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男性ホルモン注射剤の広告(『内外タイムス』1954年8月4日) [性社会史研究(一般)]

4月23日(土)
「1本の注射で1カ月有効!」
持続性 強力男性ホルモン注射剤「デポ-エナルモン」の新発売を告げる大きな広告(帝国臓器)。
男性ホルモン剤(『内外タイムス』19540804).jpg
掲載誌は『内外タイムス』1954年(昭和29)8月4日号。
男性ホルモン注射剤の大量生産・大量販売が始まった時期がこの頃であることがわかる。

ただ、不思議なのは、この大きな広告が医学雑誌ではなく、現代で言えば『日刊ゲンダイ』に相当するナンパ系の一般紙の娯楽頁(多分に性風俗を含む)に掲載されていること。

ちなみに、すぐ隣は浅草や新宿のストリップショーの広告。
SCN_0046 (2).jpg
ということは、この男性ホルモン剤の広告は、ストリップショーが大好きな性行動が旺盛な男性向けなのかもしれない。

でも、経口剤ではなく注射剤・・・。
当時は、現在よりも注射器・注射針の管理が甘く(というか、ほとんどなく)自己注射が広く行われている状況があった。
たとえば、ヒロポン(覚醒剤)の自己注射とか(ヒロポンは、1951年に「覚せい剤取締法」がされて原則禁止)。

つまり、精力を維持したエロオヤジが、この広告を見て男性ホルモン注射剤を購入し、自己注射していたのではないか?という推測が浮かぶのだが、どうだろう。

それにしても、この広告から60年後、女性として生まれた人が「治療」の名のもとに男性ホルモン注射剤を大量に使用する時代になるとは、薬剤開発者は夢にも思わなかっただろう。


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