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ホルモン治療剤の事情 [現代の性(性別越境・性別移行)]

12月26日(月)

数日前、Twitterで、性別不合のホルモン治療剤の治験を某製薬会社が「開始する」という情報が流れたが、正確には「GID学会など関係者から要請はうけているものの、治験を行うという決定には至っていない」とのことで、ぬか喜びの誤報だった。

治験にかかる膨大な費用と、ホルモン治療の薬剤として認可された場合の利益の少なさを考えたら、残念ながら、製薬会社が治験の要請に乗らないのは、企業として合理的な判断で、仕方がないこと。

治験で有効と認められ、性別不合の治療薬として認可されても、適用する人の数が少ない。
しかも、女性ホルモンと男性ホルモンとまったく違う2種類の薬剤を用意しないといけない。

治験や製剤にかかるコストを回収しようとすると、かなり高額の薬になってしまう。
現在のように、女性の更年期障害の治療薬(女性ホルモン剤)を流用している方が、健康保険の適用にはならないが、安く済むかも。

男性ホルモン剤は、そもそも女性ホルモン剤に比べて用途が少ない。
世界でも製造している工場が少なく、ほぼ1カ所(メキシコ)と言われている。
数年前、その唯一の工場が事故で製造が止まり、利用者が大騒ぎになった。
当事者にとっては「命の綱」であっても、意外と製造・供給は不安定。

あと、ここに書いたような事情を、多くの当事者があまり知らないというのも、困ったもの。
「魔法の薬」は空から降ってくるわけではない。
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