10月30日(月)一日中、臥せっていた [日常]
10月30日(月)
疲労による血圧低下と、気力喪失で,一日中、臥せっていた。
私が考えていたトランスジェンダーの人権擁護運動と、現実のギャップの大きさがつくづく辛い。
個人は軽挙妄動、組織は権力欲むき出しの暗闘、いったい何をやっているのだ。
そんな場合ではないだろうに。
疲労による血圧低下と、気力喪失で,一日中、臥せっていた。
私が考えていたトランスジェンダーの人権擁護運動と、現実のギャップの大きさがつくづく辛い。
個人は軽挙妄動、組織は権力欲むき出しの暗闘、いったい何をやっているのだ。
そんな場合ではないだろうに。
10月29日(日)レジェンダリートークショーVol.1 京都「カルシウムハウス」梶子ママ [性社会史研究(性別越境・同性愛)]
10月29日(日)
アマランスラウンジの「レジェンダリートークショーVol.1 京都「カルシウムハウス」梶子ママ」にお出かけくださった皆さま、ありがとうございました。
司会・進行の私が何度も笑い転げるような、楽しいお話しの連続で、もっとお話しをうかがいたいと思いました。
梶子ママ、企画のEdoさん、ありがとうございました。
【追記】月曜日、一日中、臥せっていて、御礼が遅くなり失礼いたしました。
内容については、後日、まとめます。
アマランスラウンジの「レジェンダリートークショーVol.1 京都「カルシウムハウス」梶子ママ」にお出かけくださった皆さま、ありがとうございました。
司会・進行の私が何度も笑い転げるような、楽しいお話しの連続で、もっとお話しをうかがいたいと思いました。
梶子ママ、企画のEdoさん、ありがとうございました。
【追記】月曜日、一日中、臥せっていて、御礼が遅くなり失礼いたしました。
内容については、後日、まとめます。
新著のカバーデザイン、帯の色 [お仕事(執筆)]
10月27日(金)日本大学法学部のゲスト講義 [お仕事(講義・講演)]
10月27日(金)
日本大学法学部(水道橋)でゲスト講義「LGBT人権運動の今」。
今年度で3回目だが、今日の反応はすごかった。
講義時間内で8分ほどとった質疑時間で3人(しかも、かなり専門的)、終了後、教室で3人、次の時間の先生が来たので廊下で4人。
ほぼリアルタイムの出来事(最高裁違憲判決)のインパクトはすごい!
でも,質問に答えているのは、法律の「素人」(笑)
日本大学法学部(水道橋)でゲスト講義「LGBT人権運動の今」。
今年度で3回目だが、今日の反応はすごかった。
講義時間内で8分ほどとった質疑時間で3人(しかも、かなり専門的)、終了後、教室で3人、次の時間の先生が来たので廊下で4人。
ほぼリアルタイムの出来事(最高裁違憲判決)のインパクトはすごい!
でも,質問に答えているのは、法律の「素人」(笑)
危機管理の手順 [現代の性(性別越境・性別移行)]
10月28日(土)
TGJPメンバーによる性加害問題、それがどういう場でなされたのかが重要だと思う。
TGJPが仕切る場で行われたのなら、組織としての責任は免れない。
プライベートな場での行為なら、少なくとも組織としては当事者性はない。
せめて、その点は情報開示をしてほしい。
--------------------------------
一般論として組織の構成員から性加害者が出てしまった場合。
① 被害者への謝罪と社会に対しての「遺憾」の意の表明
② 状況・経緯の説明
③ 加害当事者の処分
④ 再発防止策の提言
だいたいこの順序で進む。
危機管理的には可及的速やかになされることが重要。
今回の件の異常さは①すらなされていないこと。
その理由として考えられるのは、
① 組織として統制が崩れ、意思決定が出来なくなっている可能性。
② 加害当事者が組織のトップクラスである可能性。つまり「蜥蜴の尻尾切り」ができない状況。
「蜥蜴の頭」だから。
③ 単純な性加害事件ではなく、背景に複雑な「権力闘争」がある?
