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なぜ今、精神医学専門誌が「LGBT」特集? [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

3月5日(土)

精神医学の専門雑誌が「LGBT」を特集するとかで、執筆依頼のメールが来たがお断りした。
なぜなら、依頼の論題が「日本の歴史に見られるLGBT」だったから。

他の本にも書いているが、私は基本的に「日本の歴史の中にLGBTはいない」という立場を取っている。
もう少し丁寧に言うと、歴史学を学んだものとして「LGBT」という現代の概念を、歴史を遡って適用するのは無意味であり、むしろいろいろな誤解を招き、危険であると考えているから。

もちろん、歴史の中には、同性間性愛や異性装(女装・男装)という現象はしばしば見られる。
しかし 、それは現代のLGBTとはかなり異なるもので、その異なる部分に歴史文化的な意味があると考える。

それにしても精神医学の専門誌が、今なぜ「LGBT」特集を組むのだろう。
まだ脱精神疾患化を果たしていない部分を含むTはともかく、LGBはもうかなり以前、1990年代に完全に脱病理化して、いかなる意味でも病気ではなく、治療の対象でもない。
つまり、LGBについては精神医学が首を突っ込む余地はないはずだ。

まあ、心理的支援ということなのだと思う。
微妙にきな臭い物を感じてしまったのは、私の思い過ごしだろう。

【追記(7日)】
私が提起した代替案を編者の先生&編集部が受け入れてくれたので、「同性間性愛・異性装文化の普遍性」という論題で執筆することになりました。
「微妙なきな臭さ」にしっかり水をかけるためにも、執筆したほうが良いと考え直しました。

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コメント 2

ところてん

お断りして正解ですね。
「LGBはもうかなり以前、1990年代に完全に脱病理化して」
そうですね、もう教科書に載っていないし、授業もないだろう。
だが、病気と思っている医者や精神科医は結構いるだろうね。

自分や大衆の感覚や直感と異なるものは病気とするのが、
以前の精神医学だったが、
当の学者や医者達はその方がよほど病気だと誰も気づいていなかった。
そんな尊大さが今でも医学教育や雰囲気に染み付いていて、
自分の理解を超えるものは異常とする医者は多いでしょう。

で、恥知らずというか能天気というか、そんな特集組んだんでしょうね。
by ところてん (2016-03-06 23:00) 

三橋順子

ところてんさん、いらっしゃいま~せ。

LGBTブームに便乗と言えばそれまでなのですが、精神医学は過去において性的マイノリティに対してかなり「ひどいこと」をしてきたわけで、そうした加害性への反省なしに、LGBTに関わって欲しくないと思います。

そこらへんのことも書いて良いという了解を取りましたので、執筆することにあしました。

by 三橋順子 (2016-03-12 13:56) 

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