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「活動家」はなにを期待していたのか? [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月9日(金)

採決直前に、維新+国民民主党案を取り込んで、第十二条が付加された。

(措置の実施等に当たっての留意)
第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。

この点について、松岡宗嗣さんら「活動家」諸氏がとても怒り、落胆している。

たしかに、マイノリティの人権擁護の法律にマジョリティへの配慮を、わざわざ条文として入れるのは、法理的にありえず、愚劣の極み。
法律が「全ての国民が安心して生活することができること」を目指すのは、当たり前のことだから。

とはいえ、こんな条文「はい、留意しました」で済む話。

そもそも、骨抜き理念法である、この法案になにを期待しているのか?
松岡さんのような「活動家」が今まで以上に大忙し、大活躍できる社会になると思っていたのか?

少なくともトランスジェンダーである私の生活には何も影響はない。
その程度の法律なのだ。

「理解増進」のための施策を策定するのが国・自治体であり、そこには必ず予算が付く。
私としては、「理解増進」のための恒久的施設の維持に助成金が付けばいいなと思う。

後は、第九条(学術研究等)に基づき「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する学術研究」に、それなりの予算(出版助成金)が付けばいいなと思う。
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「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」案、衆議院内閣委員会で可決 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月9日(金)

「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」再修正案、衆議院内閣委員会で、自民・公明・維新・国民民主の賛成で可決。
参議院に送付、来週、成立へ。

採決当日に、維新&国民民主党案を取り込み、自民党案の「性同一性」を「ジェンダーアイデンティティ」に再修正。
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https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21105016.htm
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案

 (目的)
第一条 この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵(かん)養し、もって性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。

 (定義)
第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。
2 この法律において「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

 (基本理念)
第三条 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。

 (国の役割)
第四条 国は、前条に定める基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

 (地方公共団体の役割)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

 (事業主等の努力)
第六条 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。以下同じ。)の設置者は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童、生徒又は学生(以下この項及び第十条第三項において「児童等」という。)の理解の増進に関し、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ行う心身の発達に応じた教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (施策の実施の状況の公表)
第七条 政府は、毎年一回、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の実施の状況を公表しなければならない。

 (基本計画)
第八条 政府は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 基本計画は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解を増進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。
3 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
5 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
6 政府は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね三年ごとに、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
7 第三項から第五項までの規定は、基本計画の変更について準用する。

 (学術研究等)
第九条 国は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する学術研究その他の性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の策定に必要な研究を推進するものとする。

 (知識の着実な普及等)
第十条 国及び地方公共団体は、前条の研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めることができるよう、心身の発達に応じた教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるため、保護者の理解と協力を得て行う心身の発達に応じた教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議)
第十一条 政府は、内閣官房、内閣府、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議を設け、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。

(措置の実施等に当たっての留意)
第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。

   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)
第二条 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (内閣府設置法の一部改正)
第三条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
  第四条第三項第四十五号の次に次の一号を加える。
  四十五の二 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和五年法律第▼▼▼号)第八条第一項に規定するものをいう。)の策定及び推進に関すること。

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福岡地裁判決 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月8日(木)

福岡地裁判決。
憲法14条1項、24条1項の違憲は認めず。
24条2項について「なんら家族になる制度がないこと」は違憲状態とする。

名古屋地裁判決より、やや後退し、東京地裁判決とほぼ同趣旨。

ポイント
① 今までの4地裁判決と同様に、憲法24条1項の「婚姻」は異性婚のみを差し、同性婚は含まれないとする点。

同性カップルの不利益を解消し保護する代替法制度として「登録パートナーシップ制度」をあげている点。

【日本の司法の基本的な考え】
これで、5つの地裁判決が出そろい、濃淡あるものの、日本の司法の基本的な考えが見えてきた。
それは 
①同性婚を憲法24条1項の「婚姻」に含めない。
②同性カップルを公証し、保護するための(「婚姻」の代替的な)法制度を設ける。
というもの。
おそらく、この基本的な考え方は、今後の上級審(高裁・最高裁)でも変わらないと思う。
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【判決骨子】
1)同性カップルの婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する規定(以下「本件諸規定」という。)は、憲法24条1項及び憲法13条に違反しない

2)本件諸規定の区別取扱いについては合理的な根拠が存するものと認められるから、本件諸規定が立法裁量の範囲を超えるものとはいえず、本件諸規定は憲法14条1項に違反しない

3)同性カップルに婚姻制度の利用によって得られる利益を一切認めず、自らの選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない本件諸規定は、個人の尊厳に立脚すべきものとする憲法24条2項に違反する状態にある。しかし、制度設計の多様性、社会の変化の時期に照らせば、本件諸規定が立法府たる国会の裁量権の範囲を逸脱したものとはいえず、本件諸規定は、憲法24条2項に違反しない

【憲法24条1項について】
憲法24条1項の「両性」及び「夫婦」という文言からは、同条が男女の婚姻を想定しているものと解さざるを得ないし、その制定過程を検討しても、憲法24条1項の制定時において同性婚は想定されていなかったものと認められ、当該規定は同性婚を禁止する趣旨であるとはいえないものの、同条でいう「婚姻」は異性間の婚姻を指し、同性婚を含むものではないと解するのが相当である。

同性婚を憲法24条1項の「婚姻」に含むと解釈することは少なくとも現時点においては困難

【憲法24条2項について】
同性カップルに婚姻制度の利用によって得られる利益を一切認めず、自らの選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない本件諸規定はもはや個人の尊厳に立脚すべきものとする憲法24条2項に違反する状態にあると言わざるを得ない。

【同性婚の代替制度】
同性愛者らの重大な不利益を解消し、自己決定を尊重する制度の在り方については、様々な考慮をする必要がある。同性カップルを法的に保護するための法制度として諸外国で採用されている登録パートナーシップ制度は、その内容次第では婚姻制度の代替となり得るものであり、同性婚についてこのような婚姻制度と異なる制度を設けるか否かについても立法府における議論に委ねることが相当である。
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gender identityの訳語問題 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月8日(木)

2021年秋に,稲田朋美衆議院議員にお会いして、この法案の問題点を指摘し、改善方法を進言したとき、「gender identity」は、第一案として「性同一性」,第二案として、カタカナ表記で「ジェンダー・アイデンティティ」でいかが?と進言した。

稲田さん、「う~ん,法文にカタカナ表記はねぇ」と乗り気ではなかった。

私の提言、結果的に、第一案が自民党案になり、第二案が維新&国民民主党案になった。
正直、野党案の「性自認」でなければ、第二案でも良いと思っている。


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