SSブログ

長崎県佐世保市高1女子殺人事件 [事件・事故]

7月29日(火)
実に嫌な事件で、スルーしようと思ったが・・・。
家庭教育、学校教育、「いじめ」、実母の死、父親の再婚など、いろいろな論点で解説しようとしているが、はっきり言って、全部違うと思う。
16歳の少女が、トラブルとか恨みとかでなく、ただ「人を殺してみたかった」という理由と言えないような動機(「純粋殺人」)で同級生の少女を計画的に殺害し、しかも遺体を解体しようとするなど、どういう解説をしたところで、説明がつくものではない。

つまり、加害者の少女の精神に重大な問題があるということだ。
具体的言えば、精神病質者(サイコパス psychopath)だと思う 。
他者に対する思いやり(共感性)が著しく欠落し、社会の規範を犯し他者を傷つけることに罪悪感や後悔の念を感じない反社会性人格異常の可能性が高い。

その兆候は、小学生時代に同級生の給食に有害物質を投入していることからもわかる。
小学6年生、しかも成績的に優秀な児童に、その行為の意味(犯罪性)が理解できないはずはない。
犯罪性を認識していても罪悪感を感じていないから、同じ加害行為を5回も繰り返せるのだ。

また、時事通信が伝える「ネコを解剖したことがあり、人間でもやってみたかった」という発言も、自分より弱い者への憐れみの心が決定的に欠落していることを示しているし、興味本位に動物や人を解剖することになんの罪悪感も抱いていないことがわかり、反社会性人格異常の特徴が典型的に現れている。

今年春には、就寝中の父親を金属バットで殴打し、頭蓋骨陥没骨折などの大怪我を負わせている。
この時点で殺人事件になってもおかしくなかった。
前記の有害物質投入事件もそうだが、揉み消しせずに、犯罪としてしっかり対応していたら、今回の殺人事件には至らなかったかもしれない。

