写真家・石川武志氏ゲスト講義「インドのヒジュラとは?」メモ [現代の性(性別越境・性別移行)]
7月13日(日)
昨日、専修大学で聴講した写真家・石川武志さんのゲスト講義「インドのヒジュラとは?」の内容を整理してみた。
私のメモなので、文責は三橋にあります。
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1 ヒジュラとは何か?
・ ウルドゥー語で「半陰陽、両性具有者」の意味。
・ シヴァ神とその妃パールヴァティー神が合体した姿(アルダナリースヴァラ)
・ 理想の性としての両性神(万物創成の神)。
・ 両性神との同一化として、ヒジュラは生まれつきの「半陰陽」であることを対外的に主張 → 概念としての両性具有
・ 実態的には、女性へのトランスジェンダー願望がある去勢した男性を中心とした集合体。
・ ジェンダー的には女性だが、女性であるとは主張しない。
・ 「ヒジュラの性別はヒジュラ」 → サード・ジェンダー
2 ヒジュラのコミュニティー
・ グル(ファミリーのリーダー)を中核とし、チェーラー(弟子)を構成員とし、仕事上のテリトリー(縄張り)を持ち、共同生活を送る集団。
・ 「グル」は「お母さん」、チェーラーは「娘」、チェーラー同士は「姉妹」 → 擬制的な母系集団。
・ 構成員は、少ないファミリーは3人、多い場合は10~15人。見習いの男の子から老人まで。
・ 歳をとって外での稼ぎが悪くなれば家事労働に廻り、老いて動けなくなっても若いヒジュラが介護する。見捨てられて路上で行き倒れるようなことはない → 相互扶助的な組織
・ デリーなどに数人のナイク(ビッグ・グル、族長)がいて、全国のファミリーを系列化し統制。
3 ヒジュラの信仰
・ シヴァ神とその妃パールヴァティー神の合体としてのアルダナリースヴァラ
・ 豊穣・多産の女神(母神)としてのバフチャラ・マータ → ヒジュラの祖神
↑ バフチャラ母神は多産の象徴である鶏(なぜか雄鶏)に乗っている。
・ ヒンドゥー教徒のグルのファミリーにはヒンドゥー教徒のチェーラーが、イスラム教徒のグルのファミリーにはイスラム教徒のチェーラーが集まることが多いが、両教徒が混じるファミリーもある。
→ バフチャラ・マータの信徒であることを優先
4 バフチャラ寺院のヒジュラ
・ 北インド・グジャラート州のバフチャラ寺院はヒジュラの祖神バフチャラ・マータを祀る。
・ 境内にはヒジュラが常駐していて、参詣者(とくに男の子)に祝福を与える。
・ 子どもの頭に手をかざし、神の祝福の歌(マントラ)を唱えて、赤い顔料で額に卍(スワスティカ)を印す。
・ 日本の神社の巫女に類似 → 「神殿ヒジュラ」 → ヒジュラの原形態
5 ヒジュラの去勢儀礼
・ ヒジュラ集団に入ってきた男の子は、最初は「見習い」。
家事労働、芸能(歌・踊り)の修業など「仕込みっ子」的。
・ その中から、グルが、覚悟がしっかりした者を選ぶ。
・ 年齢的には、早くて13歳、17~18歳までに去勢するのが一般的。中には20歳を越える場合も。
早く去勢した方が、身体的には女性的になる。
・ ヒジュラ集団の中にいる施術者に去勢手術を依頼。
局部を糸で結束し、鋭い刃物で陰茎と睾丸を切除する完全去勢。
麻酔は無し。
銀のストローで尿道を確保した上で、うす暗い部屋で1週間ほど寝かせる。
出血ショック、尿道閉塞、感染症などで死亡する場合もある。
→ 前近代の中国における宦官の去勢手術法と基本的に同じ。
・ 術後10日後に「お披露目」をして一人前の(正規の)ヒジュラとなる。
6 ヒジュラの生業
(1) 結婚式の祝福儀礼
・ 花婿の頭上に手をかざして、多産を祈る。
