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性別変更の要件緩和 超党派の議連が検討開始 [現代の性(性別越境・性別移行)]

1月28日(木)

まだ「要件論」をやっている(笑)。

性別の移行を望むことを病理(精神疾患)として規定する近代以来の考え方が、数年後に根本的に転換をする可能性が高い。
そうなれば、病理(精神疾患)を前提にした性別移行法は、論理的に成り立たなくなる。

病理前提という根本が変わるのだから、枝葉に相当する要件論だけをやっても駄目なのだ。

脱精神疾患化(性別移行が精神疾患ではなくなる)の新しい状況(認識)に立った、病理を前提としない性別移行法を作らないと、日本はいつまでも周回遅れの状況から脱せない。
せいぜい2周遅れが1周遅れになるだけ。

そうした国際的な情勢を理解している人が、政治家はもちろん、「運動」をやっている人にもいないのは、まったく困ったものだ。

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性別変更の要件緩和 超党派の議連が検討開始

心と体の性が一致しない性同一性障害の人が、戸籍上の性別を変更できる「性同一性障害特例法」の改正に向けて、超党派の国会議員連盟が27日、議論を始めた。要件が厳しいために変更できず、就職差別など日常生活で支障をきたしている当事者などから、緩和を求める声が出ていた。

性的少数者に関する課題を考える議連が同日、立法検討ワーキングチームの発足を決めた。会長の馳浩・文部科学相は記者団に「(今国会中に)中間報告は出せるのではないか」と述べ、早期の取りまとめをめざす考えを示した。

司法統計によると、2004年の施行から14年までに同法に基づき性別を変更した人は5166人で、増加傾向にある。だが、日本精神神経学会の調査では性別への違和感を訴えて受診した人のうち、性別変更した人は2割にとどまる。

今回の焦点の一つが、未成年の子がいないことを求める「子なし要件」だ。

千葉県内のAさん(46)は心は女性。幼いころから男性の体に強い違和感があったが、「結婚して子どもができれば『治る』のではないか」との思いから20代で結婚、2人の子どもも授かった。しかし、苦痛は増すばかりで離婚。手術を受け女性として暮らしているが、別居する長女が15歳なので戸籍は変更できない。

仕事は女性の外見と性別の不一致で差別を受けることを恐れ、パート勤務を選ぶ。健康診断など、性別が分かりそうになると離職を繰り返す不安定な生活で、長女を引き取る約束も果たせない。もともと子どもが混乱するとして設けられた要件だが、「子どものためというなら、なおさらなくしてほしい」と訴える。

もう一つの焦点が、子宮や卵巣、精巣の摘出などを求める「手術要件」だ。性別への違和感を訴える人が、すべて性別適合手術を望むわけではないからだ。

都内のBさん(36)は心は男性だが戸籍上は女性。大学時代は手術を望んでいたが、20代後半で「社会で安定して生きるための手段として手術を求めていた」と気づいた。今は手術やホルモン治療は受けず、男性らしい髪形や服装で男性として暮らしている。

一方で、就職や結婚のために戸籍を変更しようと、やむなく手術を受ける人も少なくない。米国の一部の州や英国、スペインなどではすでに、性別変更に手術は不要だ。同障害に詳しい針間克己医師は「日本でも一刻も早く『手術要件』を外すべきだ」と指摘する。

手術要件を巡っては14年、世界保健機関(WHO)などが廃絶を求める共同声明を発表しており、国際社会からの批判もある。ただ、海外では男性に性別変更した人が妊娠するといったケースも起きており、民法などとの整合性も議論になりそうだ。

議連ではまた、性的少数者などへの差別解消を推進する法案も検討する。(二階堂友紀)

性同一性障害特例法 同障害の人が20歳以上▽結婚していない▽未成年の子どもがいない▽生殖腺がないか、生殖機能を欠いている▽変更したい性別の性器に近い外観を備えている――の要件を満たせば、家裁の審判を経て戸籍上の性別を変更できることを定めた。