金銭絡みや恨みや衝動的殺意などによる(普通の)殺人事件の犯人に対するように謝罪や反省を求めても、たぶん無駄だろう。
こうした精神の異常は先天的なもので、更生は難しい。
犯罪を繰り返さないようにするためには、社会から隔離するしかないと思う。
-------------------------------------------
4年前、同級生の給食に有害物質 高1殺害容疑の少女
長崎県佐世保市で県立高校1年の女子生徒(15)を殺害したとして殺人容疑で逮捕された同級生の少女(16)が4年前、小学校のクラスメートの給食に、ベンジンなどの有害物質を複数回、混入していたことが佐世保市教育委員会などへの取材でわかった。専門家は「このときの対応次第で、その後の展開が変わった可能性がある」と指摘する。
県警もこの情報を把握しており、今回の殺害事件での、少女の犯行動機などを解明するうえで背景事情として関心を寄せている。
市教委などによると、2010年12月初旬、小学6年生だった少女は、クラスメート2人の給食に5回にわたり、それぞれ水、ベンジン、漂白剤、粉末洗剤2種類の水溶液0・3ミリリットル程度を混ぜた。「一緒にやらない」と、ほかの児童を誘うこともあり、クラスでは公然のことだったという。
同月中旬に、被害を受けた男児が担任に報告して発覚。少女への聞き取りで、男児の給食に1回、女児に4回、異物を混ぜていたことが判明した。少女は当時、「勉強していたことをばかにされたのでやった」と話したという。
市教委は、少女と両親を指導。少女と両親は被害児童の親に謝罪し、最終的に和解したという。その後、市教委はカウンセラーを配置し、少女や、関係した児童や親、教職員らに計15回のカウンセリングをした。
市教委は、事案を報告書にまとめて長崎県教委に報告し、小学校には、少女や被害児童が進学する中学校に報告するよう伝えた。県教委は29日の会見で当時の対応について「具体的な対応は学校や市教委に任せていた」と説明した。
当時の市教委幹部は取材に「できる限りのことをしたつもりだが、これだけの事件が起きてしまった。もっと何かできなかったのかとの思いがあり悔しい。でも、何をすればよかったのかわからない」と話した。
少女は今回の殺害事件の動機について、「人を殺してみたかった」という趣旨の話をしているという。
少年事件の事例研究を長年続けてきた広木克行・神戸大名誉教授(教育学)は、少女が小学6年のときの異物混入の事案を「見逃せない出来事」と指摘。当時の学校や教師らの対応について、「少女に謝罪させるだけで終わったのか、行動の背後にある心理や精神、生活にも目を向けられたのか。いまある情報から言うと、『なぜそういった行動をとったのか』を多面的に見る目が欠けていたのではないか」と話す。
『朝日新聞』2014年7月29日23時27分
http://www.asahi.com/articles/ASG7Y5CT1G7YTIPE020.html?iref=comtop_6_01
-------------------------------------------
「ネコ解剖、人間でも」=同級生殺害の女子生徒―遺体腹部にも大きな傷・長崎県警
長崎県佐世保市のマンションで、県立高校1年の松尾愛和さん(15)を殺害したとして逮捕された同級生の女子生徒(16)が、県警捜査1課の調べに、「ネコを解剖したことがあり、人間でもやってみたかった」という趣旨の供述をしていることが29日、捜査関係者の話で分かった。松尾さんの遺体は一部が切断された他に、腹部に大きな傷があったことも判明した。
同課は女子生徒の過去の問題行動などを調べ、詳しい動機の解明を進めている。
捜査関係者によると、女子生徒は調べに対し、「生物の体について以前から関心があり、ネコを解剖したことがある」と供述。事件について、「(松尾さんを)殺害し、遺体を損壊することが目的だった」という趣旨の説明をしているという。
松尾さんの遺体は、頭部と左手首を切断されていた他、胴体部分にも大きな傷がある状態で、ベッドの上に横たわっていた。ベッド脇には殺害に使われたとみられる金づちが、ベッド上には遺体損壊に使われたとみられるのこぎりが置かれていた。
同課は、女子生徒が工具類を事前に購入していることから、松尾さんを計画的に殺害し、遺体を損壊したとみている。
「時事通信」2014/07/29-19:08
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407/2014072900819&g=soc
-------------------------------------------
金属バットで就寝中の父親殴り大けが負わす 母の死、再婚でトラブルか
長崎県佐世保市の高校1年、松尾愛和さん(15)が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された女子生徒(16)が過去に金属バットで父親を殴り、大けがを負わせていたことが29日、分かった。母親が昨年病死し、父親とトラブルが生じるなど、家庭環境の変化が、事件を起こした原因の1つになった可能性があるとみて、県警は調べを進めている。(サンケイスポーツ)
同級生を殺害した容疑で逮捕された女子生徒に、また一つ衝撃的な事実が発覚した。父親を金属バットで殴り、大けがを負わせていたことが判明したのだ。
捜査関係者らによると、女子生徒は今年の春ごろ、自宅で就寝中だった父親の頭部などをバットで数回殴打。父親は頭蓋骨を陥没骨折するなどしたという。
女子生徒は、父親に手ほどきを受けた冬季スポーツで活躍するなど仲のよい家族として知られていた。しかし、母親が昨年10月に膵臓(すいぞう)がんで亡くなると、状況は一変したようだ。
再婚を望む父親との間にトラブルが発生。女子生徒は、幼なじみの女性(17)に「お母さんが亡くなって、すぐにお父さんが別の人を連れてきた。お母さんのことどうでもいいのかな…」と話したという。
父親を金属バットで殴った後、女子生徒は4月に実家を出て1人暮らしを開始。父親は翌5月に再婚した。県教育委員会によると、女子生徒は1学期に3日しか登校していなかった。中学時代の担任教諭が週1回程度訪ね、食事をしたり相談に乗っていたという。県警は、家庭環境の変化や父親とのトラブルが、事件を起こした原因の1つになった可能性があるとみて調べている。
「mns産経ニュース」2014.7.30 07:52
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140730/crm14073007520005-n1.htm
nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 8

Angelina Jolie

1人称は「僕」だそうです。
by Angelina Jolie (2014-07-30 14:34) 

Yuri

私も同感です。どんなにマスコミが騒いでもこの事件の真相はわからない、いや、凡人には理解できないと思います。彼女にとってもはや実父までもが味方とは限らない今、彼女の心の闇を本当に心配してくれるのはいないのではないかと…。長崎での同様の事件、多過ぎます。教育関係者の落ち込みは半端ないのではないでしょうか。
by Yuri (2014-07-30 22:40) 

三橋順子

Angelina Jolieさん、いらっしゃいま~せ。
はい、それ気になっています。
単なる少女の間の「流行」なのか?性別違和感の反映なのか?
by 三橋順子 (2014-07-31 00:02) 

三橋順子

Yuriさん、いらっしゃいま~せ。
たしかに長崎県佐世保市は2004年6月に、市立小学校の校内で6年生の女子児童が同級生の女児にカッターナイフで切り付け、殺害するという事件が起こっています。
それほど大きくない市で10年間に同じパターンの異常な事件が2回もというのは、確率的に偶然とは言い切れないと思います。
ただ、2つの事件の間になにか繋がりがあるのか、なにか共通する背景があるのか明らかにしてほしいですが、なかなか難しいでしょう。

by 三橋順子 (2014-07-31 00:09) 

Yuri

何度もすみません。佐世保ではなかったかもしれませんが、男子中学生による幼児誘拐殺人事件も長崎だったかと…。このときも異様な行動が注目されましたよね。なので「どうして長崎?」と感じた次第です。失礼しました。
by Yuri (2014-07-31 08:26) 