・ 幸福な結婚、長寿、多産を祈願する歌と踊り。
花嫁を引っ張り出していっしょに踊る ← ヒジュラは花嫁に触れてもよい
・ 花嫁のサリーの裾に米(多産の象徴)を載せて、多産を祈る。
(2) 男児誕生の祝福儀礼
・ 男児限定 ← インド社会では女児誕生は祝福されない
・ グルが男児を抱き、その頭上に手をかざし、親指を額に当てて、幸福と長命、そして多産を神(バフチャラ・マータ)に祈る。
(3) 日常的な営業
・ テリトリーを巡回して、人々や店に祝福を与える ← 「門付け」
・ 出産や結婚の情報を収集。
・ 地域の祭礼に出演。
ラーマ―・ヤナ劇でヒロインのシータ姫を演じる。
伝統的な民謡から最新の歌を披露(歌謡ショー)。
・ ラクダ市に出張して、商売繁盛の祝福を与える。
歌や踊りで景気づけ。
・ イスラム教の巡礼団の「露払い」。
巡礼旗を持って先頭を歩く。
芸能で賑やかす。
(4) 売春
①売春をしないヒジュラ。
神の祝福を伝える者としてのプライド
②売春もするヒジュラ
伝統的生業が衰退→売春行為→穢れた者と見なされる→伝統的生業に差し障り、という悪循環
③売春しかできないヒジュラ
ヒジュラを支える社会的・信仰的基盤が崩壊した地域のヒジュラ。
南インドなどから都市に流入し縄張りをもたないヒジュラ。
※ いずれに生業でも、収益(お金、衣類、食品など)は、すべてグルが握った後、構成員に再分配。
7 ヒジュラ文化圏の範囲
・ 広義のインド文化圏、ただし、北インド(ムガール帝国の領域)が濃厚で、南インドは希薄
→ 去勢の技術が北からインドにもたらされた
・ 現在のインドを中心に、パキスタン、バングラディッシュ。
アフガニスタンにもいたがタリバン政権下の弾圧で難民化してパキスタンに流入。
ネパールやスリランカは文化圏外。
・ インドを植民地化した大英帝国はヒジュラを非合法化したので、イギリス文化の影響の濃淡で、ヒジュラの有り様に差。
・ ポルトガルの旧植民地でカトリック文化圏のゴアなどではほとんど存在しない。
・ イスラム教徒のヒジュラは、芸能の比重が高い(楽器は男性、歌舞はヒジュラ)。
もともとイスラム教の王の宮廷に芸能者として奉仕していた伝統。
8 ヒジュラの人数
・ 統計が無く不明。
・ 石川武志氏の感覚では、インドだけで10~20万人。
→ インドの全人口を10億人とし、その半数が男性だとすると、0.02~0.04%=1万人に2~4人
→ トランスジェンダーの割合としては妥当な数値か
9 ヒジュラをめぐるセクシュアリティ
・ 南インド・タミルナードゥ州のアラヴァン寺院で行われる、アラヴァン神とヒジュラの「結婚」儀式にはインド全土から数1000人のヒジュラが集まるが、同時にヒジュラとの性的関係を結ぼうとする大勢の男性も集まる。
・ アラヴァン神の妻となったヒジュラと、夜中、野外(ブッシュ)やホテルでセックスする。
・ なぜ彼らは、この夜、ヒジュラとセックスをしようとするのか?
→ アラヴァン神の妻となったヒジュラとセックスすることで、神とヒジュラをシェア(共有)する関係になるため。
→ 「神婚(聖婚)」の典型的な形(ヒジュラは女性ではないが・・・)
・ ヒジュラの売春相手となる男性たち。
それなりの社会的階層、経済状況の男性も多く含まれ、貧しさゆえに女性の代用としてヒジュラを買うのではない。
→ ヒジュラだからこそ買う男性の存在(ゲイとも異なる)
→(三橋が言う)「女装者愛好男性」はインドにも存在する?
・ 祭りの日、ヒジュラの後を付いて行く少年たち。
一般のインド女性が表現しない女性性を表現者、「祭りの華」としてのヒジュラ。
少年たちの「性的なもの(エロティズム)」への興味(囃す、尻に触る)。
→ 「ヒジュラ愛好男性」の予備軍?
