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HIV感染者の「無防備な性交渉」、犯罪化したスウェーデンで議論再燃 [現代の性(HIV・性病)]

11月30日(土)
北欧スウェーデンで、HIV感染者が事前通知なしに性交渉を行うことを犯罪化していることを報じるAFPの記事。
スウェーデンが、ここまでやっているとは知らなかった。
HIVの感染拡大防止策としてはそれなりに有効だった(←過去形)と思うが、感染者の人権を考えた場合、犯罪化・刑罰化はかなり疑問で、HIVウィルスを抑え込む治療が可能になった現在、時代遅れの感は否めず、議論が再燃するのは当然だと思う。

しかし、一方で、自分がHIVに感染しているのを知りながら、他者に感染させることを承知で(さらにはそれを目的として)性交渉を繰り返す感染者もいるわけで、そうした不届き者には傷害罪・殺人未遂罪を適用して、厳しく罰すべきだと思う。
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HIV感染者の「無防備な性交渉」、犯罪化したスウェーデンで議論再燃
【11月29日 AFP】リナ・アバンデルさん(35)がHIV陽性と診断されたとき、それは処方薬と、そして通知義務を意味した──スウェーデンでは法律上、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性の人は性交渉を行う前にそのことを通知しなければならない。
「私の作戦は、その状況に頻繁に身を置かないようにすること。カジュアルなセックスはあまりしてない」と、アバンデルさんは語った。「相手のことを信用できるようになるまで待つ。相手がこのことに対応できる人だということがわかるまで」
HIV感染はそれ自体ですでにつらい経験だが、スウェーデンでHIV陽性になるということは、法的義務に従わない場合に刑事訴追される危険性を伴うことを意味する。
通知の義務化はHIVの拡大を防止する目的で導入された。だが、12月1日の世界エイズデー(World AIDS Day)を前に、HIV感染の犯罪化をめぐる議論が大きな注目を集めている。

■HIV関連の有罪率、世界トップのスウェーデン
スウェーデンのHIV感染者は約6500人、そのうち90%が効果的な抗レトロウイルス治療を受けている。
スウェーデンでは、HIV感染者が通知義務に従わず、無防備な性交渉を行った場合、たとえ相手が結果的にHIVに感染しなかったとしても、加重暴行未遂罪に問われ、実刑判決を受ける可能性がある。
暴行を承諾することは通常ないため、つまりは、スウェーデンでは、HIV感染者はいかなる状況下であっても、法律上、無防備な性交渉を行うことできない──たとえHIV陽性であることをパートナーに明かし、パートナーが承諾したとしても。
HIV感染者支援団体GNP+(Global Network of People Living with HIV)が、HIVと刑事訴追との関連性を調べた報告書「2010 Global Criminalisation Scan Report)」によると、スウェーデンは、HIVに関連した有罪率が世界で最も高く、HIV感染者1000人に付き6.12件の有罪判決が言い渡されていた。これはフランスの60倍、米国の24倍に上る割合だ。

■性交渉による感染、効果的な治療受けていれば実質ゼロに
だが10月、状況が変わり始めた。
スウェーデン感染症対策研究所(Swedish Institute for Communicable Disease Control、SMI)が、効果的な治療を受けている場合、性交渉を通じたHIV感染の危険性は極めて低いことから、刑事訴追は間違いであると主張する報告書を発表。
この報告書を基に、スウェーデンの控訴裁判所が、4人の女性と無防備な性交渉を行ったHIV陽性の男性に禁錮1年の有罪判決を下した下級審の判決を覆し、無罪を言い渡したのだ。4人の女性は全員、HIVに感染していなかった。
同報告書の執筆者の1人、カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)の感染症対策部門のジャン・アルベルト(Jan Albert)教授は「効果的な抗レトロウイルス治療を受けている患者は、性交渉を通じての感染能力を実質的に持っていない」と述べている。

■「HIV感染者は性交渉するな」、国民の40%
男女の平等をめぐる政策では国際会議の場で称賛されることの多いスウェーデンだが、HIVをめぐっては「HIV陽性を公表しないこと及びHIV感染を犯罪化してはならない」との国連合同エイズ計画(UNAIDS)の推奨にスウェーデンは応じていない。
だが、HIV感染者の法的立場はスウェーデン国民の間に広がっている一般通念を反映したものかもしれない。
SMIの最新の報告書によると、「HIV陽性の人は性交渉を完全に止めるべき」と考えている人は、2011年にスウェーデン国民の40%に上っていた。また、スウェーデンの2大政党も、この問題についての明確な立場をまだとることができないでいる。
国内の人権団体などは、10月の無罪判決を画期的な出来事と評価している。だが11月末、検察当局は最高裁へ上告することを決めた──スウェーデン文化の中に、HIV陽性の通知に関する法律が深く根ざしていることの証拠なのかもしれない。(c)AFP
「AFP」2013年11月29日 23:21 発信地:ストックホルム/スウェーデン
http://www.afpbb.com/articles/-/3004200
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