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「社会文化史データベース」書誌解題の校正作業完了 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

6月6日(月)

13時過ぎ、丸善雄松堂の担当編集者と電話で最終確認して、「「社会文化史データベース―性風俗稀少雑誌コレクション」収録の戦後性風俗雑誌の書誌解題」(25600字)の校正作業を完了。

データベースは6月リリースなので、間に合った。

データベース本体は有料(40万円)ですが、「書誌解題」は無料で読める予定。
https://kw.maruzen.co.jp/ln/mc/mc_doc/shakaibunkashi_seifuzoku.pdf
リリースされたら、お知らせします。
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日本の大学は、そもそもセクシュアリティの社会・文化史に関心がない。
そんなもの学問だとは思っていない。
加えて、図書館の購入予算が少ないので、40万円のデータベースを買ってくれる大学は、かなり限定される。

それに対して、欧米やオーストラリアの大学や研究機関からの引き合いは好調。
30万ドルで、現在では収集が難しい60~70年前の日本の性風俗雑誌400冊を自由に読めるのなら、安いものという感覚だろうか。

日本のセクシュアリティ文化の研究、将来的に国内より、海外の方が活発になるかもしれない。

私としては、どこの国の研究者であれ、日本のセクシュアリティ文化に関心を持って、私が集めてデータベース化した性風俗雑誌を資料にして、良い研究をしてくれれば「それでいい」と思っている。
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1950~60年代の性風俗雑誌、私は若いころの感覚で、お金さえかければ(そのお金がないのだが)、ほぼコンプリート(完全収集)は可能だと思っていた。

ところがそうではなかった。
いつの間にか(30年ほどの間に)、古書市場に「物」なくなっている。

市場になければ、どれだけお金があっても集められない。
それ(資料保全)がデータベース化に踏み切った最大の理由。

古書市場に「物」がまだ豊富にあった若い頃(1980~90年代)には、欲しい雑誌を買い集めるお金がなかった。

30~40年経って、若い頃に比べれば少しはお金が使えるようになったら、古書市場に「物」が乏しくなっていた。

人生、うまくいかないものだ。
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1950~60年代の性風俗雑誌、約500冊(うち400冊余りをデータベースに収録)の収集には、たぶん130~150万円くらいかかっている。

それでも、諸先輩から遺贈されたもの(『風俗奇譚』など)が多くあるので、この程度の金額で収まっている。

「丸善雄松堂」によるデータベース化は、収集資料の提供については「無償」契約なので、私にはお金は入ってこない。
「解説」と「書誌解題」の原稿料(5万円)だけ。

収支の帳尻は大赤字だが、苦労して集めた資料を次の世代に渡すことができれば、それで十分にうれしい。

「あなたなら大事にしてくれる」と言って、私に大切にしていた雑誌を託してくれた諸先輩たちも、きっと、あの世で喜んでくれるだろう。



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国内死亡数が急増、1~3月3.8万人増 [世相]

6月5日(日)

これは、かなり衝撃的なデータ。
死亡者急増1.jpg
グラフを見れば一目瞭然で、2022年の2月、3月の死亡者が例年に比べて1.5~2万人(+12.9~16.4%)多くなっている。
新型コロナウィルス感染症が流行し始めた2020年は、世界各国で大幅な「超過死亡」が出る中、日本は「過少死亡」を記録した。

死ぬはずの人の死亡が先送りされた反動がいずれ出るだろうと予想されたが、実際、2021年は「超過死亡」を記録して、前年の「先送り」が解消され、これで帳尻は合ったはずだった。
ところが、ワクチン接種が進み、コロナ感染症による死亡率が低下したはずの2022年2・3月になって死亡数が急増したのは、なにか別の理由を考えないといけない。

2021年1~12月の死因別死亡数で、増加しているのは。「老衰」で約2万人増(+14.8%)と、心疾患など「循環器系の疾患」が約1万2千人増(+3.5%)だが、これは年間の数値なので、2022年2・3月の死亡増加は、さらに別の要因があると思われる。

こうした国民の健康にかかわる重大事態かもしれないにもかかわらず、理由が「わからない」で済ますのは厚生行政の怠慢だと思う。

【追記】
大阪府の2021年5月や、東京都の2021年8~9月など、新型コロナ感染症(および、それによる医療逼迫)による死亡者の増加(超過死亡)より、大きな死亡増が2022年2~3月に発生している。

通常ペースでデータが出そろうのを待つのではなく、ただちに原因を調査すべきだ。
死亡者急増2.jpg
このグラフを見ると、死亡数の増加は2021年3月頃から始まり、以後、増加傾向が顕著になっていく。


----------------------------------- 国内死亡数が急増、1~3月3.8万人増 コロナ感染死の4倍

1~3月に国内の死亡数が急増したことが厚生労働省の人口動態調査(速報値)で分かった。前年同期に比べ3万8630人(10.1%)多い、42万2037人に上った。同期間に新型コロナウイルス感染者の死亡は9704人で、増加分を大きく下回る。コロナ以外の要因があるとみられるが詳しい原因は不明だ。行動制限などの影響がないか検証が急務だ。
1~3月は変異型「オミクロン型」による第6波の時期だ。最大36都道府県にまん延防止等重点措置が適用された。
特に2~3月の死亡数の増加が目立つ。前年比で2月は1万9490人(16.4%)、3月は1万5992人(12.9%)増えた。新型コロナの死亡報告数はそれぞれ4841人、4464人で、数倍の開きがある。コロナに感染しながら、生前も死後も診断されなかった人が一定数いた可能性はあるが、それだけでは説明が難しい。コロナ以外の要因で死亡が急増したとみられる。
死因別の内訳は5カ月後の公表のため、1~3月にどの死因が増え、死亡数を押し上げたのかは明らかになっていない。
ただ3日に2021年1~12月の死因別死亡数が公表されており、これをもとに推測することはできる。前年と比べると、最も増えたのは「老衰」で約2万人(14.8%)増だった。このほか心疾患など「循環器系の疾患」が約1万2千人(3.5%)増加した。
老衰は高齢化でもともと増加傾向にある。一方、循環器系の疾患は20年は前年より約5千人減っていたが、21年は増加に転じた。同省の担当者は「増加の要因は分析できていない。コロナ禍前から進む高齢化による増加が続いているのではないか」とみている。
循環器系疾患の内訳を前年と比べると、救急医療が必要な急性心筋梗塞や心筋症は横ばいで心不全などが増加していた。コロナ下の医療逼迫などで十分な救急対応ができず、死者が増えたとの仮説もありうるが、前年時点のデータにその傾向は見えない。自殺は39人増で影響は少なかった。
21年は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が相次いで出された。外出や運動を控えるなど行動が制約され、運動不足によって生活習慣病が悪化したり、循環器疾患のリスクが高まったりしたことが死者急増につながった可能性もある。

『日本経済新聞』2022年6月4日 18:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA021SU0S2A600C2000000/


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