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4月25日(木)「大吉原展」 [性社会史研究(遊廓・赤線・街娼)]

4月25日(木)

東京芸術大学美術館で開催中の「大吉原展」を観てきた。
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とんでもなく分厚く重い「図録」が示すとおり、作品は充実している。

喜多川歌麿「青楼十二時」を揃えたのは、good job。

欲を言えば、新吉原遊廓を描いた最高傑作(と私が思う)葛飾応為「吉原格子先之図」がなかったのは残念。

ただし、歴史研究者としてみると、物足りなさを覚える。
第一に、「廓」の形成史がまったく語られていない。
いきなり「元吉原」が出てくる。
(「廓」の形成史については、拙著『新宿「性なる街」の歴史地理』のコラム1にまとめてある)

さらに言えば、「遊女(あそびめ)」都は何か? そもそも「遊び」とは何か? ということが語られていない。

まあ、美術館にそれを求めるのはお門違いなのかもしれないが、「吉原」という存在を考える上では避けて通れないことだと思う。

第二に、江戸時代の「吉原」については多角的に展示されているが、明治以降の「吉原」についての展示が薄すぎる。
さらに、昭和戦後期の「赤線・吉原」については、一文字の言及もなかった。
歴史は常に現代に通じるという点からすると、もうちょっとなんとかならないものか、と思う。

展示を観おえた後、上野駅公園口前の喫茶店で、7人の方に1時間半ほど、お話しする。
展示ではほとんどなかった、明治後期~大正期の新吉原遊廓について、私が収集した絵葉書をお見せしながらレクチャー。
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喜んでいただいて、よかったし、私も楽しかった。
ご参加いただいた皆さま、お世話いただいた鈴木さん、ありがとうございました。
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