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「432円の万引き」で勾留19カ月になった訳 [事件・事故]

8月31日(土)

きわめて少額の窃盗で、しかも犯行を認めて弁済しているにもかかわらず、起訴されたのは、ひとえに累犯だから。

で、弁護士がとった作戦が、性同一性障害→解離性同一性障害→(精神障害で)訴訟能力なし→起訴不当→控訴棄却という論理。

そうなると、鑑定ということになり、「5カ月」が適当かどうかはともかく、ある程度の時間がかかるのは当然。

結局、懲役1年2カ月(累犯なので執行猶予はつかず実刑)nの判決なのに、拘留期間は1年7カ月というまったく引き合わない結果になったという話。

5カ月余計に拘留された分はどうなるのだろう?

きっちり治療しないと、また犯行を重ねる可能性が高いパターン。
治療を条件にいったん処分保留にして、入院治療後に起訴猶予にするのが妥当だと思う。

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432円の万引き、勾留19カ月 訴訟能力争い長期化

百円ショップで400円ほどの万引きをしたとして窃盗罪に問われた女(37)に、名古屋地裁(吉井隆平裁判長)は29日、懲役1年2カ月(求刑懲役1年6カ月)の実刑判決を言い渡した。被害が少額で犯行も認めていたにもかかわらず裁判は1年4カ月も続き、勾留日数が刑期に算入されて即日釈放となった。

判決によると、被告の女は2018年1月25日午後1時ごろ、名古屋市中区の店舗で、食品4点(販売価格計432円)を万引きした。これまで窃盗罪で3回の懲役刑を受けて2度服役し、事件の5カ月前に仮出所したばかりだった。弁護人によると、被告は逮捕時から容疑を認め、事件直後に被害を弁償した。だが勾留は逮捕時から判決まで1年7カ月間続いた。

裁判が長期化した要因の一つは、被告の訴訟能力の有無を調べる鑑定手続きが長びいたことだ。鑑定結果が出るまで、公判は約5カ月間中断した。被告には性同一性障害があり、長年の性不一致の悩みなどから解離性障害などの精神障害を発症。弁護側は、起訴前の取り調べや初公判で解離性障害による別人格が現れたことなどから、「被告には訴訟能力がない」と主張し、起訴は不当だとして公訴棄却などを求め、「福祉的、医療的支援を続けることで解決することが相当だ」と訴えた。被告は公判中も自身と別人格の名前を名乗った。

判決は訴訟能力はあったと認定する一方で、量刑理由で「被告には解離性障害や性同一性障害などの精神障害が認められ、本件に影響を及ぼしていることがうかがわれる」と指摘した。

常習性、治療重視の例も

繰り返し窃盗事件を起こして有罪判決を受けている人は、刑がより重い「常習累犯窃盗罪」に問われることがある。ただ近年は治療を重視して起訴を見送ったり、減刑したりする例も出ている。

今年1月、高知地裁は万引きを繰り返したとして常習累犯窃盗罪に問われた30代の女に対し、「窃盗症」などを理由に常習性を認めず、懲役4年の求刑に対し、窃盗罪で懲役1年2カ月の実刑判決を言い渡した。また、石川県では13年に窃盗罪で服役した男性が出所後にホームセンターで万引きをした容疑で書類送検されたが、金沢地検は治療を条件に処分保留にし、た。男性は入院治療を経て、起訴猶予になった。

窃盗症といった精神疾患が関わっているとみられる窃盗事件などの弁護を多く手がける林大悟弁護士(東京弁護士会)によると、逮捕後に検察が勾留せずに釈放し、専門の医療機関で治療したことで、社会復帰した容疑者もいたという。「窃盗を繰り返す人に対し、治療による再犯防止の程度はどれくらいなのかを考えて起訴や量刑が判断される時代になってきたと感じる」と話す。(大野晴香)
『朝日新聞』2019年8月29日23時58分
https://digital.asahi.com/articles/ASM8D3V31M8DOIPE007.html

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