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9月2日(月)性欲研、韓国に行く(2日目の1:ソウルの朝ご飯、書店にて) [旅]

9月2日(月)  晴れ  韓国ソウル  26.7度 湿度28%(気温・湿度とも15時)

6時半、起床。
シャワーを浴びて、髪と身体を洗う。
シャワーの水圧はあまりよろしくない(部屋は3階なのに・・・)。
よくブローして、あんこを入れて頭頂部で結びシュシュを巻く。
化粧と身支度。
水色・黒・白の不思議な柄のロングチュニック(2分袖)、黒のレギンス(3分)、黒のサンダル、黒のトートバッグ。
8時半、ロビーに集合して朝食に出掛ける。
今日もさわやかな初秋の気候。
5分ほど歩き、オフィス街の一角にある食堂に入る。
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↑ 24時間営業らしい。
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↑ 店の前に出ている看板。
ハングル、英語、日本語、中国語(簡体字)の4カ国語併記、なんと国際的。
写真を撮り忘れたが、テーブルの隅に5cm四方ほどの正方形の穴が2つあり、そこに蓋つきの金属容器が収まっている。
蓋を開けると2種類のキムチ(食べ放題・無料)。
キムチボックスとでも言うのだろうか。
いろいろ食べたいので、皆でシェアする前提で注文。
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↑ いちばん安くシンプルな定食。ご飯の上に海苔を敷き、その上に卵焼き。
これでも、食べ放題のキムチがあるので十分に食べられる。
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↑ 海苔巻き(キムパブ)。
これは日本の太巻の方がずっとおいしい。
ご飯が酢飯ではないからか。
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↑ うどん(カルグクス)
麺は煮込んであるらしく、柔らかい。
汁はやや薄味というか、例によってコクがない。
キムチを入れると、おいしくなった。
長方形のものは、油揚げのように見えたが、食べてみると魚の練り物のようで、薄くスライスした蒲鉾に近い。
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↑ 韓国風水餃子(マンドゥクク)。
これは、おいしかった。
韓国では餃子状のものを「饅頭(マンドゥ)」と言う。
中国の「饅頭(マントウ)」とは明らかに違う。 
ああ、朝からお腹いっぱい。

時間が中途半端なので、徒歩5分ほどの「教保文庫(キョボムンゴ)・光化門本店」へ。
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キョボ文庫は、1981年に開店した韓国の大規模書店で、全土の20店舗を展開する。
日本で言うと「じゅんく堂」あたりに相当するのかも。
「光化門本店」は、大きなビルのワンフロア―を占める。
階段を上下する必要はないが、フロアーが広すぎて迷子になりそう。
本好きのメンバーが多いので、ここで1時間を取る。
私はもう昔のように国外で本を買い集める気はないし、そもそも本のほとんどがハングルなので、手にとっても中身がまったくわからず、手持無沙汰。
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↑ 「電撃文庫」(アスキー・メディアワークス)、「ビーンズ文庫」(角川書店)やアニメ系の本が充実している日本語書籍のコーナー。
残念ながら(当然のことながら)『女装と日本人』(講談社現代新書)『性的なことば』(同)、『性欲の研究』(平凡社)は置いてなかった。
昔、勉強した朝鮮古代史の棚を探してみる。
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三品彰英先生(1902~71)の『新羅花郎の研究』(原著は1943年)の朝鮮語訳があった。
きちんとした研究は、こうして読み継がれるのだなぁと思う。
私が朝鮮古代史や金石文を勉強した頃(1980年代)は、韓国で刊行される書籍や論文、発掘報告書はまだ漢字ハングル混じり文のものが多かった。
朝鮮語と日本語は文法の基本がよく似ているので、助詞を表すハングル、たとえば画像に見える『新羅花郎의研究』の「의(の)」とか、『皇龍寺의造営과王権」の「과(と)」などを覚えておくと、文章は漢字の拾い読みくらいだったが、図版のキャプションはなんとか理解できた。
こう並べてくれると、どうも「신라」は「新羅」らしいということくらいはわかるが、あとはもうどうにもならない。
(ライチさんの教示によると、左から4冊目は『新羅文化研究』だそうだ)
『朝鮮王朝実録』(原漢文)の抄録本があったが、やはり中はすべてハングル。

