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新吉原「カストリ書房」へ [性社会史研究(遊廓・赤線・街娼)]

2月20日(火) 
(続き)
JR総武線(浅草橋駅乗換)都営地下鉄浅草線で浅草へ移動。
打ち合わせが早く終わったので、1時間ほど余裕。

ずっと行きたくて行けなかった花川戸の履物問屋さんへ。
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下駄を2つあつらえ。
15年来愛用の焼桐の右近の台、これが最後らしい。

需要がないので、当然、後継者がいなくなる。
哀しいけど仕方がない。

長年、お世話になっているこの問屋さんも、以前は職人さんがいて、その場で鼻緒をすげてくれた。
客の足を見ただけで、鼻緒の調整をピタリと合わせる名人芸だった。
そのおじいさんもいなくなり・・・、今は2週間待ち。

和装履物、とくに下駄の将来は暗い。
私が生きているうちは、なんとかもって欲しいと思っていたが、悲観的になる。

まだ時間があるので、大川沿いに花川戸の道を歩く。
以前は、ずらりと履物屋さんが軒を並べていたが、ずいぶん減った。

15時過ぎ、言問通りの交差点でタクシーを拾う。
「吉原の大門までお願いします」
初老の運転手、なぜか動揺。
道を間違え、少し遠回り。
しかも「大門まで」と言ったのに、なか(廓内)に入ってしまい、ソープランド街のど真ん中で停車。
メーター通りの料金を渡して「領収書、お願いします」と言ったら、「すいませんでした」と領収書と50円玉を渡された。

少し戻って江戸一通りに入り、「吉原公園」を通って、廓外へ。
お歯黒溝(おはぐろどぶ)跡の道を歩いて、遊廓専門書店「カストリ書房」へ。
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昨秋の移転&新店舗になってから初めて。
昨年、友人の研究者を案内して訪れるはずだったが、体調が優れずキャンセルしてしまったので。

店主に依頼された『風俗科学』1954年7月号を持参。

「かなりあちこち探したのですが、三橋さんのコレクションしかヒットしなくて・・・」とのこと。
まさか「天下の孤本」ということはないだろうが、残存数が少ないのは確かのようだ。

御礼に、千葉由香著『みちのく仙台常盤町 小田原遊廓随想録』(カストリ書房、2018年1月)をいただく。
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なんだか申し訳ないので、私からの「赤線」亀戸の地図(1954年の火災保険地図)を提供。

新店舗、元は皮革工場だったそうで、以前の店舗より倍以上も広い。
手前の作業場だった土間と靴を脱いで上がる部屋が店舗、土間の右側が事務室、そしてその奥が資料室。
購入する本を選んだ後、資料室を見学。
書籍・雑誌だけでなく、関連の地図もファイルされていて、かなり充実している。
2、3、有益な情報をメモ。

伏見通りにわずか2軒だけ残っている「赤線」建築の現状を確認。
(残っていてよかった)

角町のソープランドに来たお客(おじさん)が降りた直後のタクシーを店の真ん前で拾う。
10数年前、同じパターンで乗ったら、運転手に「今日は早番ですか?」って言われたことあった。
今日は何も言われない。
そりゃあそうだ、いくらなんでもこんな高齢のソープ嬢はいない。

浅草でタクシーを降りて、都営地下鉄浅草線に乗る。
(続く)

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