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同性婚、日本でも法制定目指す動きも(毎日新聞) [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月28日(金)
3面のほぼ半分を使った大きな扱い。
連載最高裁判所判決に浮かれ騒がず、アメリカの同性愛者(社会のほぼ半分が同性婚に否定的)をめぐる現実をちゃんと見据えている内容。
また、日本における同性婚制定への動き(まだきわめて初動的だが)もしっかり取材していて良質の記事。
日本の動向についての取材記者の一人は、2月に「男の娘(こ)」についての大きな記事をまとめた鈴木敦子記者。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-02-18
記事を読んでいて個人的に感慨深かったのは、日本で同性婚と同様の法的権利を認める「パートナーシップ法」の制定を目指す団体「特別配偶者法全国ネットワーク」の共同代表が谷口洋幸さん(高岡法科大学准教授:」国際人権法)だということ。
その昔、同じ研究会にいた者として、ご活躍をうれしく思う。

今週の『毎日新聞』は住民の同性愛者率が4割に達するロサンゼルス市近郊のウェスト・ハリウッド市(カルフォルニア州ロサンゼルス郡)の街づくりに注目した「虹色のまちづくり―西ハリウッド市物語―」というシリーズ記事を8面(国際面)に連載していて(5回:月曜~金曜)、同性愛関係の記事がすばらしく充実している。
(私は1~4回を東京経済大学でコピーして、今日、新聞を買って完全収集)
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Listening:同性婚、容認の流れ 米連邦最高裁が合憲判断 社会に浸透、変化に配慮

米連邦最高裁が26日、同性同士の結婚(同性婚)を事実上認める憲法判断を初めて下した。5月にはフランスで同性婚が合法化され、米国の決定と併せて世界的に同性婚容認の流れが高まりつつある。伝統的な価値観から脱皮する歴史的な節目になる可能性がある一方、米国では同性婚への反発は依然根強く、全米で定着する見通しは立たない。欧米以外の実態や、日本の現状を調べた。

「『二流の結婚』という不安定な地位におとしめ、憲法が保障する性的選択(の自由)の品位を汚している」

判決文を書いた保守中道派のケネディ判事は、同性婚を禁じた結婚保護法を厳しく批判した。リベラル派4人、保守派4人で判事の賛否が真っ二つに分かれるなか、ケネディ判事の見解が最高裁の判断の決め手となった。

「何十万人もの権利や名誉が危機にさらされ、同性カップルの幾万もの子供たちに屈辱を与える」。同判事の見解には、同性婚が浸透した米社会の変化に即した判断が必要との思いがにじんだ。米国勢調査局によると、同性カップル家庭は2010年に約90万世帯で00年の約59万世帯から約50%増加。養子縁組などで子供がいる家庭は11万世帯を超える。米世論調査会社ギャラップによると、結婚保護法が制定された1996年に同性婚合法化の支持率は27%に過ぎなかったが、今年は53%だ。

「法の下の平等を求めた長い闘いが報われた」。アフリカに向かう途中のオバマ大統領は大統領専用機から歓迎声明を発表した。

判決を受け、連邦議会でも結婚保護法を見直す動きが出てきそうだ。スタンフォード大憲法研究センターのウィリアム・ボード研究員は「法改正しないと裁判所が同性婚認定をすることになり、膨大な時間とお金がかかる」と指摘する。

連邦下院は野党・共和党が234議席と201議席の与党・民主党を上回る。上院は民主党が52議席で過半数だが、反対派が行う可能性がある議事妨害の阻止には60議席が必要だ。

同性婚禁止州の対応も焦点だ。全米50州のうち禁止州は35州。中西部オハイオ州や北西部オレゴン州では同性婚の是非を問う住民投票を来年の中間選挙に合わせて実施する方針。中西部インディアナ州では、保守系州議員が州憲法での同性婚禁止を求めている。

米カリフォルニア大ロサンゼルス校法科大学院のデビッド・コーデル上級研究員は「複雑な課題が多く、整理するには時間がかかる」と指摘した。

 ◇適用に時間、反対派抵抗か

連邦法である結婚保護法は、結婚を「一人の男と一人の女による法的結合」と定義し、同性による婚姻には国の法的保障や保護を与えないと定めている。

同法を通じて連邦政府が結婚を規制する権限を持つかどうかが、裁判の焦点の一つだった。米国では各州の権限が強く、同性婚を認めている州もあるため、州と国の権限が検討された。