状況的には、②>③>①かなと思う。
理由はともかく、トランスジェンダーの人権擁護運動が、これで混迷・停滞するとしたら、とてもやるせないし、悲しい。
TGJPメンバーによる性加害問題、それがどういう場でなされたのかが重要だと思う。
TGJPが仕切る場で行われたのなら、組織としての責任は免れない。
プライベートな場での行為なら、少なくとも組織としては当事者性はない。
せめて、その点は情報開示をしてほしい。
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一般論として組織の構成員から性加害者が出てしまった場合。
① 被害者への謝罪と社会に対しての「遺憾」の意の表明
② 状況・経緯の説明
③ 加害当事者の処分
④ 再発防止策の提言
だいたいこの順序で進む。
危機管理的には可及的速やかになされることが重要。
今回の件の異常さは①すらなされていないこと。
その理由として考えられるのは、
① 組織として統制が崩れ、意思決定が出来なくなっている可能性。
② 加害当事者が組織のトップクラスである可能性。つまり「蜥蜴の尻尾切り」ができない状況。
「蜥蜴の頭」だから。
③ 単純な性加害事件ではなく、背景に複雑な「権力闘争」がある?
状況的には、②>③>①かなと思う。
理由はともかく、トランスジェンダーの人権擁護運動が、これで混迷・停滞するとしたら、とてもやるせないし、悲しい。
TGJPメンバーによる「性加害」問題 [現代の性(性別越境・性別移行)]
10月28日(土)
Transgender Japan(TGJP)を巡る問題、賛同を取り下げた団体の声明などから、TGJPメンバーによる、なんらかの「性加害」があったと思われる。
しかし、それについてTGJPからの情報開示・説明は、今のところ(28日15時)一切なく、いつ、どういう場で起こったことなのか、詳細は不明。。
公式の発表があるまでは、情報をブログにアップすることは控えるつもりだったが、どうも積極的な情報開示は行われないように思われる。、
このまま、何もなかったことになるのは、トランスジェンダーの人権擁護運動のあり方として問題があると思うので、今までわかっていることと、私見を記録しておく。
---------------------------------
25日夜、「ふぇみ・ゼミ&カフェ(ふぇみ・ゼミ、ゆる・ふぇみカフェ)」が、「東京トランスマーチ2023」への団体賛同を取り下げ。
「同マーチ主催団体であるTransgender Japan関係者による性暴力について、被害を受けた方からの告発があり、Transgender Japanに団体として確認したところ事実関係をお認めになったことが理由」
https://femizemi.org/2023/10/statement/
やっぱり、こういう流れになっていくのか・・・。
賛同団体が「Transgender Japan がマーチを中止しないことに強い懸念と憂慮の念を表します」とまで言うのは、よほどのこと。
昨年のマーチの件で、「暴力的」という批判があるのに、それを上書きしてしまう。
私思うに、暴力的な言動に対する主催者の認識が甘すぎる。
組織の中に「暴力装置」(鉄砲玉)的な構成員を囲っておくというのは、極左・極右が「伝統的」にやってきた手法だけど、現代の社会運動ではもう通用しない。
---------------------------------
25日夜。「青森レインボーパレード」も「東京トランスマーチ2023」への賛同を取り下げ、不参加を表明。
青森は、性暴力には特に厳しい姿勢のところだから当然か・・・、と思いながら、声明文を読んでいったら・・・。
「21日付でTransgender Japanより発表のあった公園での警備上の理由によるステージイベント・ブースの中止に関しても、当団体に対し、説明していただいた理由とは異なっております」
えっ、これどういうこと?
発表された理由と、実際の理由は異なるということなのか?
---------------------------------
「Broken Rainbow-Japan」が「賛同」取り下げ・「不参加」表明、これで3団体目。
「トランスマーチ2023に関し、当会は賛同を取り下げ参加をいたしません。
告発された性暴力に関し、適切、真摯な対応をTGJPに求めてきましたが叶いませんでした。
被害に関し、沈黙を強いるようなことは許されないと思っております。」
---------------------------------
26日、セックスワーカーが安全・健康に働けることを目指して活動している団体「SWASH」が「東京トランスマーチ」への「賛同」取り下げ。
これで4団体目。
SwashとTGJPの関係の深さを知っているだけに、衝撃は大きい。
いったいTGJPは、何を隠しているのだ?
