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『女子的生活』主人公みきの自己規定的語りの分析 [お仕事(講義・講演)]

12月2日(日)

『女子的生活』主人公みきの自己規定的語り。
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「女の子になりたいの。でも身体はまだいじってない」
「だから今は実家を離れて、女子的生活を満喫してるの」
(「それって性同一性障害ってやつ?」という後藤の問いに対して)「よく知ってたね。でも、今は性別違和って言い方をします。ま、私の場合、いちばんしっくりくるのはトランスジェンダー」
「女の子になって女の子とカップルになりたい。つまり、心はレズビアン、でも、体は男」
「私はかわいくて、きれいな女の子が好きなの」

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① 「女の子になりた」の内容は、「女の子として生活する(女子的生活)」が第一義で、身体を女性化するきがないわけではないが、第一義的ではない。
 → 身体はおそらく第三義以下?
② 性同一性障害≒性別違和であるかどうかについては、否定も肯定もしていない。
 → そんなこと、どうでもいい?
 女装であること、男であることも否定しない。
 → 「性同一性障害者」的ではない。
③ 女の子として女の子が好き。心理的にはレズビアン。
 「女の子が好き」という語りは繰り返される。
 → かなり意識として比重が高い
④ 元同級生で同居人の後藤が見せる男性ジェンダーへの強い違和感、ときどき現れる自分の「女子的」でない部分への嫌悪感、(高校時代の回想シーンで)ホモソーシャルな関係性に入っていけない状態などから、みきに、かなり強い男性性嫌悪があることがうかがえる。
その反動が、やや過剰な「女子的な」「かわいい」「きれいな」もの(人・物)への愛着になっていると思われる。

【註】
原作(坂木司『女子的生活』新潮社、2016年)では「(性同一性障害とは)近いけど、違う」と否定している。
また、身体については「いつかどうにかしたいけど、手術するにはお金も必要だし。ていうか、手術するほど方向性がさだまってないというか」と語っている。さらに「なぜなら私は、男の身体を嫌悪しているわけではないからだ」と身体嫌悪を否定している。
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