長野県警の災害警備本部によると、御嶽山上空は、約1キロまで噴煙が上がっている状況が確認された。【巽賢司、福富智】
『毎日新聞』 2014年09月27日 15時05分
http://mainichi.jp/select/news/20140927k0000e040290000c.html

同性愛の再病理化が現実の問題に? [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

9月27日(土)

隣村(同性愛の世界)の話だけど、これはちょっと見逃せない。

「LGBT当事者の声をもっと聞きたい」――国会議員へのLGBT施策インタビュー
明智カイト氏による自民党の牧島かれん衆院議員のインタビュー。
http://synodos.jp/politics/10850

後半の「今後の取り組みについてどのように考えていますか?」という明智氏の質問に対する牧島議員の答えの一部。

「同性愛はまだまだ「趣味の世界」だと思われていて偏見があります。同性愛に関して医学的な証明が必要です。これからも周囲の議員たちに理解をしてもらえるように働きかけを続けていきます。」
はっきり同性愛へ医学が介入する方向性を出している。

同性愛の再病理化については、今までもいろいろ話はあったが、そのほとんどは冗談的な文脈だった。
しかし、「自民党で最もLGBTに理解がある」議員さんが「同性愛に関して医学的な証明が必要です」と言い切った以上、もう冗談ではなく現実の問題と考えた方がいい。

同性愛の非病理化は、欧米のゲイ、レズビアンが命がけで戦った結果、やっと獲得した成果であること。
欧米を中心に人権を尊重するに先進国においては、同性愛が病理ではなく、その人の生き方であることは、もう常識であり、したがって再病理化=同性愛者への人権侵害と受け取られること。
いちばん非病理化が遅れているトランスジェンダーでさえも、脱精神疾患化は世界的な潮流であること。
こうしたことを、「自民党で最もLGBTに理解がある」議員さんは、認識していないのだろうか?

そして、こうした問題発言に対して、何も突っ込まないインタビュアーにも首を傾げざるを得ない。

「よかったですね、病気だって認めめられて」
「性同一性障害」概念の「大流行」以降、私のような病理化を拒否するトランスジェンダーがさんざん言われてきたことを、多くの同性愛者が言われる時代が来るかもしれない。
同性愛者の皆さん、ほんとうにそれでいいのですか?

【追記(27日22時)】
結局、医学的な根拠(疾患認定)を与えられ、その「お墨付き」を基に社会的な認知を得ることで、医療福祉の対象となり当事者のQOLの向上につなげ、さらに政治家を動かして「病理を前提にした戸籍の性別変更法(GID特例法)」を実現した「性同一性障害」を「成功例」と見るかどうかだと思う。
「成功例」と見るならば、それと同じ手法を取ろうとする同性愛の当事者や、そうした路線で同性愛者が抱える問題を解決しようとする政治家が出てくることは、当然、予想される。
たとえば、同性愛を再病理化して、医者に「同性愛である」という診断書を与えられた者だけが、同性婚を認められる、という形。
そうした路線を支持し推進するか、あるいは拒絶するかは、「隣村」(同性愛)の人たちが決めることだ。
ただ、病理化路線をとった場合、欧米の仲間たちの嘲笑をあびることは覚悟しないといけない。

【追記(29日13時)】
同性愛の病理化問題、元のインタビュー記事(シノドス)に訂正が入った。
「同性愛に関して医学的な証明が必要です」を消して、「『同性愛は病気ではない』という証明のための発言でしたが、誤解を招く表現でしたので訂正いたします」という編集部註が入った。
では、なぜ今さら「同性愛は病気ではない」という証明をしなければいけないのか?
同性愛が病気でないことはWHO(世界保健機構)が20年前に認めていること。
改めて証明する必要はないし、証明不能である可能性が高い。
やっぱり、この議員さんもインタビュアーも、問題の本質的な部分がわかっていない。

9月26日(金)高麗「巾着田」に曼珠沙華を見に行く [お出掛け・お遊び]

9月25日(木)  晴れ   所沢   27.9度
秋晴れの一日、仲良しのおゆうちゃんと、高麗の巾着田(埼玉県日高市)に曼珠沙華を見に行ってきた。
高麗は渡来人の里。
元正天皇の霊亀2年(716)5月、駿河、甲斐、相模、上総、下総、常陸、下野など7ヶ国に居住していた高句麗からの渡来民1799人を、この地に移して武蔵國入間郡を割いて高麗郡を立ててから今年がちょうど1300年。
私が高麗の里に来たのは、高麗王若光の末裔を称する一族が祭祀している「高麗神社」に拓本の調査に来て以来だから30年ぶりくらい(帰省のときに毎回通過してるのに・・・)。
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駅から細い田舎道を歩いて行くと、高麗川を渡る橋(鹿台橋)に出て、こんなのどかな景色が現れる。
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遠くに赤いものが見える。
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この場所は、高麗川(入間川の支流)が大蛇行している場所で、川に囲まれた土地(昔は田圃)の形が口を絞った巾着のように見えることから「巾着田」の名がある。
今風に言えば、Ω(オメガ)形と言った方が通りがいいかも。
特異な河川地形としては昔から知られていて、私も少年の頃、訪れたことがある。
ただ、その頃は、まだ一般に知られた観光地ではなかった。
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ところが、昭和40年代後半に当時の日高町が耕作が放棄された巾着田の用地を取得し、藪や竹、芦などに覆われていた土地を整地したところ、ヒガンバナがたくさん咲くようになった。
川の増水で流れ着いた球根が根付いて繁殖したものと思われる。
現在は秋の彼岸の前後に約500万本のヒガンバナが花開く日本一の大群生地になっている。(以上、パンフレットから)。
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観光地として有名になったのは、たぶん10年くらい前からだと思う。
2005年頃からは、ヒガンバナが花開く9月のこの時期に限り、最寄りの高麗駅に特急レッドアロー号が臨時停車するようになり、都心からのアクセスが向上した。
今日、私たちも西武池袋駅11時30分発の特急「ちちぶ13号」に乗ってきたが、乗車時間はわずか47分だった。

