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最高裁「GID特例法」についての家事審判は「違憲」判断 [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月25日(水)

今日の最高裁大法廷・家事審判は、
「GID特例法」の
第4要件(生殖機能喪失要件)については、憲法13条が保障する「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」に照らして「違憲」(15人の判事全員一致)
第5要件(性器外形近似要件)については判断を示さず高裁に「差し戻し」(補足意見で「違憲」3名)、
よって、申立人の戸籍の性別変更(男性→女性)は(今回は)認められない。

という内容で、1週間前(18日)の私の予想通りだった。

2014年以来、第4要件(生殖機能喪失要件)の削除を主張してきた私としては、ようやくそれが達成され、うれしい限りだ。

ただし、懸念はいくつかある。

第1は、「生殖機能喪失要件」の削除が、想定より早く、いろいろ準備不足が否めないこと。
具体的には、「生殖機能喪失要件」を含まない性別移行の法システムの検討がまったく不十分なこと。
「生殖能力喪失要件」を外せばそれで済む話ではない。
「GID特例法」の乱用を防ぎ、社会的に混乱をきたさないようにするための「歯止め」が検討されるべきだ。
しかし、「活動家」たちは、要件削除を主張するのみで、現実的な法システムの再構築の視点に乏しい。

第2は、この最高裁判断がきっかけになり、反トランスジェンダーの活動が活発化・過激化し、トランスジェンダーの生活と安全が脅かされる危惧であること。
すでに、議論の過程で、過激な主張の「反トランスジェンダーデモ」が行われるなど、その傾向が現実化している。
個々のトランスジェンダーがリスク管理のレベルを上げると同時に、いっそう連帯してトランスヘイトに対抗することが必要だと思う。

【「性同一性障害特例法」第3条1項4号についての最高裁判所決定(2023年10月25日)概要】
「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として、憲法13条によって保障されていることは明らかである」

「治療としては生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対し、身体への侵襲を受けない自由を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一を迫るもの」になっていることを理由に、「性同一性障害特例法」第3条1項4号が憲法13条に違反すると判断。

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『朝日新聞』性別変更のルールとは? 手術要件が高いハードル [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月25日(水)

『朝日新聞』(二階堂友紀記者)による、次善解説記事。
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【そもそも解説】性別変更のルールとは? 手術要件が高いハードルに
『朝日新聞』2023年10月25日 6時00分

生まれた時の性別とは異なる性別で生きるトランスジェンダーの人たちが戸籍上の性別を変えるには、卵巣や精巣を切除して生殖能力を失う手術などを受けなければなりません。こうした法律上の手術要件が憲法に違反するかどうかについて、最高裁大法廷が25日に判断を示します。性別変更のルールや、当事者をとりまく実態を詳しく解説します。

 Q 性別変更のルールはどうなっているのか。
 A 「性同一性障害特例法」が2004年に施行されて、戸籍上の性別変更が可能になった。
2人以上の医師が性同一性障害と診断している人で、①18歳以上②現在結婚していない③未成年の子がいない④生殖腺(卵巣や精巣)がない、またはその機能を永続的に欠いている⑤変更する性別の性器に似た外観を備えている――という5要件をすべて満たしていれば、家庭裁判所が性別変更の申し立てを認める。
このうち、生殖能力の喪失を求める④の「生殖不能要件」と、体の外に現れている外性器の外観を変えることを求める⑤の「外観要件」を満たすためには、原則として性別適合手術が必要だ。④と⑤をあわせて「手術要件」と呼ばれる。

LGBTの中でも少数派、人口の1%未満か
 Q 法律の名前にある「性同一性障害」とは?
 A 生まれた時の性別に強い違和感を抱く人たちに対する医学的な診断名だ。1980年に発行された米国精神医学会の診断の手引「DSM―Ⅲ」が、「Gender Identity Disorder」という診断名を採用し、性同一性障害と訳されて広がった。

日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」は、生まれた時の性別に対する「不快感・嫌悪感」や、自認する性別への「強く持続的な同一感」などから、性自認を判定するよう求めている。

専門医は「ホルモン治療を始めるにあたっての診断では、典型的なケースでも半年ほど時間をかける」と言う。未成年、性自認の「揺らぎ」がみられる場合、ほかの病気の影響が考えられる場合は、保護者から成育歴を聞き取るなど、より慎重に判断しているという。

