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9月3日(火)性欲研、韓国に行く(3日目の2:美容整形博物館) [旅]

(続く)
韓国は世界一の美容整形大国である。
国際美容整形外科学会のデータ(2011年)によると、美容整形手術の総数、1位アメリカ(311万件)、2位ブラジル(145万件)、3位中国(105万件)、4位日本(95万件)で、韓国が65万件で7位。
しかし、人口比(1000人当たり)を計算すると、韓国(13.1件)、ギリシャ(12.7件)、イタリア(11.6件)、米国(10.0件)、コロンビア(8.1件)というランキングになる。日本は7.4件。
ここでも韓国は見事に「克日」を果たした上に、ついに世界一の座に就いた。

その韓国に「江南(カンナム)美人」という言葉があるらしい。
ソウル旧市街の南を東西に流れる漢江を渡った南岸、江南地区に美容整形病院が集中している。
そこで作られた「美人」ということだ。
(日本にも「となりのあの子は大塚娘」という大塚美容形成外科 のCMソングがあるが・・・)
そこに「美容整形博物館」という施設があると聞いて、見に行くことになった。

タクシーで南へ、漢江を渡ってすぐの新沙(シンサ)駅(地下鉄3号線)の脇で車を降りる。
道を横断するため、地下鉄の入口を利用する。
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↑ 地下鉄の入口は日本のとそっくり。
驚いた!駅のコンコースの壁面が美容整形病院の広告ばかり。
見た感じ、広告の9割が美容形成関係だと思う。
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↑ このBefore&Afterは「いくらなんでも嘘だろう」という声がメンバーには多かったが、私はこのくらいやりかねないのを知っている。
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↑ 駅の改札の内側にも大きな看板広告。
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↑ 階段の壁面にも整形美女・美男がズラリ。
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↑ 9割が美容形成関係で、残り1割は毛髪関係。
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↑ 地下鉄の出口の前の交通至便な16階建ての立派なビルがすべて「BK美容外科病院」。
後でもらった日本語パンフレットの表紙には「韓国最大美容外科」とあった。
その2階に「美容整形博物館」あるはず。

2階に上がってまたびっくり。
「美容整形博物館」は、美容形成病院の受付と同じフロアーで、ちょっとした仕切りで隔てられているだけだった。
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↑ いろいろ直し甲斐がある患者候補と思われた?
病院の受付のお姉さん(美人)に断わって博物館(無料)を見学する。
それはいいのだが、待合室にいる患者さんが丸見えで、なんだか申し訳ない。
日本だと、ちょっと考えらえないオープンさ。
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↑ 削ぎ取った頬(エラ)の骨の山。
う~ん、こんなに盛大に削いじゃうのか・・・。
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↑ ビップの美容形成(豊臀整容手術 Hip Augmentation)の解説。
日本ではあまり行われないが、南米などでは盛ん。
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↑ 豊胸手術に使うインプラントの展示(胸部矯正手術的機種類型 Various Types of Breast Correction Surgery)
「博物館」というのは大袈裟で、美容整形手術の解説コーナーという趣き。
私は、この手のことを知りすぎているので、あまり新知見はなかったが、美容形成について特に知識がない一般の人には、ちょうど良い解説内容のように思った。
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↑ 痩せて映る鏡。いろいろ手術すれば、こういうスタイルになれますよ、ということ。
見学を終わってビルの外で出ると、母娘と思われる2人の女性が、ビルの前で撮影をしていた。
自分が美しくなった場所という記念なのだろう。
韓国では、容姿が美しくないと進学や就職に不利になると考える傾向が日本などよりずっと強い。
したがって、子供の社会的成功を願う親が娘(息子も)に美容整形を勧めることも珍しいことではない。
美容整形を受けることは社会的成功へのワンステップであり、ポジティブなことなのだ。
だから、日本のように美容整形に後ろめたさやためらいを感じることが少なく、躊躇することなく美容形成を受ける人が多い。
性欲研究会の論集『性欲の研究』(平凡社)に、申 昌浩さん(京都精華大学)が「整形美人と新儒教精神」という論文を書かれている。
その中で、申さんは、韓国における美容整形の盛行を、儒教の基本的思想である「身體髮膚、受之父母。不敢毀傷、孝之始也。立身行道、揚名於後世、以顯父母、孝之終也(身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり。身を立て道を行い、名を後世に揚げ、以って父母を顕わすは、孝の終わりなり)」(『考経』開宗明義章第一)の後半部分と関連させている。
儒教における最大の徳目である「孝」とは、究極的には「身を立て道を行い、名を後世に揚げ、以って父母を顕わす」こと、立身出世、社会的地位の上昇である。
つまり、韓国人にとって、美容形成は社会的成功のための手段であり、儒教の最大の徳目「孝」の達成のためなのだ。

