SSブログ

「モデナの恋人」は男女ではなかった [性社会史研究(一般)]

9月15日(日)

イタリア北部のモデナ(バルサミコ酢の産地)で、2009年に出土し「モデナの恋人」と呼ばれていた、手をつないだ状態で並べて葬られていた4~6世紀ごろの2体の人骨が、歯のエナメル質のタンパク質分析の結果、両方とも男性と判明。
モデナの人骨.jpg
画像を見る限り、骨盤は土圧でかなり変形しているので、適切な判断は難しいと思う。
比較的状態が良い、腕と足の骨で比較すると、右側の人がやや華奢な印象があるが、どちらも男性と見るべきかと思う。

形質人類学は、30年以上前に勉強したことなので、あてにはならないが。

日本でも、奈良・斑鳩の藤ノ木古墳(6世紀)の石棺にいっしょに葬られている2体の人骨が両方とも男性である(可能性が強い)という鑑定結果になって、ちょっとした論争になったことがある。

並べて仲良く埋葬されていたら、男女の恋人だろうと考えるのは、異性愛ロマンティズムそのもので、古代の場合、必ずしもそうとは言えない。

--------------------------------
古代ローマの「恋人たち」 実は男性同士 手をつなぎ埋葬

【9月14日 AFP】2009年にイタリアで発見され、手と手をつないで埋葬されていたことから「モデナ(Modena)の恋人たち」として知られていた5世紀の人骨2体が、どちらも男性のものであったとする論文が今週、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。

研究者らはこれらの人骨について当初、性別を確認できなかったことから男女のものと推定し、酢の産地として知られるイタリア北部モデナに住んでいた恋人同士のものだった可能性があると考えていた。だが、歯のエナメル質に残されたタンパク質を分析する新技術により、2人は男性同士であることが確認された。

男性2人がなぜ手をつないだ状態で丁重に埋葬されていたのかは、依然として謎のままだ。論文によると、同じ墓所で発掘された他の人骨11体のうち、数体には戦闘で受けるものと同様の損傷があった。

伊ボローニャ大学(University of Bologna)のフェデリコ・ルリ(Frederico Lugli)教授の研究チームは「この2人の『恋人たち』は、戦闘で共に亡くなった戦友、あるいは友人同士であったため、同じ墓所に埋葬されたのかもしれない」「あるいは、2人は親族──年齢が近いことから、いとこ同士あるいは兄弟の可能性もある──で、親族関係があることから同じ墓に入れられた」と説明している。

一方、2人が同性の恋人同士として埋葬された可能性は低いという。研究チームは「この2人が恋愛関係にあった可能性は排除できないものの、埋葬を行った人々がそのような絆を表すために2人の手をつながせようと決めた可能性は低い」と結論している。

手をつないで埋葬された成人の人骨は、古くは8000年前の新石器時代のものを含めこれまでに少なくとも6組が見つかっているものの、すべて男女のカップルとみられている。(c)AFP

「AFP」2019年9月14日 6:21 発信地:パリ/フランス [ フランス, イタリア, ヨーロッパ ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3244454

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。