・ 初体験の相手がヒジュラという男性も。
10 ヒジュラの社会的地位
・ 基本的にアウト・カースト。
・ 富裕な人々が住むテリトリーをもつファミリーは裕福、スラムがテリトリーのファミリーは貧困。
・ ナイク(族長)や有力なグルは、インド社会の上層部ともコネクションがある。
→ ロー・カーストではなく、アウト・カーストなので偉い人にも会える。
・ 地域によって差が大きい。
地域社会の「巫女」的存在として尊敬されている地域
最も穢れた存在として賎視されている地域
→ 最も穢れた者だからこそ人々の前世の穢れをすべて背負える → 聖性
・ 祭礼の日、日頃、差別しているヒジュラの足に五体投地して接吻し、幸せな結婚・多産・を祈る女性たち。
男児を路面に並べて、ヒジュラに跨いでもらう母親。
→ 聖視と賎視の劇的な転換
11 変わりゆくヒジュラ社会
・ インターネットの普及などにより、ヒジュラ社会にも、性別移行に関するさまざまな情報が伝わるようになった。
・ すでに女性ホルモンを投与しているヒジュラは増えている。
・ 今後、伝統的な去勢手術でなく、造膣を含む性別適合手術を受けるヒジュラが多くなっていくと予想される。
・ そうした人たちが、はたしてサード・ジェンダー的なヒジュラ・アイデンティティを持ち続けられるかかなり疑問。
→ 西欧的なMtF(Male to Female)のトランスジェンダーになっていく可能性が強い
・ それは否定すべきことではないのだが、インド社会の現状が男性から性別移行したTrans-Womanが女性として暮らしていける社会状況に乏しいことが問題。
→ ネイティブ女性ですら就労できる余地が少ない。
・ 結局、セックスワークしか生きる術がなくなってしまう可能性が高い。
写真は、石川武志さんのサイト「Hijras of India」より
http://india-hijras.com/ishikawa/hijras/index.html
昨日、専修大学で聴講した写真家・石川武志さんのゲスト講義「インドのヒジュラとは?」の内容を整理してみた。
私のメモなので、文責は三橋にあります。
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1 ヒジュラとは何か?
・ ウルドゥー語で「半陰陽、両性具有者」の意味。
・ シヴァ神とその妃パールヴァティー神が合体した姿(アルダナリースヴァラ)
・ 理想の性としての両性神(万物創成の神)。
・ 両性神との同一化として、ヒジュラは生まれつきの「半陰陽」であることを対外的に主張 → 概念としての両性具有
・ 実態的には、女性へのトランスジェンダー願望がある去勢した男性を中心とした集合体。
・ ジェンダー的には女性だが、女性であるとは主張しない。
・ 「ヒジュラの性別はヒジュラ」 → サード・ジェンダー
2 ヒジュラのコミュニティー
・ グル(ファミリーのリーダー)を中核とし、チェーラー(弟子)を構成員とし、仕事上のテリトリー(縄張り)を持ち、共同生活を送る集団。
・ 「グル」は「お母さん」、チェーラーは「娘」、チェーラー同士は「姉妹」 → 擬制的な母系集団。
・ 構成員は、少ないファミリーは3人、多い場合は10~15人。見習いの男の子から老人まで。
・ 歳をとって外での稼ぎが悪くなれば家事労働に廻り、老いて動けなくなっても若いヒジュラが介護する。見捨てられて路上で行き倒れるようなことはない → 相互扶助的な組織
・ デリーなどに数人のナイク(ビッグ・グル、族長)がいて、全国のファミリーを系列化し統制。
3 ヒジュラの信仰
・ シヴァ神とその妃パールヴァティー神の合体としてのアルダナリースヴァラ
・ 豊穣・多産の女神(母神)としてのバフチャラ・マータ → ヒジュラの祖神
↑ バフチャラ母神は多産の象徴である鶏(なぜか雄鶏)に乗っている。
・ ヒンドゥー教徒のグルのファミリーにはヒンドゥー教徒のチェーラーが、イスラム教徒のグルのファミリーにはイスラム教徒のチェーラーが集まることが多いが、両教徒が混じるファミリーもある。
→ バフチャラ・マータの信徒であることを優先
4 バフチャラ寺院のヒジュラ
・ 北インド・グジャラート州のバフチャラ寺院はヒジュラの祖神バフチャラ・マータを祀る。