ヒガンバナは、手前のエリアが早咲き群生地、奥のエリアは遅咲き群生地とのことで、今年は開花が早めで、遅咲きエリアがまさに花盛りだった。
見事は見事なのだが、私のイメージとはちょっと違った。
私のヒガンバナのイメージは田圃の畔や土手など空が開けている場所に咲いているものだった。
ところが、ここではほとんどが雑木林の中、木の下に咲いている。
だから、今日のように日差しが強いと、写真撮った時に、木の間から日が差している場所と木陰の場所で色が変わってしまう。
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川はすぐ脇を流れているので、ヒガンバナと川をいっしょに写せるポイントも多い。
ただし、やはり露出が難しい。
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ところで、ヒガンバナだが、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)という異名はサンスクリット語の manjusaka(マンジュシャカ) の音写。
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日本の在来植物ではなく渡来植物。
その証拠に、人里近くにしか生えない。
おそらく水田稲作の渡来とともに、中国江南地方から渡ってきたのだろう。
おもしろいのことに、日本に存在するヒガンバナは全て遺伝的に同一で、大陸から渡ってきた1株の球根(正確には鱗茎)の子孫らしい。
三倍体であるため種子で増えることはできないので、人為的に株分けしていった結果と思われる。
なぜ、稲作農耕民がヒガンバナを増やしていったというと、球根にアルカロイド毒性があるため、田圃の畔に植えておくと、鼠やモグラなどの田を荒らす動物や虫が寄り付かなくなるためという。

また、ヒガンバナは列を作って咲く性質があるようで、面的に咲いているように見えるここでも、その様子は観察できた。
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白いヒガンバナは、群生地ではごくわずかで、ほとんどないに近い。
この土手だけは、少しまとまって白が咲いていた。
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見上げれば、雑木林の樹間から秋の青空。
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1周して、少し足が疲れたし、お腹も減った。
早咲きエリアと遅咲きエリアの中間にある「ふれあい広場」に戻って、いろいろ出ているお店から、おいしそうな物を選ぶ。
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迷った末に「肉豆腐丼」(500円)。
ご飯の上にかなりの量のお豆腐を乗せて、その上に豚肉やしらたきを煮込んだお汁を掛けたもの。
「肉豆腐」のイメージがちょっと違ったが、なかなかおいしかった。
お豆腐、こういう食べ方もあるのかと納得。

遅目のお昼ご飯を食べ終えた頃、少し日が陰って、撮影条件が良くなったので、群生地に戻って撮影。
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↑ おゆうちゃんは、緑基調の変わり亀甲柄の銘仙の着物。
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ヒガンバナは背が低いので、腰掛けたり、屈んだりしないと、なかなかいっしょに写らない。
いろいろ構図に苦労する。
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↑ 私の着物は、ヒガンバナの赤との映りを考えて、黒地に深緑の大矢絣の伊勢崎銘仙。
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↑ 結局、いつものハイアングル自撮りが好結果。
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↑ 久しぶりのツーショット。

川の方に行ってみる。
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↑ 土手の傾斜を使って、やっと背景が真っ赤な写真が撮れた。
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↑ 着物で川の中に入っていく人は珍しい。
何をしてるのだろう? お魚を狙っているのか?
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↑ 私も川をバックに撮影。

少し離れた所にあるコスモス畑に行ってみる。
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↑ 草原をこういうお姐さんが歩いているというのも珍しい。
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↑ コスモスの柄の羽織を着て、コスモス畑で写真を撮りたかったそうな。
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↑ 残念ながらまだコスモスの花は盛り前で密度が今ひとつ。
羽織の方が勝っちゃった。
P1120453 (3).jpgせっかくなので私もコスモス畑で1枚。

ああ、よく遊んだ。
足も疲れた。
ということで、高麗駅に戻る。
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↑ 途中の売店にいたコマノサトネコ。
高麗王若光の愛猫の子孫。
高句麗から日本に渡来して1300年、独自の進化をとげた貴重種(←ただのグタ猫にゃ)。
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↑ 「水天」さまの石塔。

久しぶりのおゆうちゃんとの遠出、お天気にもお花にも恵まれ、楽しかった。