SSブログ

LGBTに広がる友情婚 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

5月15日(日)

「LGBTに広がる友情婚」って、『薔薇族』が創刊された頃(1971年)の話かと思った。
同編集長の伊藤文學さんが、「親のため」「世間の冷たい視線を逃れるため(世間体)」にゲイとレズビアンの「友情結婚」を盛んに勧めていたことを思い出す。

「結婚」の形は、基本的に個人の自由だから「友情婚」をするな、とは言えない。
しかし、それが「婚活オフ会」のような形で、斡旋・推奨されることには、かなり違和感を覚える。

伊藤文學さんの「友情結婚」推奨は、1981年、同性愛者から厳しく批判された。
なのに、それから35年以上経っても、同じようなことが行われている。

記事の中で永易至文さん言っているように、同性愛者が不本意な結婚をしなくてもよい社会を目指してきたはずなのに。

社会状況的に、また当事者の意識という面でも、あまりに変化がないことが哀しい。
--------------------------------------------
【特集】LGBTに広がる友情婚 新たなスタイル、批判も

「友情結婚」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「同性愛者だけど親を安心させたい」「将来の不安を解消したい」といった理由で、「愛情」ではなく「友情」に基づき異性と行う結婚だ。LGBTと呼ばれる性的少数者の間で静かな広がりをみせている。ただ「実態は偽装」といった批判もあり、離婚を巡りトラブルになるケースもある。

 ▽婚活オフ会
3月の週末。東京都内のレンタルキッチンスペースで、ある友情婚サイトで知り合ったメンバーが実際に顔を合わせる「オフ会」が開かれた。同性愛者や性的欲求を持たないノンセクシャルの男女22人。年齢は20代前半から40代前半。お菓子作りを通し友情婚相手を探す“婚活”だ。4年前に活動を始めた「ひで」さんによると、会を重ねるごとに参加者は増えている。

出来上がったお菓子とお茶を囲み会話が弾む。「友情婚の条件は?」。自分の性別に違和感を持つ女性「syo」さんは「一緒に住むこと」。「バイセクシャル(両性愛者)のレズビアン(女性同性愛者)寄り」と自己紹介したYさんは「普通の結婚の性的なことがないバージョン」と答えた。ゲイ(男性同性愛者)のMさんは「ぼくたちの関係を一番にすることを理解してくれる人」と隣のパートナー男性の手を取った。

「相手に同性パートナーができたら?」。通常の結婚でもある浮気、不倫の問題だ。ゲイのTさんは「外で性欲の発散はあってもいい。最後は家庭に戻ることが条件」。ノンセクシャルの女性「てん」さんは「友情婚して人工授精で子供をつくりたい。ただ相手にパートナーができ家庭をおろそかにされないか心配」と漏らした。

 ▽不本意
同じLGBTからは戸惑いも。LGBTの生活支援のNPO「パープル・ハンズ」の永易至文事務局長(49)は「かつては親や世間体のため不本意ながら女性と結婚するゲイが大半だった。私たちは自分に正直に生きたいと思い始めた最初の世代として、そんなことをしなくていい時代を目指してきたんだけど…」と首をかしげる。「ぼくらのようにゲイ・アイデンティティーを振り立てる生き方が彼らには暑苦しいのかな」と苦笑い。レズビアン支援のNPO「coLLabo」の鳩貝啓美代表理事(50)は「社会がそうさせている面もあるので一概には否定できないが、私たちは同性との人生をありのままに生きたい」と話した。

冒頭の「ひで」さんは「LGBTの権利拡大に努めてきた人からは『逆向き』との指摘もあってしかるべき」としつつ「友情婚は自分の性的指向を前向きに捉え、新たなライフスタイルを歩む積極的な選択肢」と強調した。

▽渡る世間は…
LGBTの友情結婚問題に詳しい福岡県の行政書士中橋優さんは(41)は「友情婚に関する相談は増えているが、ほとんど解消に関するもの」と明かした。「しかも複雑にもめる」。話し合いや調停の過程では、そもそも隠したかった性的指向などが暴露されるリスクもある。

友情婚の後に本当に好きなパートナーと出会った場合も問題だ。かつてゲイ男性と友情婚関係にあった関西地方のレズビアン女性から「本当に好きな女性パートナーができたから離婚したい」という相談があった。男性が拒否し、離婚話が進展しないうちにパートナーに去られた女性は「愛情の証し」と遺書を残し自殺した。

当人同士や親の扶養や介護、相続といった問題もあるが「そこまで考えてないケースがほとんど」と中橋さん。基本的に友情婚はしないように勧めている。ただ「じゃあどうすればいいの」という当事者たちの思いも分かる。

中橋さんの答えはこうだ。「酷なようだが、自分に正直に生きてとしか言えない。日本は過渡期。LGBTを受け入れる制度ができて社会は変わっていく」。当事者たちにはどう響くか。東京のオフ会参加者の何人かは口をそろえていた。「制度は制度。世間は違う」。(共同通信=松村圭)

「共同通信」2016年5月9日 16:00
http://this.kiji.is/102299165863544317
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

たん

「制度は制度。世間は違う」
これは悲しいですね。結婚を機にゲイを「卒業」してみたものの、3ヶ月も経たないうちに、またアプリを使い始めた、という20代のゲイの子の話を聞いたことがあります。まあ、ご夫婦が幸せなら口を挟めることではないですが。。。
by たん (2016-05-16 21:05) 

三橋順子

たんさん、いらっしゃいま~せ。

問題は、なぜ「ゲイを『卒業』」しようと思うのかなのですね。
自分で「ゲイ」であることを良くないと思っている、ゲイとしてのプライド(自己肯定)を持てない、そして周囲から結婚圧力がかかる。

それって、1980年代以前とまったく変わってないのです。
この記事が問題なのは、世間の無理解とゲイ当事者のプライドのなさを、「制度は制度。世間は違う」という言葉で締めることで、認めてしまってる点にあると思います。
by 三橋順子 (2016-05-20 12:50) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0