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9月29日(金)古書店から届いた『りべらる』の整理 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

9月29日(金)

古書店に大量発注した『りべらる』が次々に届き(合計2冊冊)、その整理に追われる。

簡易補修した後、基本データをリストに入力。


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『読売新聞』文化欄「思潮」の「私の3編」に [お仕事(執筆・成果)]

9月28日(木)

『中央公論』2023年10月号に寄稿した論考「LGBT「活動家」と一般当事者はなぜ乖離したのか」が、『読売新聞』2023年9月28日朝刊の文化欄「思潮」掲載の牧原出・東京大学教授(行政学・政治学)の「私の3編」に取り上げられた。
20230928読売新聞.jpg

ほとんど誰も読んでくれなかった論考だが、世の中、ちゃんと見ていてくれる人はいるのだ、ということがわかって、うれしい。



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「GID特例法」生殖機能喪失要件についての家事審判 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月28日(木)

27日に最高裁で弁論が開かれた「GID特例法」生殖機能喪失要件についての家事審判、私の予想は、「違憲」の少数意見付き「合憲」判断だったが、ちょっと感触が変わってきた。

それでも、いきなりの「違憲」判断は、あまりに社会的影響が大きすぎるので、ないと思う。
(「違憲」の場合、その条文は即時に機能を失う)

しかし、「違憲状態」判断で、立法府に法改正を要請する可能性は出てきたと思う。

その場合、生殖機能喪失要件を削除するだけでは済まないだろう。

そもそも、法律名の「性同一性障害」はすでに国際的な疾病マニュアルには存在しないし、性別の移行を望むことは疾患(disoder)でなくなった。
(「性同一性障害」の実質的な後継概念である「性別不合」は「疾患」ではなく「状態(condition)」)

そうした変化を踏まえるならば、現行の「GID特例法」の、精神科医が法律の対象である「性同一性障害者」を診断により選定する枠組み(病理モデル)は成り立たないのは明らかだ。

しかし、いっさい制約なく届け出だけで性別変更ができるシステム(アルゼンチン方式)は、法制度の乱用による社会的混乱が懸念される。

やはり、何らかの「歯止め」(gate keeper)が必要だと思う。

これまでは精神科医がgate keeperを務めてきたわけだが、家庭裁判所が担うのが本来だと思う。

その際、判断の基準になるのは、RLE(Real Life Experience)だろう。

戸籍の性別の変更を望む者は、まずRLEを行うことを家裁に届け出る。
その上で、一定期間、望みの性別で社会生活を送る。
その状況を家裁が観察して判断すれば、興味本位の乱用は排除できると思う。

その期間は、「三橋私案」では最低1年と考えたが、慎重を期すなら3年でもいいと思う。

ともかく、この問題、要件論ばかりを議論するのでなく、「枠組み」(制度設計)からきっちり見直さないといけない。

制度設計の議論を疎かにし、要件論に終始した20年前の愚を繰り返してはいけない。

※「三橋私案」については、下記を参照してください。
三橋順子「LGBTと法律 ――日本における性別移行法をめぐる諸問題」(谷口洋幸編著『LGBTをめぐる法と社会』日本加除出版、2019年)

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『りべらる』の刊行冊数(推定) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

9月27日(水)

下記に修正版を掲載しましたので。そちらをご参照ください。

https://junko-mitsuhashi.blog.ss-blog.jp/2024-03-06-5?1709738540



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「GID特例法」生殖機能喪失要件についての家事審判、最高裁で弁論 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月27日(水)

法律の条文の適用を男女で不平等にするという決定を最高裁がするとは思えない(法律の条文に男女別の適用が規定されている場合は別)。

しかし、実態的に男女で異なる運用になる可能性はある。

生殖機能喪失要件のみが削除された場合、性器外形近似要件が、男性→女性の移行にのみ適用され、女性→男性の移行には適用されない(現状、ほぼそうなっている)という法律の運用。