・ 境内にはヒジュラが常駐していて、参詣者(とくに男の子)に祝福を与える。
・ 子どもの頭に手をかざし、神の祝福の歌(マントラ)を唱えて、赤い顔料で額に卍(スワスティカ)を印す。
・ 日本の神社の巫女に類似 → 「神殿ヒジュラ」 → ヒジュラの原形態
5 ヒジュラの去勢儀礼
・ ヒジュラ集団に入ってきた男の子は、最初は「見習い」。
家事労働、芸能(歌・踊り)の修業など「仕込みっ子」的。
・ その中から、グルが、覚悟がしっかりした者を選ぶ。
・ 年齢的には、早くて13歳、17~18歳までに去勢するのが一般的。中には20歳を越える場合も。
早く去勢した方が、身体的には女性的になる。
・ ヒジュラ集団の中にいる施術者に去勢手術を依頼。
局部を糸で結束し、鋭い刃物で陰茎と睾丸を切除する完全去勢。
麻酔は無し。
銀のストローで尿道を確保した上で、うす暗い部屋で1週間ほど寝かせる。
出血ショック、尿道閉塞、感染症などで死亡する場合もある。
→ 前近代の中国における宦官の去勢手術法と基本的に同じ。
・ 術後10日後に「お披露目」をして一人前の(正規の)ヒジュラとなる。
6 ヒジュラの生業
(1) 結婚式の祝福儀礼
・ 花婿の頭上に手をかざして、多産を祈る。
・ 幸福な結婚、長寿、多産を祈願する歌と踊り。
花嫁を引っ張り出していっしょに踊る ← ヒジュラは花嫁に触れてもよい
・ 花嫁のサリーの裾に米(多産の象徴)を載せて、多産を祈る。
(2) 男児誕生の祝福儀礼
・ 男児限定 ← インド社会では女児誕生は祝福されない
・ グルが男児を抱き、その頭上に手をかざし、親指を額に当てて、幸福と長命、そして多産を神(バフチャラ・マータ)に祈る。
(3) 日常的な営業
・ テリトリーを巡回して、人々や店に祝福を与える ← 「門付け」
・ 出産や結婚の情報を収集。
・ 地域の祭礼に出演。
ラーマ―・ヤナ劇でヒロインのシータ姫を演じる。
伝統的な民謡から最新の歌を披露(歌謡ショー)。
・ ラクダ市に出張して、商売繁盛の祝福を与える。
歌や踊りで景気づけ。
・ イスラム教の巡礼団の「露払い」。
巡礼旗を持って先頭を歩く。
芸能で賑やかす。
(4) 売春
①売春をしないヒジュラ。
神の祝福を伝える者としてのプライド
②売春もするヒジュラ
伝統的生業が衰退→売春行為→穢れた者と見なされる→伝統的生業に差し障り、という悪循環
③売春しかできないヒジュラ
ヒジュラを支える社会的・信仰的基盤が崩壊した地域のヒジュラ。
南インドなどから都市に流入し縄張りをもたないヒジュラ。
※ いずれに生業でも、収益(お金、衣類、食品など)は、すべてグルが握った後、構成員に再分配。
7 ヒジュラ文化圏の範囲
・ 広義のインド文化圏、ただし、北インド(ムガール帝国の領域)が濃厚で、南インドは希薄
→ 去勢の技術が北からインドにもたらされた
・ 現在のインドを中心に、パキスタン、バングラディッシュ。
アフガニスタンにもいたがタリバン政権下の弾圧で難民化してパキスタンに流入。
ネパールやスリランカは文化圏外。
・ インドを植民地化した大英帝国はヒジュラを非合法化したので、イギリス文化の影響の濃淡で、ヒジュラの有り様に差。
・ ポルトガルの旧植民地でカトリック文化圏のゴアなどではほとんど存在しない。
・ イスラム教徒のヒジュラは、芸能の比重が高い(楽器は男性、歌舞はヒジュラ)。
もともとイスラム教の王の宮廷に芸能者として奉仕していた伝統。
8 ヒジュラの人数
・ 統計が無く不明。
・ 石川武志氏の感覚では、インドだけで10~20万人。
→ インドの全人口を10億人とし、その半数が男性だとすると、0.02~0.04%=1万人に2~4人
→ トランスジェンダーの割合としては妥当な数値か
9 ヒジュラをめぐるセクシュアリティ
・ 南インド・タミルナードゥ州のアラヴァン寺院で行われる、アラヴァン神とヒジュラの「結婚」儀式にはインド全土から数1000人のヒジュラが集まるが、同時にヒジュラとの性的関係を結ぼうとする大勢の男性も集まる。
・ アラヴァン神の妻となったヒジュラと、夜中、野外(ブッシュ)やホテルでセックスする。
・ なぜ彼らは、この夜、ヒジュラとセックスをしようとするのか?