性同一性障害が医学用語であるのに対して、「トランスジェンダー」は当事者の中から生まれた概念だ。当事者の中には、自らをトランスジェンダーと呼ぶ人もいれば、性同一性障害と呼ぶ人もいる。

 Q トランスジェンダーや性同一性障害と呼ばれる人たちはどのくらいいるのか。
 A 性的少数者を表すLGBTの中でも、「T」にあたるトランスジェンダーは少ないとされているが、政府が実施した大規模な調査はない。

国立社会保障・人口問題研究所の釜野さおり室長らのチームが19年、大阪市民を対象に実施した調査では、生まれた時の性別に「違和感がある」「別の性別だととらえている」と答えた人は計0・8%だった(回答数4271人)。

「大島3要件」がベースに
 Q どうして特例法ができたのか。
 A 性別適合手術を終えた当事者6人が01年、戸籍の記載に「錯誤」があった場合に訂正を認める戸籍
法113条に基づき、家庭裁判所に性別の変更を一斉に申し立てた。

しかし、裁判所は「戸籍法などは、男女の性別は生物学的性によって決定されるという建前をとっている」などとして認めず、「性同一性障害の法的取り扱いは立法に委ねられている」と指摘した。

そうした中、当事者団体や日本精神神経学会などが新たな立法を求める要望書を提出し、03年に議員立法の形で特例法が成立した。00年に自民党内で「性同一性障害勉強会」を立ち上げた南野(のおの)知恵子参院議員(当時)が中心的な役割を果たした。

 Q 特例法の制定時はどういう議論があったのか。
 A 神戸学院大学の教授だった法学者の大島俊之氏(故人)は、かねて判例を批判し、性別の変更を認めるべきだと主張していた。

大島氏は当時の各国の制度も踏まえ、性別変更の要件として、①性同一性障害の診断を受けている②性別適合手術を受けている③戸籍訂正の時点で結婚していない――を挙げ、「大島3要件」と呼ばれていた。これをベースに与野党で検討が行われ、特例法の5要件が定められた。

制定当時の議論について、南野氏は自らが監修を務めた本の中で、「当初は性同一性障害の問題に理解を求めても『何だ、おかまか、おなべか』といった反応が多かった」「法律の制定にまで至ったのは、誠に幸運なことであった」と振り返っている。

五つの要件に対しては、要件を満たさない当事者らから批判もあったが、「まずは、議論を呼び、反対を招くような問題をできるだけ少なくするよう、厳格な要件の下で制度化することもやむを得なかった」と指摘。社会的な理解が進んだ段階で見直しを図る方が現実的だ、と述べている。

性別変更に至るのは受診者の2割
 Q 戸籍上の性別を変更した人の規模は。
 A 司法統計によると、特例法に基づいて性別を変更した人は、21年までに計1万1030人いる。19年には過去最高となる948人の申し立てが認められた。

一方、日本精神神経学会の調査では、15年12月末までに性別への違和感を訴えて受診した計2万2435人のうち、手術を経て性別変更に至ったのは4671人で、受診者全体の20・8%にとどまっていた。

 Q なぜ性別を変更する人の割合は少ないのか。
 A 特例法の5要件が高いハードルになっている。

とりわけ、4番目の「生殖腺(卵巣や精巣)がない、またはその機能を永続的に欠いている」という生殖不能要件は、卵巣や精巣の切除で生殖能力を永久に失わせる手術を求めるものだ。身体的・金銭的な負担が非常に大きいうえに、自分の体にどのような違和感を抱くかは人それぞれであることから、当事者全員が手術を望むわけではない。実際には、ホルモン投与や美容整形などで外見を変えるなどして、手術をすることなく自認する性別で生きている人が多い。

しかし、このように外見上の性別と戸籍上の性別がずれると、社会生活で大きな困難に直面する。このため、就職や結婚に向けて、やむを得ず手術を受ける人も少なくない。

 Q なぜ生殖能力の喪失が要件とされたのか。
 A 戸籍上の性別を変えた後に、もとの性別の生殖機能によって子どもが生まれたら、「様々な混乱や問題を生じることになりかねない」として設けられた。例えば、戸籍を男性に変更した人が、女性の生殖能力によって妊娠し、出産するようなケースを想定している。

しかし、そもそも、生まれた時の性別に強い違和感を持つ人が、その生殖能力を使って出産したり、子どもをつくったりすることは、現実的には極めてまれだ。

国際的には、性別に関する自己決定権や、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」を尊重し、性別変更の要件から手術を外した国が多い。世界保健機関(WHO)なども14年、生殖を不能にする手術の強制は人権侵害だとして廃絶を求める共同声明を出した。

