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日本における同性挙式の事例 [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

3月5日(木)

日本は、同性愛を違法化したことは長い歴史上、一度もない。
異性装と鶏姦(肛門性交)を違法化したのは、キリスト教規範の影響で文明開化期に9年間ほど(1873~81)あったが。
実質的な同性婚は、江戸時代末期~明治初期の事例が確認できるし、同性挙式も数こそ少ないけど少なくとも昭和期にあった。

1960年代後半に、大塚にあった「角萬」という有名結婚式場で撮影されたと思われる男性同士(1人は和装の花嫁姿)の挙式写真は、杉浦郁子編『美島弥生のライフヒストリー』(戦後日本〈トランスジェンダー〉社会史研究会、2003年1月)に載っている。

1999年に大阪の老舗結婚式場「太閤園」で行われた男性同士の結婚式(1人はウェディングドレス姿)には、私も出席した。これは式だけでなく、披露宴まで、一般の男女のそれとまったく同じに行われた。

「両方ともドレス姿の挙式」にこだわるのなら、1997年に新宿で2人ともドレス姿の同性挙式があった(2人とも戸籍上は男性だが)。
ただ、会場は結婚式場ではなく、パーティ・スペース。
これも、私は出席しているので写真は持っているが、当人の許可を取ってないのでオープンにできない。

そこらへんのことは、2013年10月の「東アジアの近代家族とセクシュアリティ」研究会(慶應義塾大学)で「近代日本における性別越境者(トランスジェンダー)の『家族』の形」と題して講演した。
写真もプライバシーを保護の上、掲載してあるので参照して欲しい。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28-1

それらは、トランスジェンダー絡みだから「同性挙式」とはいえない、という方には、こんな記事がある。
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金山神社・男性同性愛カップルが神前挙式
男性の同性愛カップルが昨年末、川崎市の若宮八幡宮・金山神社で結婚式を挙げていたことが先月20日、分かった。「おそらく日本で初めてだろう」と同神社の中村博彦宮司(55)。
挙式したのはともに神奈川県に住むミュージシャン(28)と同じ神奈川県に住む会社員(23)。ゲイ雑誌「Badi(バディ)」の編集者が昨年11月、中村宮司に「結婚式を雑誌のグラビアで取りあげたい」と打診。
同宮司はセックスや同性愛をタブー視しがちな宗教界で、性と信仰について率直な発言をすることで知られており「性の多様化などについて、まじめに考えるきっかけになるなら」と引き受けた。
『日刊スポーツ』 1999年1月21日
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ちなみに、新郎・新郎はどちらも男姿だった。

つまり、ディズニー・シーでの女性同士の結婚式を、日本最初の同性挙式のように扱うのは、単なるマスメディアの認識不足ということ。
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ran

そういえば、尾辻さんも2007年に立候補する際に挙式をされていましたね。確か新聞記事にもなっていたと思います。
まぁ選挙前のパフォーマンスの意味が大きかったとは思いますが。
by ran (2015-03-05 17:42) 

三橋順子

ranさん、いらっしゃいま~せ。
尾辻さんの件、国政に立候補したことも、繰り上げ当選で1カ月余とはいえオープンリー同性愛者として初の国会議員になったことも、現在の同性愛業界は意図的に忘れようとしているみたいです。
ひどい話だと思います。
by 三橋順子 (2015-03-09 01:44) 

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