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「装いとセクシュアリティ」執筆辞退問題、やっと決着 [お仕事(執筆)]

4月14日(木)

ずっとくすぶっていた某論集の「装いとセクシュアリティ」の執筆辞退の件、執筆辞退・原稿取り下げでやっと決着。

昨秋、入稿した原稿に、2月になって編者から大幅な削除(1節分全部)・訂正要請がついき、その段階で「これは駄目だ」と判断して、執筆の辞退・原稿取り下げをお願いした。

ところが、編者の1人から、「1節分全削除」の撤回を条件に強く慰留され、そもそもこの論集への執筆がその先生の推薦だったこともあり、顔を立てて「再考する」という返事をしてしまった。

今週になって届いた再度の訂正要請を見て、それが間違いだったことに気づいた。
いくつかある訂正要請の内、「オナニー」という言葉を「自慰」に書き換えるよう強く求められたところで、私の心は完全に折れた。

「オナニー」という言葉は、性科学(セクソロジー)では立派な学術用語だ。
その是非をめぐって宗教学(キリスト教)・衛生学・医学・教育学などの分野で膨大な論議の蓄積があり、それらに対する学術研究もなされている。

それを、まるでポルノ用語であるかのように扱ってNGワードにするというのは、私にはまったく理解ができない。
しかも、その理由は「女性にとって気になる」というあやふやなもの。

こんな理不尽な要請を受け入れてしまったら、私は「オナニー」について真面目な学術研究を重ねている「性慾研究会」の仲間たちを裏切ることになる。
早い話、齋藤光さん(京都精華大学教授:性科学史)に顔向けできない。

私はそんな見識の編者の下では仕事はしたくない(最終的な結論)。

出版社と編者の意向は、より多くの講義で教科書に採用されるように、そしてその教科書を講義に使う大学教員のリスクが少なくなるように、どこからもクレームがつかないような穏便で無難な本を作るという方針なのだそうだ。
それは、たしかに営業的には正しいのだろう。
学生が読んで、頭や心が刺激されない、眠くなるような本が安全な教科書なのだ。
それは、私もわからないわけではない。

でも、私にはそういう文章が書けない。

居眠りしている学生が起きてしまうような頭や心を刺激する文章は書けても、無難で無味乾燥で安全な、学生が眠くなるような文章を書く能力・技術がない。

やはり、最初から人選ミスだったのだと思う。
私は、最初の削除・訂正要求が来たときに、遅まきながらそのことに気づいた。

今まで書いたことがないファッションという分野の依頼が来て、ついうれしくなって、自分が不適任であることに気づくのが遅れてしまった。
依頼があった時点で、気づくべきだったのだ。
その点、編者の先生や出版社にたいへんご迷惑をかけてしまい、たいへん申し訳なく思っている。

この1カ月半、この問題で、ほんとうに精神的に辛かった。
でも、これでやっと脱出できるかも。
「お蔵入り」になった論考は、適当な時期になったら、ブログにアップするつもり。


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