三橋順子

Yuriさん、いらっしゃいま~せ。
長崎市で2003年7月に起きた事件ですね。
中学1年の少年が4歳の男児を誘い出し全裸にして暴行を加え、性器を切りつけるなどした上荷、ビルの屋上から突き落として殺害した事件でした。
たしかに、長崎県では2003,2004、2014年と、少年・少女による残忍かつ異常な事件が続発していて「どうして長崎?」と思ってしまうのも当然だと思います。
ただ、私が知る限り、長崎県の教育の特異性はとくに思い浮かびません。
また、風土的にも、九州の西の端という以外、取り立てて特色はないと思います。
2000年代に入って「地方の荒廃」が進んでいるのは間違いないと思いますが、それと長崎における異常な少年少女犯罪の集中現象の関連が私にはわかりません。
どなたか、ご教示ください。

by 三橋順子 (2014-07-31 11:25) 

Gen

アメリカの犯罪心理学の本を昔読んだことがあります。
それによると、こうした異常者でもいきなり人間を殺す人はそれほど多くなく、その兆候は隠しきれない異常な行動として現れるものだ、とか。
幼少期のトンボの羽をむしる、アリの巣に水を入れて溺れさせる、などからカエル、ネズミ、猫、犬、と対象は次第に大きくなっていきます。
殺し方も残虐になっていき、その頃には同級生に暴力をふるったり、いじめたり、突然大きな声を出すなど、明らかな問題行動がみられるようになる。
そしてある日、人に危害を加えだす、のだそうです。
社会がどう、教育がどう、とかこういう病的気質を持つ人たちには全く関係がありません。
生まれながらにして弱者への共感や他者を思いやるなどの能力が欠けているのです。
サイコパスは社会から隔離すべきというご意見に私も賛成です。
こういう人たちは必ずいつか人を殺す、と分かっているわけですから、小動物を「過度に」虐待している、その対象が大きくなっている、など明らかに異常がみられる子供については「特別に」気を付ける、など目を離さないようなシステムが必要になったのではないでしょうか。虐待で子供本人が過酷な目に合っているためにSOSを出している場合もありますから、彼らに注意を向けることはそうした子供を救う事にもつながるかと。
今回のケースでは何度も猫の解剖をするなど明らかに異常でした。父親も子供を恐れて体よく追い払ったようにしか見えませんし。
彼女を診察した医師が「このままでは人を殺しかねない」と警察に相談していたそうですが、警察も特別に対応しなかったのだとか。
こういう事に対応するシステムが日本には必要になってきてると思います。
亡くなられた女の子のご遺族がお可哀想でたまりません。

ところで昔、戦前だったと思いますが、海軍関係者の息子が殺された事件も長崎だったような気がします。
その子はまだ小学生でした。犯人は下校中のその子の名前を呼び返事が返ってくると「いい名前だな」と言っておもむろに近づき、優しく抱え込むようにすると首をナイフで一文字に切ったそうです。
逃げようともせず、ナイフの血をきれいにぬぐい、警察官が駆けつけても冷静に立っていた、とか。
理由を聞かれると、「僕を馬鹿にするからだ」と少年の父の名を告げたのですが、その子の父によればそんな恨みを買うような話ではない、小さな事柄だったようで。
異様な印象を受けたことを思い出します。
この青年はサイコパス、というより、自意識が高すぎて他者から認められなかった恨みを幼い少年に向けたもののようです。
だから長崎が特別だ、とは私は思いませんが、続くと気になることは確かです・・・。

by Gen (2014-08-01 01:03) 

三橋順子

Genさん、いらっしゃいま~せ。
今まで報道されている加害者の発言や過去の履歴から判断して、かなり典型的なサイコパスの事例だと思います。
なのにマスメディアが、やれ母の死のストレスだの、父親の早すぎる結婚が引き金だのと分析し、教育関係者もいまだに「心の教育を徹底したはずなのに」と言っているのは、かなり滑稽です。
おっしゃる通り、サイコパスには、こうした議論は通用しません。
共感性の欠如というのは、それほど重大なものなのです。
今回の加害者の場合、同級生の給食に有害物質を入れることを繰り返した段階で、サイコパスの可能性をこ考慮して、しっかりマーク(継続的監視)すべきでした。
そして、周囲で猫殺しが頻発した段階で「始まった」と考えるべきでした。
父親撲殺未遂事件の時に逮捕していたら、殺人事件にまでは至らなかったかもしれません。
サイコパスへの認識の欠如と、両親のもみ消し(隠蔽)が、最悪の結果を招いたと思います。

戦前の事件は、知りませんでした。
調べてみます。
by 三橋順子 (2014-08-01 02:00) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0