一度、失った信頼は、容易なことでは帰ってこないのだよ。
---------------------------------
TGJPメンバーによる加害、私はT氏による執拗な付きまとい・撮影行為のことかと思っていた。
それが発生したのは10月16日。
しかし、SWASHの声明によると、相談を受けたのは「10月初旬」で、合わない。
つまり、別件ということ。
しかも「暴力行為」ではなく「わいせつ行為」。
いっそう事態は深刻。
---------------------------------
組織のメンバーから時に不埒者が出るのは避けられないこと。
重要なのは、その時の組織の対応。
経緯を説明・開示して、適切な処分を行い、謝罪すべきは謝罪する。
それが現代の危機管理の方法。
隠蔽は最悪。
そもそもこれだけSNSが発達した時代、隠蔽などできるはずがない。
---------------------------------
起こってしまった性加害問題を組織的に隠蔽する「トランスジェンダー人権団体」なんて,あり得ない。
私が目指したトランスジェンダーの人権運動とは真逆。
---------------------------------
私だって怖い。
路上で付きまとわれて、超近接撮影されて、ネットにさらされるのは嫌だ。
コミュニティ内の保身を考えたら、口をつぐんでいる方が楽だ。
でも、それでは、性加害の隠蔽に加担することになる。
それは、私の倫理観からできない。
もっと倫理的にルーズだったら、楽に生きられたのだろうな、と思う。
私は「ならぬことはならぬものです」の会津藩の血筋だからな。
Transgender Japan(TGJP)を巡る問題、賛同を取り下げた団体の声明などから、TGJPメンバーによる、なんらかの「性加害」があったと思われる。
しかし、それについてTGJPからの情報開示・説明は、今のところ(28日15時)一切なく、いつ、どういう場で起こったことなのか、詳細は不明。。
公式の発表があるまでは、情報をブログにアップすることは控えるつもりだったが、どうも積極的な情報開示は行われないように思われる。、
このまま、何もなかったことになるのは、トランスジェンダーの人権擁護運動のあり方として問題があると思うので、今までわかっていることと、私見を記録しておく。
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25日夜、「ふぇみ・ゼミ&カフェ(ふぇみ・ゼミ、ゆる・ふぇみカフェ)」が、「東京トランスマーチ2023」への団体賛同を取り下げ。
「同マーチ主催団体であるTransgender Japan関係者による性暴力について、被害を受けた方からの告発があり、Transgender Japanに団体として確認したところ事実関係をお認めになったことが理由」
https://femizemi.org/2023/10/statement/
やっぱり、こういう流れになっていくのか・・・。
賛同団体が「Transgender Japan がマーチを中止しないことに強い懸念と憂慮の念を表します」とまで言うのは、よほどのこと。
昨年のマーチの件で、「暴力的」という批判があるのに、それを上書きしてしまう。
私思うに、暴力的な言動に対する主催者の認識が甘すぎる。
組織の中に「暴力装置」(鉄砲玉)的な構成員を囲っておくというのは、極左・極右が「伝統的」にやってきた手法だけど、現代の社会運動ではもう通用しない。
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25日夜。「青森レインボーパレード」も「東京トランスマーチ2023」への賛同を取り下げ、不参加を表明。
青森は、性暴力には特に厳しい姿勢のところだから当然か・・・、と思いながら、声明文を読んでいったら・・・。
「21日付でTransgender Japanより発表のあった公園での警備上の理由によるステージイベント・ブースの中止に関しても、当団体に対し、説明していただいた理由とは異なっております」
えっ、これどういうこと?
発表された理由と、実際の理由は異なるということなのか?
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「Broken Rainbow-Japan」が「賛同」取り下げ・「不参加」表明、これで3団体目。
「トランスマーチ2023に関し、当会は賛同を取り下げ参加をいたしません。
告発された性暴力に関し、適切、真摯な対応をTGJPに求めてきましたが叶いませんでした。
被害に関し、沈黙を強いるようなことは許されないと思っております。」
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26日、セックスワーカーが安全・健康に働けることを目指して活動している団体「SWASH」が「東京トランスマーチ」への「賛同」取り下げ。
これで4団体目。
SwashとTGJPの関係の深さを知っているだけに、衝撃は大きい。
いったいTGJPは、何を隠しているのだ?
