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ニューヨークの「ゲイ地区」の変遷 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

9月12日(日)

北丸さんの『愛と差別と友情とLGBTQ+』を読んで、今まで整理できてなかったニューヨーク市の「ゲイ地区」の変遷がやっと頭に入った。

グリニッジ・ビレッジ(住宅街)
 ↓(1990年代、北隣に移動)
チェルシー(元・倉庫街)
 ↓(2000年代)
ブルックリン(マンハッタン島の東南向こう岸)

なにしろ、ニューヨークの地理がまったく頭に入ってないので、イメージができなかった。
その点、71頁の地図は、とてもありがたい。

例によって日本に引き寄せて考えると、そもそも東京にはゲイの人たちが集住する地区はない。
新宿「二丁目ゲイタウン」と言われるが、あそこはゲイを顧客とするお店(飲食店)が集中している街で、二丁目に住んでいるゲイは少ない。
ほとんどのゲイは、「ゲイタウン」以外から、夜なり週末なりに通ってきて楽しむ街だ。
遠い人は他県からやってくる。

ニューヨークの「ゲイ地区」が居住地であり、人々がそこで生活しているのとは、かなり異なる。
これは、かなりというか、本質的な構造差である。

要は「カミングアウト」の問題だと思う。
以前のアメリカでは、ゲイであることを「カミングアウト」すると、周囲(地域)の人たちの人間関係がうまくいかなくなり、現居住地を離れて、大都会(ニューヨークやサンフランシスコ)に出ていき、仲間たちと集まって住むしかなかった。

日本の場合、多くのゲイは「カミングアウト」しなかったので、「隠れゲイ」として、住み続けることができた。
田舎の保守的な故郷に嫌気がさして、東京や大阪に出てきても、一般の住宅地に住んで、二丁目に通っていれば、問題はなかった。

前川直哉さんが『〈男性同性愛者〉の社会史』の219頁で、日本のゲイは「カミングアウトではなく、(二丁目という)クローゼットの充実」を選んだと指摘している。
その通りだろう。

ただ、2015年以降、「カミングアウト」するゲイは増えたはずだ。
それでも、ゲイが集住化する傾向は見られない。
少なくとも東京では、ゲイであることをカミングアウトしたとしても、周囲の環境が悪化することは、もうあまりないだろう。

「見ればすぐにわかる」Trans-womanの私ですら、現住地でもう13年になるが、別に居住環境は悪化していないのだから。


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