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「新啓織物」の秩父銘仙 [着物]

11月9日(日)
日本橋「三越」へ。
4階の呉服売り場に出ている(11日まで)秩父銘仙の織元「新啓(あらけい)織物」さんのコーナーで、ご主人の新井教央さんにご挨拶。
新啓織物(三越).jpg

来年、「日本染織文化協会」の銘仙講座で、なぜか私が講義(2015年2月27日)と産地見学会(3月予定)の講師をすることになった。
http://kimono-bunka.net/seminer
秩父銘仙は、着尺に関しては、1970年代にほとんど絶滅状態になった。
http://www4.wisnet.ne.jp/~junko/1/7-1-1.htm
2000年代の銘仙ブームに乗った復刻銘仙も復刻とは名ばかりでパッとしなかった。
どころが、今年の夏『朝日新聞』(2014年8月21日朝刊)のFasion欄に「ほぐして織って大胆な柄 秩父銘仙」という記事が掲載された。
秩父銘仙1.JPG秩父銘仙2.JPG
私が知らない織元さんだったが、さっそくインターネットで調べると、なかなか良い物を織られている。http://www.arakei.com/
新啓織物(三越)2.jpg
これなら、故郷の秩父銘仙を身にまとうという私の長年の夢(ほとんど諦めていた)が実現するかも?とうれしくなった。

その直後、「日本染織文化協会」から「銘仙講座」の依頼が来て、慶野事務局長から「秩父銘仙の生産現場の見学はどこがいいでしょう?」と尋ねられた時に、迷うことなく「新啓織物」さんを推薦した(他にないし…)。
正式の交渉は慶野事務局長がすることになるが、「三越」で展示会をされている機会を利用して、私からもご挨拶とお願いを兼ねて出向いたという次第。

それもあるが、なにより自分の目で、「新啓」さんの銘仙着尺を確かめたかった。
実は、水曜日にも「三越」に行って、奥様の園恵さんに、いろいろお話をうかがい、着尺を見せていただいた。
良い糸を使って、とても緻密かつ精巧に織りあげている。
昭和戦前期の大量生産品とは比べ物にならないくらい上質で、銘仙本来の特長である堅牢な織物に仕上がっている。
オリジナル・デザインでは、『朝日新聞』に載った円形を重ねた幾何学模様が大胆で素敵だ。
もうひとつ、それよりやや小さめの円形模様の水色の着尺も、さわやかな色味で単で仕立てたくなる。
復刻デザインは、長野県の「須坂クラッシック美術館」所蔵の銘仙を3点、復刻しているのが注目。
銘仙全盛期(昭和初期)のアールデコ・デザインを2つ、アールヌーボーっぽい植物柄を1つ、忠実に復刻している。
一幅に半分も入らない超巨大麻の葉模様か、渦巻き葉っぱ模様(萩のつもり?)か、迷ってしまう。
ただ、色調は染料などの関係などで、やや抑えられている(どきつさに欠ける)のは仕方がない。

ということで、産地見学会、実現できればうれしいし、個人的にもぜひ身にまとってみたい。
先々の楽しみができた。