一度、失った信頼は、容易なことでは帰ってこないのだよ。
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TGJPメンバーによる加害、私はT氏による執拗な付きまとい・撮影行為のことかと思っていた。
それが発生したのは10月16日。
しかし、SWASHの声明によると、相談を受けたのは「10月初旬」で、合わない。
つまり、別件ということ。
しかも「暴力行為」ではなく「わいせつ行為」。
いっそう事態は深刻。
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組織のメンバーから時に不埒者が出るのは避けられないこと。
重要なのは、その時の組織の対応。
経緯を説明・開示して、適切な処分を行い、謝罪すべきは謝罪する。
それが現代の危機管理の方法。
隠蔽は最悪。
そもそもこれだけSNSが発達した時代、隠蔽などできるはずがない。
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起こってしまった性加害問題を組織的に隠蔽する「トランスジェンダー人権団体」なんて,あり得ない。
私が目指したトランスジェンダーの人権運動とは真逆。
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私だって怖い。
路上で付きまとわれて、超近接撮影されて、ネットにさらされるのは嫌だ。
コミュニティ内の保身を考えたら、口をつぐんでいる方が楽だ。
でも、それでは、性加害の隠蔽に加担することになる。
それは、私の倫理観からできない。
もっと倫理的にルーズだったら、楽に生きられたのだろうな、と思う。
私は「ならぬことはならぬものです」の会津藩の血筋だからな。
10月26日(木)3校ゲラを渡す [お仕事(執筆)]
10月26日(木)
15時、武蔵小杉駅の「タリーズカフェ」で、辰巳出版の編集者K氏と
著者校了の3校ゲラを手渡す。
25日の最高裁「違憲」判断のことも、2行足らずだけど入れられたので満足。
あとは、お任せ。
15時、武蔵小杉駅の「タリーズカフェ」で、辰巳出版の編集者K氏と
著者校了の3校ゲラを手渡す。
25日の最高裁「違憲」判断のことも、2行足らずだけど入れられたので満足。
あとは、お任せ。
10月25日(水)今日は良い日だった [現代の性(性別越境・性別移行)]
10月25日(水)
今日の最高裁の「違憲」判断について、詳しい分析を書こうと思うのだが、いろいろあって疲れてしまった。
少し時間を空けてまとめようと思う。
10月12日の静岡家裁・浜松支部の家事審判で「違憲」判断が出て、その分析から最高裁も「違憲」判断だろうと予想し、16日に某新聞社の記者さんと面談して予測が一致し、90%確信をもった。
結果は、ほぼ予測通りで、ミスリードにならなくて安堵した。
今にして思うと、9月下旬の審問・弁論の直後には、最高裁は「違憲」判断の方針を決めたと思う。
さらに言えば、大法廷への回付を決めたときに、2019年の「合憲」判断の変更が予定されていたのかもしれない。
ともかく、憲法13条の「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を、大法廷15人の判事が一致して明確に保障したわけで、内容的に文句のつけようがない。
今日は良い日だった。
今日の最高裁の「違憲」判断について、詳しい分析を書こうと思うのだが、いろいろあって疲れてしまった。
少し時間を空けてまとめようと思う。
10月12日の静岡家裁・浜松支部の家事審判で「違憲」判断が出て、その分析から最高裁も「違憲」判断だろうと予想し、16日に某新聞社の記者さんと面談して予測が一致し、90%確信をもった。
結果は、ほぼ予測通りで、ミスリードにならなくて安堵した。
今にして思うと、9月下旬の審問・弁論の直後には、最高裁は「違憲」判断の方針を決めたと思う。
さらに言えば、大法廷への回付を決めたときに、2019年の「合憲」判断の変更が予定されていたのかもしれない。
ともかく、憲法13条の「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」を、大法廷15人の判事が一致して明確に保障したわけで、内容的に文句のつけようがない。
今日は良い日だった。
最高裁「GID特例法」についての家事審判は「違憲」判断 [現代の性(性別越境・性別移行)]
10月25日(水)
今日の最高裁大法廷・家事審判は、
「GID特例法」の
第4要件(生殖機能喪失要件)については、憲法13条が保障する「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」に照らして「違憲」(15人の判事全員一致)、