判決は「州が同性婚法で守ろうとする人たちを害する正当な権限は国にない」とし、歴史的・伝統的な州の権限を侵害したと認定した。その上で、結婚保護法が、合衆国憲法修正第5条がすべての人に保障する法的に平等な保護に反していると断定した。国は「完全敗訴」した形だ。

判決を受け、今後の焦点は、同性婚家庭に対する国が定める結婚家庭への優遇措置適用に移る。こうした措置は、税額控除や医療など1138項目に達する。 ただ、実際の適用までに時間がかかる可能性がある。反対派の抵抗も予想される連邦議会などでの法改正が必要なうえ、国の優遇措置と各州の優遇措置では違いがあり、どちらがどこまで適用されるのか▽適用する場合はさかのぼって請求できるのか▽同性婚を禁じている州に移住した同性婚家庭はどうなるのか−−など課題は多い。【ワシントン及川正也、西田進一郎】

 ◇日本、法制定目指す動きも

日本では、同性婚は法的には認められていない。憲法24条には婚姻について「両性の合意のみに基いて成立」するとの規定があり、「両性」は男女を意味すると考えられているためだ。現行憲法が施行された1947(昭和22)年の段階では同性婚が想定されていなかったためと言えるが、同性婚を認めるために憲法改正が必要かどうかは、学者の間でも見解が分かれる。

同性カップルは、法的には全くの他人。同性カップルへの法的保障の充実を求めて活動している赤杉康伸さん(38)は「以前手術を受けた時、緊急で家族の同意が必要になったが、同居しているパートナーは家族として認めてもらえなかった」と振り返る。

ほかにも、税の配偶者控除が受けられない、亡くなった時に相続ができないなど、財産に関する壁は多い。

婚姻届を出さない「事実婚」の男女の場合、最近は住民票の「妻(未届け)」の記載が婚姻関係を証明するとして、法律婚に準じて権利が広がってきたが、同性の場合はそうした証明もない。法的に家族になるために養子縁組で「親子」になるカップルもいるが、実家の親から反対されることも多い。

だが、国内でも最近、同性婚に法的権利を認める「パートナーシップ法」の制定を目指す動きが出てきた。民法の配偶者の規定を同性カップルに準用する「特別配偶者」という規定をつくり、現行憲法のまま、同性カップルにも男女間と同等の権利を保障しようというものだ。当事者らでつくる「特別配偶者法全国ネットワーク」共同代表の谷口洋幸・高岡法科大学准教授(国際人権法)は「現行憲法下でも、パートナーシップ法の制定は妨げない、という解釈が優勢だ」と話す。

同性愛者であることを公表している尾辻かな子参院議員(38)=民主党=は、米連邦最高裁判断について評価した上で「日本では、同性愛を公言できる土壌が整っていない。多くの人に、日本にも平等を求めている人たちがいる現状を知ってほしい」と訴えている。【鈴木敦子、反橋希美】

『毎日新聞』2013年06月28日
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マミー

前から気になっていたのですが、同性で結婚はいいとして、その後に子供を養子に迎えて育てるって言うのがちょっと引っかかります。真面目な人ならいいのですが、中にはド変態がいて子供を虐待するかもしれません。悲しいめにあっている子供たちが多い昨今ですので、その点は十分に考慮された方がいいと思います。
長年連れ添ったパートナーが亡くなった後の財産のことなども、色々絡んできますよね。(借金もかな?)
by マミー (2013-06-29 04:05) 

三橋順子

マミーさん、いらっしゃいま~せ。
おっしゃるように同性カップルは認めても、その間に養子を認めることについては、かなり抵抗があるのが実情です。
ただ、幼児虐待など子供を育てるのに不適切な養親は異性カップルでもいくらでもいるわけで、同性カップル特有の問題ではありません。
財産権(相続)の問題も、異性婚と同じ扱いになるはずです。

by 三橋順子 (2013-06-29 07:14) 

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