韓国では、 朴正煕政権下の1970年から漢字廃止・ハングル専用政策がはっきり打ち出される。
小学校での漢字教育が禁止され、公文書のハングル化が促進された。
政権によって若干の方針変更はあったものの、漢字廃止・ハングル専用の流れは一貫している。
2005年1月の国語基本法では、ハングル専用を規定し、漢字を括弧内に書き添えることも大統領令が定める場合に限定されることになった。
漢字を排除し、バングル専用とすることで、朝鮮語を保全し、民族文化を発展し、国民の創造的な思考力を増進し、文化的な質を向上させようという政策なのだそうだ。
日本人が日常的に漢字と仮名を平然と混ぜ書きし(時には英語まで混ぜ書きする)、子供たちに「漢字検定」を受けさせていたのと同じ時期で、なんという違いだろうか。
(まあ、日本でも、明治以降、漢字廃止=ローマ字化の動きは、何度もあったが…)
その結果、韓国では漢字教育を受けていない、漢字が苦手・読めない「ハングル世代」(だいたい1960年代以降誕生の世代)が生れ、今や「ハングル世代」が社会の多数を占めるにいたった。
現代の韓国では、自分の名前すら漢字で書けない人が多い。
そもそも、若い世代では、どういう漢字を充てるのかすら不明(自分も知らない)な人がいる。
すでに、韓国は漢字文化圏から離脱したと言っていい。

これは、文化的にすごく大きなことだ。
まず、自分たちの祖先が残した文化遺産(ほとんどが漢文)や書籍(漢文、もしくは漢文ハングル混り文)を、専門の研究者以外、まったく読めないことになる。
日本人なら、たとえば「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」という300年前の先人が残した文章を、意味はともかく、たいていの人は音読できる。
ところが、韓国の人は、わずか40年前に漢文ハングル混り文で書かれた書籍すら読めない状況になっている。
まあ必要な書籍だけ、ハングル文に翻訳すればいいという合理主義なのだろう。
でも、文化の継承って、そういうものだろうか?

次に、同じ漢字文化圏の国との交流の問題がある。
昔は、私がそうしていたように漢字という共通文字をキーにして、日本語と朝鮮語は互換性があった。
韓国の人が日本語を習うのも、使っている漢字と文法がほぼ同じなのだから習得に便があった。
漢字の熟語を並べておけば、中国や台湾の人が理解することができたし、筆談も可能だった。
今や、それは難しくなっている。
韓国は今後、中国との関係を深めていくだろう。
その時、漢字を捨ててしまったことを後悔しないだろうか?
東アジアでの共通文字である漢字を捨ててしまった損失は、文化的だけでなく、経済的にもかなり大きいと思う。
(続く)

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コメント 2

ライチ

教保文庫、留学中よく行ってました!なつかしー!!

ちなみに、左から4番目の本は、「新羅文化研究」と書いてあります。

韓国は、大統領が変われば、
日本でいう「学習指導要領」が変わるので、
漢字については、世代でかなり差があります。
40代だとわかる人が多いです。
30代から20代だと、かなり苦手な人が多く、
それより下だと、塾で勉強している子だけができるという、
なんともひどい状況です。
by ライチ (2013-09-09 00:24) 

三橋順子

ライチさん、いらっしゃいま~せ。
たびたび、ご教示ありがとうございます。
本文、ちょっと直しておきます。
中国との交流が盛んになると、漢職業教育的に漢字学習が復活するかもしれません。
でも、その場合は、韓国の人が学ぶのは正字体(繁体字)ではなく、簡体字ですね。

by 三橋順子 (2013-09-10 15:39) 

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