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性分化疾患の女性が人権救済申し立て [現代の性(性別越境・性別移行)]

8月27日(水)
日本では、現状として(残念ながら)、健康保険証や年金手帳の性別記載は戸籍の性別に準拠することになっている。
それを、全国健康保険協会や日本年金機構が独自の判断で変更することはシステム上できない。

トランスジェンダーの立場からすると、社会的な証明書や書類は、その人の現在の社会的性別に則したものにする方が(本人にとってだけでなく社会的にも)利便性があり、その人の性自認(Gender Identity)を尊重する意味でも、そうするのが人権的配慮であると思う。
今までもそう主張してきた立場からすると、性分化疾患(Disorders of Sex Development=DSD)の方が、性別記載の問題を人権問題として声を上げたことに注目したい。

ただ、一方で、私の場合、社会の中でいちいち男性か女性かということが問われることに、根本的な懐疑がある。
自分の身分証明書に男性・女性のどちらかが書かれるより、性別欄が無いことの方が私には望ましい。
わかりやすく言えば「私が男か女かなんてどっちだっていいでしょう。私は私」ということだ。
その点で、「女性」という性別の表記に強くこだわるこの方の姿勢には個人的に微妙な違和感を感じる。
(「性同一性障害」の人にも性別記載に強くこだわる人が多いが、常々違和感を覚えている)

たとえば、この方は「性別欄を空白にするのは侮辱的行為」と言っているが、私なら、性別欄が空白だったら、むしろ、ありがたく思う。
まあ、これは私が変人だからで、一般論化するつもりはないが。
実際、私は就労に際して履歴書を出す場合、性別は不記載にしている(それで揉めることもあるのだが)。

ところで、この記事では、この方のDSDの状態が今ひとつよくわからない。
DSDには実にいろいろなパターンがあるので簡単な話ではないが、一般論として述べる。
もし出生時の性別判定に誤りがあった(女児なのに男児と判定され戸籍の性別が男性になっている)場合、「戸籍法」第113条(違法・錯誤・遺漏の記載の訂正)に基づいて、誤った性別を「訂正」することは、それほど難しくない(いくつも例があるはず)。

あるいは、出生時の性別判定に誤りはなかったが、その後の成長の過程で、養育上の性別と性自認との間に不一致が生じた(男性として育てられたが、本人の意識は女性)場合は、「性同一性障害」の診断を受けた上で、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(GID特例法)によって、戸籍の性別を「変更」することができる。
昔と違って、現在の「性同一性障害」の診断基準は、性分化疾患を除外していない。

つまり、どちらの場合でも、現在の日本の法律では、戸籍の性別をご本人の望みのものにする道筋はあるということ。
現実には、たぶんこうした申し立てをするより、上記どちらかのルートでさっさと性別を変えてしまった方が手っ取り早いと思う。
だから、そうした段取りを踏むことは「検査などの負担が大きく」したくないという主張には、合理性という点で少し首を傾げざるを得ない。
ただし、病院で必要な検査をすることに、何らかの理由で、ご本人の精神的負担が耐えられないほどとても大きいということは考えられる。

もし、そういう負担とか費用とかの問題ではなく、社会の中で望みの性別で扱われることが人権であり、物事の筋道であるいうことで敢えて人権救済を申し立てたのなら、それは困難な道を切り開こうという行為であり、私としても陰ながら応援したい。
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性分化疾患の女性が人権救済申し立て 東京弁護士会に

出生時に身体上の男女の区別がつきにくい「性分化疾患」で、男性として出生届が出された関東地方の専門職の女性が22日、職場内の書類や健康保険証の性別欄に女性と記載されないのは人権侵害だとして、勤務先や日本年金機構への警告を求めて、東京弁護士会に人権救済を申し立てた。

代理人弁護士によると、性分化疾患に関する人権救済の申し立ては全国で初めてという。

申し立て内容によると、女性は長年女性として生活し、医師も勤務先に「女性である」との診断書を提出しているにもかかわらず、戸籍上は男性となっているため、職場内の書類で性別欄を空白とされたり統計資料に男性としてカウントされたりしたという。健康保険証の性別欄も男性となっており、全国健康保険協会東京支部や日本年金機構に変更を申し入れたが聞き入れられなかったという。

性分化疾患で戸籍訂正したケースは過去にもあるが「検査などの負担が大きく、そこまで本人に強いる合理性はない」(代理人の中川重徳弁護士)として人権救済を申し立てた。申し立て後に都内で記者会見した女性は「男女で正常値が異なる健康診断で結果を正しく活用できないなどの実害もある」と訴えた。