あきらかに男女平等に反するわけで、確実にまた訴訟になるだろう。

そうした要件論だけを議論するのは、どこか空しい。

「GID特例法」は20年前の法律で、性別の移行を望むことは、すでに精神疾患ではなくなっているなど、枠組みが現代に合わなくなっている。

枠組みから根本的に見直す時期に来ている。

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トランス女性に「不平等」の恐れも 性別変更の要件、最高裁どう判断
(抜粋)
GID(性同一性障害)学会理事で、トランスジェンダーの医療に詳しい針間克己医師によると、女性から男性に性別変更するトランス男性の場合、ホルモンの投与で陰核(クリトリス)が肥大し、外観が男性の陰茎(ペニス)に近づいていれば、家裁は⑤の外観要件を満たすと判断する傾向にある。

このため、トランス男性が性別変更を申し立てる際には、外性器の手術はほとんど行われていないのが実態という。

これに対し、男性から女性に性別変更するトランス女性については、⑤を満たすために外性器の手術が必須とされており、④の生殖不能要件とあわせて、陰茎や精巣(睾丸〈こうがん〉)の切除が行われている。

こうした事情から、最高裁が④のみを違憲とした場合、「トランス男性は性別変更にあたって外科的な手術が不要になるのに、トランス女性は今と変わらず手術が必要という不平等が生じかねない」(針間氏)という。

『朝日新聞』2023年9月27日 14時34分
https://www.asahi.com/articles/ASR9V7HX3R9NUTIL027.html



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台湾の最高行政法院「性別変更にあたって、外性器の切除は本質的な事項ではない」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月27日(水)

台湾の最高行政法院が、
gender identityが憲法の人格尊厳、人格の自由な発展権の核心として保障されること、
性別変更にあたって、外性器の切除は本質的な事項ではないことを判示(2023年9月21日)。

国際的な人権規範にそえば、当然こういう判断になる。

しかし、日本の司法は国際的な人権規範をしばしば無視する。


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9月26日(火)講演のレジュメを作る [お仕事(講義・講演)]

9月26日(火)

微妙に体調よろしからず。
鈍い腰痛。

午後、10月13日の「日比谷図書文化館」の講演(2回目)のレジュメを作る。
あまり頑張れzy7割ほど。

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大阪府北部でM3.6、最大震度3 [地震・火山・地質]

9月26日(火)

26日23時13分頃の大阪北部を震源とする地震(M3.8、最大震度3)、深さ10kmと浅い。
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1996年に阪神・淡路大地震を起こした 六甲・淡路島断層帯の北西延長の有馬・高槻断層帯が震源と思われる。

有馬・高槻断層帯は、1596年の慶長伏見地震(M 7.5)以来、もう400年以上、大きな地震が起こっていないので。要注意。
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性別変更の手術要件「撤廃すべき」 最高裁弁論前に当事者が訴え [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月26日(火)

『朝日新聞』二階堂友紀記者による記事。

長年、ほとんど無視されてきた「GID特例法」の問題点(重要な人権である生殖権の侵害)を、大手メディアが記事にするようになったことは、一歩前進。

しかし、司法の壁は、そうたやすくは崩れないと思う。

生殖不能要件だけでなく、国際的な人権規範に則し、かつ日本社会に適合的な「性別移行法」はどうあるべきか、枠組みから総合的に議論し直す必要がある。

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性別変更の手術要件「撤廃すべき」 最高裁弁論前に当事者が訴え

LGBT法連合会が開いた記者会見。当事者や支援者が、性同一性障害特例法の手術要件撤廃を訴えた=2023年9月26日午後4時14分、東京・霞が関の厚生労働省、二階堂友紀撮影

トランスジェンダーが戸籍上の性別を変更する際に性別適合手術を求める法律は、憲法に違反するのか。注目の家事審判をめぐる最高裁の判断が近づくなか、全国の当事者や支援者らでつくる「LGBT法連合会」は26日、東京都内で記者会見を開き、法律の要件を撤廃するよう訴えた。