→ アラヴァン神の妻となったヒジュラとセックスすることで、神とヒジュラをシェア(共有)する関係になるため。
→ 「神婚(聖婚)」の典型的な形(ヒジュラは女性ではないが・・・)
・ ヒジュラの売春相手となる男性たち。
それなりの社会的階層、経済状況の男性も多く含まれ、貧しさゆえに女性の代用としてヒジュラを買うのではない。
→ ヒジュラだからこそ買う男性の存在(ゲイとも異なる)
→(三橋が言う)「女装者愛好男性」はインドにも存在する?
・ 祭りの日、ヒジュラの後を付いて行く少年たち。
一般のインド女性が表現しない女性性を表現者、「祭りの華」としてのヒジュラ。
少年たちの「性的なもの(エロティズム)」への興味(囃す、尻に触る)。
→ 「ヒジュラ愛好男性」の予備軍?
・ 初体験の相手がヒジュラという男性も。
10 ヒジュラの社会的地位
・ 基本的にアウト・カースト。
・ 富裕な人々が住むテリトリーをもつファミリーは裕福、スラムがテリトリーのファミリーは貧困。
・ ナイク(族長)や有力なグルは、インド社会の上層部ともコネクションがある。
→ ロー・カーストではなく、アウト・カーストなので偉い人にも会える。
・ 地域によって差が大きい。
地域社会の「巫女」的存在として尊敬されている地域
最も穢れた存在として賎視されている地域
→ 最も穢れた者だからこそ人々の前世の穢れをすべて背負える → 聖性
・ 祭礼の日、日頃、差別しているヒジュラの足に五体投地して接吻し、幸せな結婚・多産・を祈る女性たち。
男児を路面に並べて、ヒジュラに跨いでもらう母親。
→ 聖視と賎視の劇的な転換
11 変わりゆくヒジュラ社会
・ インターネットの普及などにより、ヒジュラ社会にも、性別移行に関するさまざまな情報が伝わるようになった。
・ すでに女性ホルモンを投与しているヒジュラは増えている。
・ 今後、伝統的な去勢手術でなく、造膣を含む性別適合手術を受けるヒジュラが多くなっていくと予想される。
・ そうした人たちが、はたしてサード・ジェンダー的なヒジュラ・アイデンティティを持ち続けられるかかなり疑問。
→ 西欧的なMtF(Male to Female)のトランスジェンダーになっていく可能性が強い
・ それは否定すべきことではないのだが、インド社会の現状が男性から性別移行したTrans-Womanが女性として暮らしていける社会状況に乏しいことが問題。
→ ネイティブ女性ですら就労できる余地が少ない。
・ 結局、セックスワークしか生きる術がなくなってしまう可能性が高い。
写真は、石川武志さんのサイト「Hijras of India」より
http://india-hijras.com/ishikawa/hijras/index.html
2014-07-13 15:25
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こんにちは。この顔が半分青で半分ピンクのヒジュラですが
昔『デビルマン』にでてきたアシュラ男爵みたいですね。
アシュラ男爵もこのヒジュらから来ているのでしょうか?
それにしても去勢痛そうですね。そう言えば昔飼っていた猫が去勢手術をしたあと、病院から帰って来てからしばらく自分のお尻をなめていたけど、痛かったんでしょうね。ごめんよ…
by マミー (2014-07-15 13:32)
マミーさん、いらっしゃいま~せ。
>この顔が半分青で半分ピンクのヒジュラですが
これはヒジュラが信仰しているシヴァ神とその妃パールヴァティー神が合体した神様((アルダナリースヴァラ)で、左側の青い肌の部分がシヴァ神で、右側のピンク色の肌の部分がパールヴァティー神です。
>アシュラ男爵もこのヒジュらから来ているのでしょうか
アシュラ男爵は、ミケーネの貴族夫婦のミイラを一体化したものなので、男女を左右半分ずつ合せたという点で、同じ発想ですね。
でも、こういう発想は古代(キリスト教以前の)ヨーロッパにもあるので、インド起源ではないと思います。
猫は傷を嘗めて治そうとするので、猫にとっては去勢もただの傷なのではないでしょうか。
by 三橋順子 (2014-07-15 19:46)