新沙から狎鴎亭(アックジョン)方面に歩く。
狎鴎亭界隈は、江南の高級住宅街を背後にもつ、おしゃれな街。
高級ブランドのショップなどが多い。
東京でいえば、自由が丘界隈というところだろうか。
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↑ 途中で見かけた美容形成病院。
看板には「棒棒美容外科中心」とあり、「隆胸塑形中心」と「鼻分 面部輪郭中心」に分かれている。
「中心」は中国語で「センター」のこと、「面部輪郭」の「輪」は簡体字で、中国人客を強く意識している。
現在、韓国の美容整形は巨大市場である中国に意識が向いている。
15分ほど歩いて、狎鴎亭駅近くの美容整形外科が集中する通り、俗称「美容整形通り」に到着。
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↑ 取り立てて変わったところがない道だが、よく見ると、ほとんどのビルに1軒ずつ美容形成病院が入っている(複数は入っていない)。
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日本ではまったく有り得ない、すごい密度だ
『朝鮮日報』(2011年8月14日「整形ベルト地帯ソウル江南を行く」)によると、新沙駅から狎鴎亭駅の間の約2kmのエリアに230軒もの美容形成病院が密集しているとのこと。
韓国の美容整形業界の量的な大きさが実感できた。

ところで、韓国は、世界的な美人コンテストでまだグランプリが獲れない。
日本は「ミス・ユニヴァース」(1959児玉明子、2007森理世)と「ミス・インターナショナル」(2012 吉松育美) でグランプリを3回獲得しているので、この分野では、まだ「克日」を果たしていない。
「美人国」の自負がある韓国はそれが悔しくて仕方がないようだ。
しかし、これだけ「美容整形大国」の名が広まってしまうと、たとえ未整形の韓国代表であっても、整形美人と疑われても仕方がないように思う。
(これらのミスコンでは美容形成は違反ではないが、やはり印象的にマイナスらしい)
本当の美人にとっては、美容整形の盛行は、迷惑な話なのかもしれない。
(続く)
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オナ禁すれば包茎手術をしなくてもよくなるのか

美容整形も進歩しているのですが、
男の場合、やはり下半身の包茎手術の恐怖があります
最近では、彼女から包茎を治すように迫られていますが、
かなり辛いです。
そんな時に、オナ禁すれば包茎が治るという
衝撃の事実をしりました。
どうでしょうか。
やはり韓国までいって、包茎手術するしかないですかね
by オナ禁すれば包茎手術をしなくてもよくなるのか (2013-11-24 08:40) 

三橋順子

なぜ私に聞く・・・?(笑)
結論的に言えば、包皮を剥けば亀頭が露出する仮性包茎の場合、性交時に痛みがなければ手術は必要ないと思います。
清潔にしておけば問題ないはずです。
完全包茎の場合は、手術する必要があると思いますが。
実は、包茎は良くない、手術しないといけないという言説は、美容形成医が営業に有利になるように言い出したという説が、ほぼ確定的です。
詳しくは渋谷知美さんの『平成オトコ塾―悩める男子のための全6章』(筑摩書房、2009年)などをご覧ください。
by 三橋順子 (2013-11-24 22:14) 

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