『朝日新聞』2016年1月28日07時28分

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Recar

それでは、数年先日本の3周り先を行く性脳科学先進国の具体的な器質変容が解明されたら、それを基にGIDが外科的病状として、またDSDと同等の医科学的な価値を得られましたら、法律がコロコロ変わるモノのなのでしょうか
by Recar (2016-01-29 10:19) 

三橋順子

疾病の原因と法律はリンクしません。
日本が先進国だというのなら、国際的な人権認識に沿った法律にすべきなのです。
病理前提の考え方は、もう止めるべきです。
by 三橋順子 (2016-01-29 11:08) 

Recar

私は、日本が3周り遅れていると
お書き申し上げております

ここは日本で特有な女装文化があると思います
全てが全て良策と思いませんが
秩序ある表現の自由を考える時期ではないでしょうか

社会の見る目はバックラッシュです

by Recar (2016-01-29 15:42) 

みれい

こんばんは。

わたしも病気であるかどうかに関わらず戸籍上の性別が変更出来るほうが良いとの考えです
(このような変則的な性別変更のロジックは外国人の就労と共通する点があるとも思います)。
現在の特例法でも名称や条文から一部の語句を抜けば周回遅れではなくなるような…。

ただ、性同一性障害という疾患がなくなっても、
「性別を移行したい」のとはまた違う
「性自認(性同一性)の性別と体(法律上)の性別が違うので生活に支障が出ている」
という状態をあらわす言葉に他のしっくりとしたものがまだないようにも思われます。
たとえば、女としての性自認を子どもが持っていても女の子として育ててもらえないので女性としての人格が成長しない
といった事例に問題意識を持てるような言葉が。
by みれい (2016-02-05 23:18) 

三橋順子

みれいさん、いらっしゃいま~せ。

現在の特例法は、もうじき無くなる「性同一性障害」という病理を前提にしている点で、根本的に時代遅れになっています。
ですから「改正」というより、廃止して新たに病理を前提にしない(人権を前提とする)「性別移行法」を制定すべきだと思います。

近い将来的に「性同一性障害」という疾患名が無くなっても、「性別不一致」という病名は残りますから、病気でいたい人は、そこに居ることになります。
でも、それは、もう精神疾患ではなく、「障害」でもないということです。
by 三橋順子 (2016-02-08 14:04) 

アンデルセン

あのう、傷つかれる方がいらっしゃるとは思いますが、温泉や公共浴場では外見と心理上の性別の両輪で差別をさせていただきたいです。

女風呂で女装の痴漢が実際に何人もつかまっています。男性同士なら安心かと言えば、「好みのタイプだから」とゲイの方にいきなり股間をつかまれたという体験談を聞いています。くつろぎの場で余計な気を使いたくないし……区別が困難です……願わくば自主規制をお願いしたい。あるいは利用ルールにおいて「広い意味での女性用」や「広い意味での男性用」などと告知していただければ、避けたい側に「避けられる」という選択肢が生じるのでそれでもかまいません。

参考までですが、刺青のある方は内風呂付きのお部屋を利用されます。また、乳がんで乳房を切除した女性用の入浴用浴衣や、それを利用しての入浴が認められている温泉などがあります。
by アンデルセン (2016-02-08 21:41) 

アンデルセン

日本ではもともと裸体にさほどの価値を置いておらず、西欧文明導入まで混浴であった事実は存じております。
by アンデルセン (2016-02-08 22:06) 

三橋順子

アンデルセンさん
>刺青のある方は内風呂付きのお部屋を利用されます

そう仕向けること自体が差別ということです。
刺青の人が、公衆浴場に入ってはいけないという法律は、現在はないわけで、まさに不法な扱いをされているわけです。

一方、公衆浴場の浴室の男女分離は、(例外的な場合を除いて)法律や条例で規定されています。
それは遵守されるべきで、法的に男性の人は男湯に、法的に女性の人は女湯に入るべきです。


by 三橋順子 (2016-02-09 14:51) 