性分化疾患は、染色体やホルモンの異常が原因で、出生時に性別が正しく判断されなかったり機能が不全となったりする疾患の総称。患者数は全国で約6500人と推定される。身体的な性別と心理的な性別が一致しない性同一性障害とは異なるが、出生届を出す際に性別判定を誤るケースがある。
『日本経済新聞』2014/8/22 21:35
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H15_S4A820C1CR8000/
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「性分化疾患」の女性 人権救済申し立て

生まれたときに性別を判定するのが難しい症状などがある「性分化疾患」という病気のため戸籍上は男性となっている女性が勤め先などから不当な扱いを受けたと主張して東京弁護士会に人権救済を申し立てました。

人権救済を申し立てたのは、関東地方に住む女性です。

代理人の弁護士によりますとこの女性は生まれたときに体の特徴から性別の判定が難しいなどの症状がある「性分化疾患」という病気のため、戸籍上の性別は男性となっているということです。

これまで女性として長年生活し、就職もしましたが、勤め先の書類にはこの女性の性別を示す欄が空白にされているほか、健康保険証には「男性」と記載されているということです。

こうした欄に「女性」と表記するよう求めましたが、勤め先などが「戸籍が男性である以上、受け入れられない」として応じなかったため、人権救済を申し立てたということです。

今回の申し立てについて女性は「戸籍を訂正するには詳細な検査や手続きが必要で、負担が大きい。性別を空欄にするのは侮辱的な行為だと思うので、勤め先などはもっと柔軟な対応をしてほしい」と話しています。
「NHKニュース」2014年8月23日 0時15分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140823/k10014014231000.html

8月26日(火)一日静養 [日常]

8月26日(火)  雨時々曇  東京  26.9度  湿度76%
9時半、起床。
暑さが和らぎ、ゆっくり眠れて、かなり疲労回復。
喉の違和感はだいぶ和らいだ。
右腕の痛みも、昨日の鍼治療の効果で、かなり良くなった。
まだ、少し痛むし、握力が戻らないが・・・。
今日は、一日静養。

朝食は、グレープフルーツ・デニッシュとコーヒー。
午前中、ブログにひとつ記事を書く。

昼食は、残りご飯とゴーヤの卵炒め。
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午後は昨日の「日記」を書く。
夕方、眠くなったので1時間半ほど眠る。

夕食は、冷蔵庫にあった材料で鶏もも肉のトマト煮込みを作る。
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ありあわせの材料で短時間で作ったわりには、おいしくできた。

お風呂に入って温まる。
ブログにもう1つ記事を書く。
就寝、3時。


スポーツにおける性的多様性の承認 [現代の性(性別越境・性別移行)]

8月26日(火)
旅行中、たまたま見かけて切り取っておいた『毎日新聞』(2014年8月22日朝刊)の「(インサイド)仁川アジア大会を前に4・多様性の祭典」という記事。
帰宅後、調べたらがネットには掲載されてなく、話題にしている人もいないようなので、紹介しておく。

記事にあるように、スポーツにおける多様性とは、2012年ロンドン五輪で掲げられた、人種、民族、身体能力、障害、性別などを問わず、誰でも平等にスポーツに参加できることを言うと思う。
性的指向や性自認によって、スポーツへの参加が妨げられることはあってはならない。

ただし、性自認と身体的性にずれがあるトランスジェンダー(T)だけは、トランスジェンダーであることが競技に有利に作用する場合は、競技の公平性とのバランスが考慮されなければならない。
この点で実際に問題となるのは、MtF(Male to Female)トランスジェンダーの女子競技への参加である。
オリンピックでは、MtF(Male to Female)トランスジェンダーが女子競技に参加するためには、性別適合手術後2年以上の女性ホルモン治療を受けていることを条件にしている。

トランスジェンダー以外の同性愛者や両性愛者(LGB)のスポーツ競技参加は、競技の公平性を含むいかなる点からも問題がないはずだ。
しかし、実際には、記事の見出しにあるようにLGBの競技者は、世界のだれもが認める偉大なスイマーであるイアン・ソープですら、「肩身が狭い思い」を強いられ続けているのが現状だ。

こうしたLGBTの競技者を取り巻く厳しい状況は、今後、改善していかなければならない。
とは言え、韓国におけるLGBTの現状からして、LGBに対して露骨な差別政策をとるロシアで開催されたソチ冬季五輪よりはましという程度で、2014仁川アジア大会や2018平昌冬季五輪に大きな期待はかけられないと思う。

しかし、2020東京五輪は、ぜひロンドン五輪並みに性的な多様性を承認して、いろいろな形でLGBTが参加できるスポーツの祭典になってほしい。
そのためには、今後、日本のスポーツ関係者のLGBTへの理解を推進していかなければならないが、彼らの筋肉質な脳を考えると、あと6年ではたして間に合うだろうか?と不安になる。
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『毎日新聞』2014年8月22日朝刊「(インサイド)仁川アジア大会を前に4・多様性の祭典」
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