トランス女性に不平等の恐れも
 Q 5番目の「変更する性別の性器に似た外観を備えている」という外観要件も、手術を求めているということだが。
 A 変更する性別の性器に近い外観でなければ、「公衆浴場で問題を生じるなど、社会生活上、混乱を生じる可能性がある」として設けられた。ただ、この外観要件については、トランス男性とトランス女性の間で、性別変更を申し立てる際の手術の実態に違いがある。

女性から男性に性別変更するトランス男性の場合は、陰茎(ペニス)形成などの手術をせずに、性別変更が認められる例が多い。男性ホルモンの投与で陰核(クリトリス)が肥大していたら、ペニスに近い外観とみなされるためだという。

一方、男性から女性に性別変更するトランス女性については、⑤の外観要件を満たすために外性器の手術が必須とされており、④の生殖不能要件とあわせて、陰茎や精巣(睾丸(こうがん))の切除が行われている。

特例法の改正で、④の生殖不能要件だけが削除され、⑤の外観要件が残された場合、「トランス男性は性別変更にあたって外科的な手術が不要になるのに、トランス女性は今と変わらず手術が必要という不平等が生じかねない」と懸念されている。

「合憲」判断から4年、社会の変化は
 Q 手術要件について、司法はこれまでどんな判断をしてきたのか。
 A 生殖不能要件について、最高裁の第二小法廷は19年1月、個人の尊重や幸福追求権を定めた憲法13条などに照らし、「現時点では合憲」とする初判断を示した。トランス男性が出産するといった事例が起きれば、「社会に混乱を生じさせかねない」などという理由だった。

ただ、性別変更のためにやむなく手術を受けることもあることから、「意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約する面もあることは否定できない」と問題点を指摘した。社会状況の変化に応じても判断は変わり得るとして、「不断の検討を要する」とも述べた。

さらに2人の裁判官は補足意見で、「現時点では違憲とは言えないが、その疑いが生じていることは否定できない」とも言及した。

それから4年近くが経った22年12月、最高裁は手術要件について、15人の裁判官が全員で審理する大法廷で判断することを決めた。

そして今回、その後の社会状況の変化も踏まえて、改めて憲法判断を示すことになった。(二階堂友紀)

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10月24日(火)秩父へ [日常]

10月24日(火)

日帰りで秩父に行き、多忙と体調不良で、お彼岸に行けなかったお墓参りにやっと行けた。

父母の墓前で「4冊目の単著が出ます」と報告。

無沙汰を許してもらおう。
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同窓会の案内が来たけど・・・。 [日常]

10月24日(火)

埼玉県立熊谷高校・昭和49年卒業・秩父支部の同窓会の案内が来た。
名簿も付いていて、懐かしい名前がたくさん。

35名中、消息不明が5名、逝去3名。
死亡率10%。

まあ、68歳の男性だから仕方ないか。
幸い、仲良かった人は、みんな生きている。

会いたいけど、やっぱり無理。
驚かせては、悪いし。

ビール代の足しに会費相当額を送っておこう。
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駿河台「山の上ホテル」 [世相]

10月24日(火)

駿河台の「山の上ホテル」が、」来年2月で営業停止に。

物書きなら、一度は「山の上ホテル」で編集者と打ち合わせするのがあこがれ。


一度だけだけど、食べた天婦羅、おいしかったなぁ。

老朽化に加えて、周囲をすっかり明治大学に囲まれてしまっている。
逆に、明治大学としては、あそこ欲しいだろうな(とても高いけど)。

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「山の上ホテル」全館休業へ 老朽化に対応、24年2月13日から

東京・神田の駿河台にあり、著名な作家たちに愛されてきた「山の上ホテル」(東京都千代田区)が2024年2月13日から全館休業することになった。同ホテルが23日、ホームページで公表した。建物の老朽化への対応を検討するためで、休業期間は「当面の間」としている。

同ホテルは1954年に開業。丘の上にたたずむアールデコ建築の洋館で、池波正太郎や常盤新平、山口瞳ら、数々の作家たちが定宿にした。

『毎日新聞』 2023/10/23 19:27(最終更新 10/23 20:23) English version 386文字
https://mainichi.jp/articles/20231023/k00/00m/020/282000c?fbclid=IwAR2-MTOwMvgAX1ucLgTKarWYxGlyw1rPyA8zFn_C_5givh3EOHnOebuFzK8
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