SSブログ

ベトナムの同性愛事情を紹介する『朝日新聞』の記事 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

3月5日(木)

ベトナムの同性愛事情を紹介する『朝日新聞』の記事、微妙におかしい。
ベトナムをアジアにおける同性婚の先進国と持ち上げ、同性愛を容認したベトナム政府と、同性婚を絶対否定する日本政府とを対比しようとする意図が透けて見える。

しかし、べトナムの場合、記者自身が書いているように、同性愛がやっと違法でなくなっただけで、同性婚が法的に認められたわけではない。

日本は、ベトナムと違って同性愛を違法化したことは一度もないし、ベトナムのような同性挙式は以前からあった(詳細別記)。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2015-03-05-5
つまり、日本よりかなり遅れていたのが、だいぶ近づいた程度とみるべき。
まあ、他国を持ち上げて、その対比で日本を貶めるのは『朝日新聞』の常套手法と言ってしまえばそれまでだが、ミスリードをしても、日本の同性婚推進を後押しすることにはならないと思う。

------------------------------------
(世界発2015)ベトナム、開かれた同性婚 規定撤廃「事実上の容認」

ベトナムで同性婚を禁止する規定が撤廃され、今年から同性間の結婚式が公然と挙げられるようになった。共産党一党支配の社会主義国で、しばしば「人権後進国」と指摘されるが、性的少数者の権利保護では「アジアをリードする存在」と注目され始めた。

美しい海岸線が広がり、新婚旅行先としても人気のベトナム中南部ニャチャン。1月下旬、1組の男性同士の結婚式が営まれた。

服飾デザイナーのエイドリアン・アイン・トゥアンさん(35)と実業家のソン・ドアンさん(35)。交際3年。今年1月に改正婚姻家族法が施行されて、同性婚の禁止規定がなくなり、念願の結婚式を挙げることができた。トゥアンさんは「この日をずっと待っていた。多くの人に祝福されて幸せだ」と喜ぶ。

少数者の権利保護に取り組むハノイの研究機関「社会経済環境研究所」の推計では、人口約9200万人のベトナムに、同性愛者と両性愛者は15~59歳で少なくとも約165万人いる。だが同性婚は違法で、最高50万ドン(約2780円)の罰金規定もあった。

性的少数者(LGBT)の権利保護を求める声は高まっていた。ホーチミンで2008年、同性愛者の権利保護に取り組むNGO「ICS」が発足。5、6人で始めた啓発活動が全国で1千~2千人規模のイベントを開くまでになった。

ベトナム保健省は12年、「少数者の権利保護は、平等を重んじる社会主義の国是に合致する」として、同性婚を認める法改正を提案した。政府や国会での議論では「時期尚早」との意見も出て、「合法化」には至らなかった。しかし禁止規定は撤廃し、「事実上の容認」に踏み切った。

ICS幹部のグエン・ハイ・イエンさんは「大きなステップ」と語る。保守的な倫理観、宗教観が根強い東南アジアで、同性婚を法的に認めた国はまだない。イエンさんは「アジア全体に理解が広がる足がかりになれば」と期待する。

■「結婚」10年、周りの意識変化
結婚を禁じられ、周囲の理解を得られずにいた同性愛カップルは多い。南部ホーチミンで暮らすタン・アイ・リンさん(35)とファム・タイン・フオンさん(32)の女性カップルも苦難の人生を歩んできた。

2人は02年にインターネットのチャットで知り合った。だが双方の親は交際に猛反対。リンさんの母はオーストラリア人男性との結婚を迫った。リンさんは「家族を悲しませたくない」と豪州へ渡った。フオンさんには「留学する」とうそをついた。

しかし、リンさんは男性を愛せなかった。夫やその家族から子どもをつくるよう迫られ、うつ状態になり、「何度も死のうと思った」。9カ月後、事情を打ち明けて帰国。フオンさんと2人だけで「結婚式」を挙げた。人目を避けてホテルの一室を借り、指輪を交わした。

2人は親から家を追い出され、アイスクリーム屋や化粧品店の売り子として働いた。2人で月に1万3千円程度を稼ぐのがやっと。「それでも、好きな人と暮らせることが幸せだった」

「結婚」から10年。双方の親とはぎくしゃくしたままだ。でも、周囲の意識は大きく変わった。職場でも近所でも奇異な目で見られることはほとんどない。デモや集会の規制は厳しいのに、LGBTの権利保護を訴える大規模なパレードは許可されている。民法に性転換者の権利保護を盛り込む作業も始まった。

それでも、同性婚が合法化されていないデメリットは残る。一方が海外で働く時に配偶者ビザが取得できず、配偶者として相手の手術の承諾もできない。将来は養子をとりたい。

「一日も早い合法化を」。2人は切に願う。

■挙式・旅行業、商機に
米ギャラップ社が13年に実施した「同性愛者が暮らしやすい国」で、ベトナムは62位。日本の50位より低く、東南アジアではフィリピン(22位)やミャンマー(58位)を下回る。

だが同性婚が認められている1位のオランダ出身の男性アンネ・プラットさん(50)は「法改正で評価は変わるだろう」と話す。

母国でベトナム人男性と結婚し、ホーチミンで同性愛者向けの旅行会社やホテルを経営する。ほかにもLGBTへの歓迎を示す虹色の旗を掲げ、同性愛者が従業員や客の目を気にせずにくつろげるように配慮するレストランやバー、ホテルは増えている。

プラットさんには、世界中のLGBT関係者から問い合わせが相次ぐ。LGBT世帯は共働きなどで高収入の場合が多く、旅行にいく回数も多いと言われる。オランダに拠点を置く調査会社によると、LGBT旅行者がもたらす経済効果は世界で年間2千億ドルに上る。プラットさんも同性愛者の挙式と宿泊、観光をパッケージにしたツアーの検討を始めた。(ホーチミン=佐々木学)

◆キーワード
<LGBT> レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の総称。国や人種に関係なく、人口の5%程度が該当するとされる。同性婚を法的に認めるか、何らかの法的保護を与える動きはオランダや米国の一部の州、南米などで広がっている。

『朝日新聞』2015年3月5日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S11633140.html

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0