SSブログ

男性ホルモン投与療法、死亡などリスク増 [現代の性(性別越境・性別移行)]

11月8日(金)
中高年に対する男性ホルモン(テストステロン)療法の死亡リスク増加を紹介するAFPの記事。
平均2年間のテストステロンの継続投与の3年後に心臓発作や脳卒中を患ったり、死亡したりしたする率が、非投与群の20%に対して投与群は25%。
あきらかにリスクが上昇する。
5%の上昇をどう見るか?
そのくらいの上昇だったら、「男らしく」生活する方を選ぶ男性が多いのかも。
日本の場合、一般男性に対するテストステロン補充療法は、アメリカのように盛んには行われていないと思う。
日本でいちばんテストステロンを大量に継続投与しているのは、「性同一性障害」のFtMの人たち。
私は、以前から、テストステロンの大量継続投与に由来する「FtM短命説」を唱えているが、報道されたデータが正しければ、FtMの短命化は否めないのではないだろうか。
FtM本人たちは、太く短くても男らしく生きたい人が多いのだと思う。
それは、個人の生き方の問題だから、それでいいと思う。
しかし、短命化をもたらす可能性が高い物質を「治療」と称して投与し続けることが、はたして「医療」なのだろうか?
まあ、QOL(生活の質)が向上するのなら、どんな投薬でも許されるという考え方はあるだろう。
だからと言って、短命化を招く投薬を、健康保険の対象にすることには、私は懐疑的だ。


-------------------------------------------------------
中高年の男性ホルモン療法、死亡などのリスク増
【11月7日 AFP】男性ホルモン「テストステロン」の補充療法を受けた中高年男性は、心臓発作や脳卒中、死亡のリスクが高まるとの研究報告が5日、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に発表された。

研究は、テストステロンの分泌が少ない男性8700人超を対象に行われた。このうち1223人はテストステロンの補充療法を受けた男性で、平均治療期間は約2年。

研究開始から3年後、ホルモン療法を受けていないグループの5人に1人近くが心臓発作や脳卒中を患ったり、死亡したりした。一方、補充療法を受けたグループではこの割合が4人に1人だった。

米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)のアン・コッポラ(Anne Cappola)氏は、ホルモン療法を受けたグループの男性は、受けていないグループよりも「初めは若干健康だった」ことから、リスクの増加は特に注目すべき点だとしている。また、ホルモン療法を受けたグループの平均年齢は61歳で、受けていないグループ(平均64歳)よりも若かった。

研究を行った米テキサス大学(University of Texas)のレベッカ・ビガン(Rebecca Vigan)氏などのチームは研究報告の中で、「今回の結果はテストステロン補充療法の安全性に疑問を呈するものだ」と指摘している。

研究報告によると、米国ではテストステロン補充療法の年間処方件数は2000~2011年に5倍に増加し、530万件に達した。金額にして16億ドル(約1580億円)前後に上る。

この治療法は、テストステロンの減少に伴う性欲減退、精力減退、記憶力の低下などの症状がみられる男性に対し推奨されている。(c)AFP
「AFP」2013年11月07日 09:00 発信地:ワシントンD.C./米国
http://www.afpbb.com/articles/-/3002855
nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 3

ran

この話、ちょうど昨日話題になっていました。
FTMの場合、子宮卵巣摘出前は定期的なホルモン療法を行わないと生理が戻ったりしてしまいますが、内摘後は特にそうした心配もなく、また声や身体の男性化はすでに終了しているので今更必要無い。そうなるとあとは骨粗鬆症のリスクくらいで、男性ホルモンの投与をかなり減らせるのではないかという話です。
確かにその通りで、MTFと違ってFTMの場合は、従来と同様のホルモン量まで必要とは思えません。
このあたりの治験を、ぜひ進めて頂きたいと思います。
そうなれば、三橋さんが指摘されているようなリスクをかなり減らせるような気がします。
尚、最近流行?のネビドですが、内摘後だとやはり男性ホルモンが強すぎるのか、禿が進行することが多いようです。
by ran (2013-11-11 06:08) 

三橋順子

ranさん、いらっしゃいま~せ。
>男性ホルモンの投与をかなり減らせるのではないかという話
冷静でちゃんと勉強している当事者は、よく分かっているのだと思います。
一方で、習慣的に多すぎる量を入れている当事者もかなりいるのではないでしょうか。
「習慣的」というのは、医者も当事者もという意味です。
私の基本的な考え方は、「薬はできるだけ少な目」にですが、「ホルモン剤はできるだけ多く」を望む当事者心理、かなり根強いと思います。
そこらへん、.jpさんの力で、もっと啓蒙していただけると、良い方向に行くのではないでしょうか。
MtFの場合も、ある段階まで女性化が進めば、あとは維持するだけなので、現在の一般的な投薬量は多すぎる気がします。
とくに中高年のMtFの場合、若年のMtFと同じレベルの女性ホルモン量は、あきらかにおかしいです。
もっと、ちゃんと「おばあさん」になりましょう。

by 三橋順子 (2013-11-11 13:38) 

Gen

お二人のやり取りが勉強になりました。
ありがとうございました。

ホルモン治療中の友人が20代から始めたFTMと比べて限界があるようだ、自分はこのままらしい、と悩んでました。
先日会ったFTMの彼らは確かに「男」していましたが、内摘は生命保険に入れなかったり、後年色々出てきたりとリスキーな選択肢に思えます。
生物や薬理を学んでいる身としては人体への侵襲は最低限にとどめたいところです。
「男として生きたい」という欲求は彼らにとって本能的なものですから、覚悟の上でやるなら仕方がないことだとも思います。
まだ10代や20代なら先が長いですからね・・・・。

我々中年は閉経という自然現象がある、様子を見ては、と言ってみました。
家族もいるし、今後介護だのなんだの、体力を要することが待っているのに、健康を減じる方法を取るのもな、と思いましたし・・・。
年取れば年取っただけ衰えるのは自然の理ですからね・・・・。
現在ホットフラッシュが始まったばかりで、健康の大切さをひしひしと感じています・・・・。

短命化をもたらす可能性が高いものを医療と言えるのか、というのは根源的問題で、考えさせられます。
同時にFTM,MTF当事者の「生きる苦痛を取り除く可能性のある数少ない選択肢」でもあることを考えると、何らかの救済手段もあってしかるべきだろうとは思います。
医療でないとしたら、「差別のない、公平な社会の実現」という事でしょうが、だいぶん時間がいりそうですし・・・・。

とりあえず仲間には内摘後のホルモンは少なめでいいという話を広めてみます。
ありがとうございました。
by Gen (2013-11-12 02:37) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0