第5要件(性器外形近似要件)については判断を示さず高裁に「差し戻し」(補足意見で「違憲」3名)、
よって、申立人の戸籍の性別変更(男性→女性)は(今回は)認められない。
という内容で、1週間前(18日)の私の予想通りだった。
2014年以来、第4要件(生殖機能喪失要件)の削除を主張してきた私としては、ようやくそれが達成され、うれしい限りだ。
ただし、懸念はいくつかある。
第1は、「生殖機能喪失要件」の削除が、想定より早く、いろいろ準備不足が否めないこと。
具体的には、「生殖機能喪失要件」を含まない性別移行の法システムの検討がまったく不十分なこと。
「生殖能力喪失要件」を外せばそれで済む話ではない。
「GID特例法」の乱用を防ぎ、社会的に混乱をきたさないようにするための「歯止め」が検討されるべきだ。
しかし、「活動家」たちは、要件削除を主張するのみで、現実的な法システムの再構築の視点に乏しい。
第2は、この最高裁判断がきっかけになり、反トランスジェンダーの活動が活発化・過激化し、トランスジェンダーの生活と安全が脅かされる危惧であること。
すでに、議論の過程で、過激な主張の「反トランスジェンダーデモ」が行われるなど、その傾向が現実化している。
個々のトランスジェンダーがリスク管理のレベルを上げると同時に、いっそう連帯してトランスヘイトに対抗することが必要だと思う。
【「性同一性障害特例法」第3条1項4号についての最高裁判所決定(2023年10月25日)概要】
「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として、憲法13条によって保障されていることは明らかである」
「治療としては生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対し、身体への侵襲を受けない自由を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一を迫るもの」になっていることを理由に、「性同一性障害特例法」第3条1項4号が憲法13条に違反すると判断。
今日の最高裁大法廷・家事審判は、
「GID特例法」の
第4要件(生殖機能喪失要件)については、憲法13条が保障する「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」に照らして「違憲」(15人の判事全員一致)、
第5要件(性器外形近似要件)については判断を示さず高裁に「差し戻し」(補足意見で「違憲」3名)、
よって、申立人の戸籍の性別変更(男性→女性)は(今回は)認められない。
という内容で、1週間前(18日)の私の予想通りだった。
2014年以来、第4要件(生殖機能喪失要件)の削除を主張してきた私としては、ようやくそれが達成され、うれしい限りだ。
ただし、懸念はいくつかある。
第1は、「生殖機能喪失要件」の削除が、想定より早く、いろいろ準備不足が否めないこと。
具体的には、「生殖機能喪失要件」を含まない性別移行の法システムの検討がまったく不十分なこと。
「生殖能力喪失要件」を外せばそれで済む話ではない。
「GID特例法」の乱用を防ぎ、社会的に混乱をきたさないようにするための「歯止め」が検討されるべきだ。
しかし、「活動家」たちは、要件削除を主張するのみで、現実的な法システムの再構築の視点に乏しい。
第2は、この最高裁判断がきっかけになり、反トランスジェンダーの活動が活発化・過激化し、トランスジェンダーの生活と安全が脅かされる危惧であること。
すでに、議論の過程で、過激な主張の「反トランスジェンダーデモ」が行われるなど、その傾向が現実化している。
個々のトランスジェンダーがリスク管理のレベルを上げると同時に、いっそう連帯してトランスヘイトに対抗することが必要だと思う。
【「性同一性障害特例法」第3条1項4号についての最高裁判所決定(2023年10月25日)概要】
「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として、憲法13条によって保障されていることは明らかである」
「治療としては生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対し、身体への侵襲を受けない自由を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一を迫るもの」になっていることを理由に、「性同一性障害特例法」第3条1項4号が憲法13条に違反すると判断。