性同一性障害特例法は、戸籍上の性別変更にあたり、生殖能力の喪失などを求めており、「手術要件」と呼ばれている。最高裁はこの規定が憲法に違反するか審理しており、27日には性別変更を求めた申立人側の意見を聞く弁論を開く。法連合会はこれに先立ち会見を開き、トランスジェンダーの当事者らが思いを語った。

18歳で「絶望に近い感情」
トランス男性の木本奏太さん(31)は、18歳の時、戸籍上の性別を変えるには「体にメスを入れ、子どもを残せないようにしなければならない」と知った。「『その条件をのまなければ、真の男性ではない』と突きつけられているような気持ちになった。絶望に近い感情だった」

「手術をして性別を変えるか、死ぬか」の二択だと思い詰めたすえに、性別適合手術を受けることを決意。昼夜問わずバイトをして手術費用200万円をため、25歳で乳房と子宮・卵巣を切除する手術を受けた。

特例法の要件を満たし、戸籍上の性別を女性から男性に変えた。すでに男性として生活していたため、戸籍との不一致がなくなり、社会生活はスムーズになった。しかし、性自認のままに生きるという、多数派にとっては当たり前の権利を得るために払った代償は、あまりにも大きかった。

木本さんは会見で「(特例法の)要件がなかったら、手術をしていなかったと思う」と振り返った。「僕の体のあり方は僕が自己決定すべきことで、国や他の誰かが決定することではない。不妊化要件は、自分の体に関する自己決定権、性と生殖に関しての国の不当な介入だと感じている」

父なのに「養母」に
トランス男性の杉山文野さん(42)は、乳房の切除はするが、子宮・卵巣は摘出しないという選択をした。「心から手術を望んでいるのか」「手術しないと(スムーズに)社会生活を送れないため、手術したいと社会の側から思い込まされているのではないか」と自問自答した結果だった。

今では13年あまり連れ添った女性パートナーと暮らし、友人から精子提供を受けて2児を授かった。だが、生殖能力を失わせる手術を受けていないため、戸籍上は女性のまま。パートナーと戸籍のうえでは同性同士となるため、結婚できない。

パートナーの強い希望もあり、現在は、子どもと法的な関係を持つため養子縁組して、2人の子の「養母」という形になっているという。杉山さんは会見で「当事者の実生活と書類上の表記がちぐはぐになっていることで、多くの生きづらさを生んでいる。一刻も早い法改正を心から望んでいる」と話した。

「人権侵害の懸念、極めて強い」
法連合会は、特例法の要件について「人権侵害の懸念が極めて強い手術要件を中心に、撤廃すべきである」としている。

性同一性障害特例法の「手術要件」が憲法に違反するかどうかについて、最高裁は年内にも結論を出す見通しだ。(二階堂友紀)

『朝日新聞』2023年9月26日 20時40分
https://www.asahi.com/articles/ASR9V6HPMR9VUTIL00W.html
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『りべらる』創刊号を入手。定価からわかるハイパー・インフレ [性社会史研究(性風俗雑誌)]

9月25日(月)

戦後混乱期に出版された性風俗雑誌『りべらる』の創刊号(1946年1月号)を入手。
りべらる1-1(194601).jpg
B5版36頁の薄い雑誌で、定価は1円90銭。
それが、同年10月号(48頁)では、定価5円になる。
さらに、1948年2月号(36頁)では、定価25円になる。
つまり、1946年1月→10月の10ヵ月間で1.97倍(頁割り)になっている。
年間換算だと、2.37倍(237%)

また、1946年10月→1948年2月の16カ月間では、6.67倍(頁割り)になっている。
年間換算だと、なんと5.00倍(500%)。
物価が1年間で5倍になるということ。

現代の私たちがイメージできないハイパー・インフレーションの実態がよくわかる。
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