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「GID特例法」生殖機能喪失要件についての家事審判 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月28日(木)

27日に最高裁で弁論が開かれた「GID特例法」生殖機能喪失要件についての家事審判、私の予想は、「違憲」の少数意見付き「合憲」判断だったが、ちょっと感触が変わってきた。

それでも、いきなりの「違憲」判断は、あまりに社会的影響が大きすぎるので、ないと思う。
(「違憲」の場合、その条文は即時に機能を失う)

しかし、「違憲状態」判断で、立法府に法改正を要請する可能性は出てきたと思う。

その場合、生殖機能喪失要件を削除するだけでは済まないだろう。

そもそも、法律名の「性同一性障害」はすでに国際的な疾病マニュアルには存在しないし、性別の移行を望むことは疾患(disoder)でなくなった。
(「性同一性障害」の実質的な後継概念である「性別不合」は「疾患」ではなく「状態(condition)」)

そうした変化を踏まえるならば、現行の「GID特例法」の、精神科医が法律の対象である「性同一性障害者」を診断により選定する枠組み(病理モデル)は成り立たないのは明らかだ。

しかし、いっさい制約なく届け出だけで性別変更ができるシステム(アルゼンチン方式)は、法制度の乱用による社会的混乱が懸念される。

やはり、何らかの「歯止め」(gate keeper)が必要だと思う。

これまでは精神科医がgate keeperを務めてきたわけだが、家庭裁判所が担うのが本来だと思う。

その際、判断の基準になるのは、RLE(Real Life Experience)だろう。

戸籍の性別の変更を望む者は、まずRLEを行うことを家裁に届け出る。
その上で、一定期間、望みの性別で社会生活を送る。
その状況を家裁が観察して判断すれば、興味本位の乱用は排除できると思う。

その期間は、「三橋私案」では最低1年と考えたが、慎重を期すなら3年でもいいと思う。

ともかく、この問題、要件論ばかりを議論するのでなく、「枠組み」(制度設計)からきっちり見直さないといけない。

制度設計の議論を疎かにし、要件論に終始した20年前の愚を繰り返してはいけない。

※「三橋私案」については、下記を参照してください。
三橋順子「LGBTと法律 ――日本における性別移行法をめぐる諸問題」(谷口洋幸編著『LGBTをめぐる法と社会』日本加除出版、2019年)

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