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広島市北部の大規模土砂災害 [事件・事故]

8月21日(木)
広島市北部、安佐北区・安佐南区の大規模土砂災害、被害の状況が明らかになるにつれて、犠牲者の数がどんどん増えていく。
おそらく50人前後の方が亡くなったと思われる。
(追記)最終的には88人?
水分を含むと脆くなる崩れやすい風化花崗岩の土壌(マサ)、記録的な集中豪雨、深夜という時間帯、いろいろ悪条件が重なっているものの、地形学的にいうと、そもそもあの場所に、あれだけの住宅地があることが、問題だと思う。

どうも本来の沢地形を埋めて住宅開発をしているのではないだろうか。

地形学の基本として、大地というものは平らになりたがるということを教わった。
言い方を換えれば、高い部分が浸食されて、その土砂が低い部分に堆積する。
その作用は、長い目で見れば、何度も繰り返される。

つまり、山地の土砂が大規模に崩落して平地への出口に堆積している扇状地地形では、いずれ同じような大規模崩落→堆積現象が起こるということだ。
ただ、その「いずれ」がいつなのかは、ほとんど予測はつかない。

地形学のもうひとつの基本は、人為的に改変された地形は元に戻りたがるということ。
つまり、沢は沢に、川は川に戻るということだ。

今回の被災地、とくにいちばん被害が大きかった安佐南区八木地区がそうした扇状地地形であることは、地形学の勉強をした者には容易にわかる。
BvcRGHJCcAANSqU.jpg
BvcXK_2CcAE9PPr.jpg
ただ、そうした専門家の認識は、なかなか住民には届かない。
本来なら行政がその仲介役にならなければいけないのだが、なぜかそこがうまくいかない。

そして災害が繰り返され、住民の命が失われていく。
なんとも残念でならない。
fig1.jpg
↑ 土木学会・中国支部のサイトから
SCN_0001 (5).jpg
SCN_0001 (3).jpg
↑ 『読売新聞』2014年8月23日 (上)被災前、(下)被災後
県営住宅の間の住宅群(赤線囲い)は、谷を埋めて造成しているように見える。
水路(青線で強調)の上部につながっているはずの沢は、写真では見えないが、地形図から判読すると、等高線に沿って流れている不自然な部分がある(自然な流路は等高線に直交する)。
どうも、宅地造成のために本来の流路より西側に寄せる改変を行っているのではないだろうか。
テレビのレポーターが「住宅地の生活道路を川のように水が流れている」としきりに言っているが、それは逆で、本来の谷筋を埋めて生活道路にしたのが元に戻っただけだと思う。
SCN_0001 (4).jpg

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コメント 2

でりー

こんばんわ、お久しぶりです。
こちらは、海田町在住ですが雷雨が結構激しかったです。
被害はなかったですが。

宅地開発もですが、最近の降水の激しさもあると思うんですよ。
100ミリなんて以前はなかった、でも今はどこでもありえる。

私、勉強はしてませんけど(底辺高校卒なので、(笑)
やはり今後は行政の、すばやい対応が必要なのではと思います。
せめて後1時間早く避難指示が出ていれば・・・
悔やまれます。
by でりー (2014-08-22 00:08) 

三橋順子

デリーさん、いらっしゃいま~せ。
以前(20年前?)は1時間当たり50ミリの雨量で災害を想定していました。
今では100ミリの雨量を想定しないと・・・。

行政の避難指示は、避難所の受け入れ態勢が整わないと出せないという話でした。
つまり、職員が避難所に行って受け入れ準備をしないといけないわけですが、あの状況で職員が避難所に指定された施設に行けるかというと、かなり疑問です。

やはり、避難指示が出る以前に警報が出た段階で、すべての住民がそれを知って対応できる仕組み(緊急地震速報みたいな)を作るべきだと思います。
by 三橋順子 (2014-08-26 21:39) 

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