SSブログ

遺伝性乳癌リスク女性の乳腺予防摘出 [現代の性(一般)]

5月17日(金)
この情報に接した時、6年前の今の季節に若くして逝った友人Sちゃんのことを思い出した。
彼女は典型的な乳癌の家系で、お母さんもお姉さんも乳癌で若死。
本人は遺伝的なものを自覚して相当な注意を払っていたにもかかわらず、30代半ばで発症。
しかも進行の早い悪性の乳癌で、乳房全摘手術のかいなく脳への転移で亡くなった。
ジョリーさんは、乳癌になる確率は87%だそうだ。
きっとSちゃんも似たような遺伝的体質だったのだと思う。
いくら乳房再建技術が発達したとはいえ、女性が乳腺の全摘を決断するのは、相当なな覚悟が必要だし、哀しいことだと思う。
しかし、こうした高率の遺伝性乳癌の体質の場合、予防的に乳腺を摘出するという方法は有りだと思う。

少なくとも、当時そうした方法があったらSちゃんは若死にしなくて済んだかもしれない。
あの悲しかったお通夜(2007年5月16日)から、もう6年が経ったのか・・・。
-------------------------------
乳腺予防摘出:米で急増、効果未知数 日本では報告なし

6人の子供を育てる米人気女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(37)が、遺伝性乳がんのリスクを減らすため、両乳腺を摘出する手術を受けたと告白した。がん抑制遺伝子に病的異変を持つ女性を対象に米国内で急増しつつあるが、実態はどうなのか。そして日本国内では?【ロサンゼルス堀山明子、大場あい】

「決断は簡単ではなかった。でも、私が乳がんになる確率は87%から5%以下になった。子供たちに『母親を乳がんで失う心配をしなくていいよ』と言ってあげられる」。14日の米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿文に切々とつづった。の母は56歳で乳がんで死去。自身もがん抑制遺伝子に異変が見つかり、苦渋の選択をした。

俳優ブラッド・ピットさん(49)と結婚届を出さない事実婚生活をしながら同性婚の合法化を主張する社会派。プライバシーはあまり公にしない主義だが、「がんの家系の女性たちを勇気づけたい」と、3カ月にわたる手術の経過を明かした。

2月2日に乳頭温存手術を実施。同16日、胸の下部を切開して入れたチューブから乳房の中核を占める乳腺を抽出し、空間に拡張器を入れる手術には8時間かかった。10週間かけて拡張器に塩水を徐々に注入し胸を膨らませた後、4月27日に拡張器をインプラントに入れ替えた。

「勇気ある決断」。テレビ報道はおおむね好意的だ。一方で「ジョリーにはできても大半の女性にはできない選択」(ロサンゼルス・タイムズ)と冷めた見方も。手術をした病院は美容整形を含む治療費の総額を明らかにしていないが、一般的には3カ月で約2万ドル(約200万円)とされる。その他、遺伝子を調べる専門的な血液検査の特許を持つ会社が「ミリアド・ジェネティクス」(本社・ユタ州)1社しかなく、検査だけで約3000ドル(約30万円)かかる。確かにハードルは高い。

手術数の全米データはないが、例えばペンシルベニア州では2002年に94件だったのが11年には455件に増えた。ただ、テキサス州ヒューストンのがんセンターで乳腺摘出のがん予防効果を研究するイザベル・ベッドロシアン医師は「生存率を高めたという証拠はなく、乳腺摘出は不必要な措置」と指摘し、手術に伴う後遺症を懸念する。

遺伝性乳がんの検査は日本国内でも始まっているが、三木義男・がん研究会がん研究所遺伝子診断研究部長によると、予防的に乳房を切除した報告はまだないという。

欧米では乳がんの5〜10%は家族内で受け継がれる遺伝性乳がんで、うち6割程度が「BRCA1」「BRCA2」という2種類のがん抑制遺伝子の変異が原因とされる。どちらかの変異があると、変異がない人と比べて乳がんの発症リスクが10〜19倍になり、再発の可能性も高くなる。40歳未満の患者や両方の乳房に発症する場合などは、変異が原因の可能性がある。

中村清吾・昭和大教授(乳腺外科)によると、変異は採血し遺伝子を調べることで分かる。国内では既に50以上の施設でカウンセリングと検査を実施しているが、保険が適用されず費用は20万〜30万円。検査を受ける人自体がまだ少ない。

変異が見つかった場合、こまめにマンモグラフィーや超音波などの検査をして早期発見、治療を目指す。中村教授は「日本でも予防の側面を重視し検査を受けやすくするなどの対応が必要ではないか」と話している。

『毎日新聞』2013年05月17日 11時44分
http://mainichi.jp/select/news/20130517k0000e040171000c.html

nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

Yuri

私が去年の年末に亡くした友人も、今思うと、典型的な遺伝による癌でした。お母様も50台で亡くしているし…。もっと早い段階で日本もこの予防策が浸透していれば彼女は亡くならないで済んだのに…と悔やむことしきりです。アメリカの10年前のドラマでも取り上げられているのに…と、日本の医療はまだまだアメリカに比べると遅れているんですよね。
by Yuri (2013-05-18 00:43) 

三橋順子

Yuri さん、いらっしゃいま~せ。
こうした予防手術については、いろいろ批判もあるようです。
金もうけ主義の医者の陰謀だとか、女性の身体への侵犯だとか・・・。
でも、遺伝的な乳癌体質の場合、本人が自覚してずいぶん注意していても、それでも発症してしまうというケースが、ずいぶんあることを身近に知っていれば、命を救う方法として、日本でも選択肢にすべきだと思います。
by 三橋順子 (2013-05-18 12:11) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0