アンデルセン

回答ありがとうございます。


>刺青のある方

同意します。私もも本心では刺青の有無で利用を制限すべきではないと思っています。アイヌなど文化として顔や手に刺青をするところもありますので。ただ、禁止に至った理由が、刺青を施すのが極道に多く、刺青の凝視を理由にした因縁づけから流血沙汰のケンカが起きたり、時に殺傷事件に至ったりした歴史があったからだと聞いています。経営側にも利用者に対する責任があるわけで……。黙って内風呂を利用される極道の方には、非喫煙者の前で煙草を吸わなかったり、携帯灰皿を用意したりするようなマナー感を感じます。排除を是とするのではなく、相手の立場や都合を考えている点を好ましく思います。

むしろ、刺青を施しながら「刺青のある方お断り」の但し書きのある浴場をこそこそ利用される方の方がみっともない。以前、作家のよしもとばななさんがエッセイで、おばけのQちゃんのちいさな入れ墨を隠し忘れて入浴を拒否されたにもかかわらず、連れの方は平気で利用、帰宅してからことの顛末を知った別の友人に私だったら一緒に帰ってくると言われ、入浴した連れの方は本当の意味では友達ではなかったんだと悟ったという話がありましたが、現在の日本における公衆浴場と刺青の関係を知りながら、好きで刺青を施し、収入だってネームバリューだってあるのに、「刺青で公衆浴場を利用することのどこが悪いんだ」となぜ戦わず他人を批判して終わりにするんだろうと疑問でした。お連れの方のスタンスにもよりますが、刺青のリスクマネジメントまでを当事者の管轄だと考えていたら別行動を採るでしょう。あるいははじめから貸し切りを利用するなど、波風立てないう回路はいくらでもある。


ごく一部なのか、ある程度いるのか、性差があるのか、私が知る具体例がたまたま極端に偏っているのか不明ですが、同性愛者の方の中には、異性間であれば性犯罪と扱われる行為が同性間では問題にならない(筈だ?)と思う方がいるらしく、裸体という無防備な状態をさらす場所の安全性は確保して欲しいというのがコメントの趣旨です。



気分を害されたら申し訳ありません。
by アンデルセン (2016-02-09 17:56) 

アンデルセン

余談。

私は長期に及ぶ過度のストレスにより体を壊し、症状の一つとして顔面の皮脂の異常分泌が現れ、見目も非常に悪くなり、苦しんだ経験があります。落ち着くまで10数年、とりあえず治るまでそれ以上の期間がかかりました。もちろん感染する病気ではありません。

その当時、一般の方は言うまでもなく、いわゆる社会的な差別を受けている「弱者」である筈の障碍者のみなさん、車いす利用者その他、外国人の方などからもかなり冷たい視線を向けられた経験があります。おそらくかなりのレアケースでもあるでしょうし、いちいち説明して納得してもらうだけの気力もなく、公共浴場はじめ、接触により相手が不安を感じるであろう所は行きたいとも思いませんでした。治るあてもありませんでした。(治ったら治ったで、説明しても、口先は別として、理解していただけることは稀です。どうもストレスを感じたこと自体「お前が悪い」と判断されることが多いようです。)


マイノリティーではない優位に立った一般人の差別意識と思われるのは心外なので、付け加えさせていただきます。
by アンデルセン (2016-02-09 20:34) 

三橋順子

ゲイの一部の人たちが、公共の場で性的な行為を行うことについては、公然わいせつ罪などで、しっかり摘発すべきだと思います。

ただ、同性愛者のそうした非常識な行為と、性別変更の要件緩和はまったく無関係です。
同性愛者は、性別変更など望みませんし。
by 三橋順子 (2016-02-09 22:49) 

アンデルセン

回答ありがとうございます。
by アンデルセン (2016-02-10 10:53) 

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