女装秘密結社「富貴クラブ」関係写真コレクション(その3) [性社会史研究(性別越境・同性愛)]
3月17日(日)
「富貴クラブ」は、1960~1980年代に活動したアマチュア女装の秘密結社。
その写真コレクションをこの2月に関係者から入手し、現在、整理作業をしている。
前々回、前回に引き続き、興味深い写真を、いくつか紹介してみたい。
(関連記事)
女装秘密結社「富貴クラブ」関係写真コレクション(その1)
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-02-27-1
女装秘密結社「富貴クラブ」関係写真コレクション(その2)
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-03-08-1
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(fu2-13)羽子板をもつ和装の若いゲイボーイ
この写真は手札版だが、まったく同一構図(余白が少し広い)の二回り小さな名刺版の写真がある(fu5-23)。
(fu5-23)の裏面は名刺になっていて、「おひろ 南区宗右ヱ門町十八」とある。ただ、「おひろ」が店名なのか人名なのかがわからない。
まあ、おひろさんが1人でやっている「おひろ」という店なら、どちらでも同じということになるのだが。
【追記】『風俗奇譚』1967年1月臨時増刊号「妖艶咲き競う女装の花園」の記述から、「カルーセル」のマダムおひろさんの若き日の写真であることが判明。
(fu2-48)日本髪に和装のゲイボーイ。
着こなし、片膝を落とした座り方、煙管を構えるポーズが粋で、とても色っぽい方だが、誰だかわからない。
背景の障子の格子や床の感じ、そして置かれた雪洞(ぼんぼり)などから、一般の和室ではなく、どこかの舞台かと思う。
(fu5-44)日本髪に和装の「娘」の立ち姿
背後の屏風の絵柄(衣桁に架けられた扇面柄の着物)、雪洞が(fu2-48)と同一で、同じ日時・場所の撮影であることがわかる。
問題は、それがどこか?ということ。
当時(1960年代と推定)のゲイバーでこれだけの舞台を備えている店があっただろうか?いささか疑問。
となると、日本舞踊の発表会とか、お芝居の舞台とかが思い浮かぶ。
日本舞踊は当時のゲイボーイの必修科目だった。
また、大衆演劇の女形からゲイボーイに転じた(あるいは兼ねている)人もいた時代なので、どちらの可能性もある。
(fu3-36)日本髪に和装の舞台姿。
この写真は、間違いなく日本舞踊の発表会。
踊っているのは「吉壽己」さんという方、演目は「明治一代女」。
名取名に「壽」が入っているので花柳流と思われる。
同じポーズの写真(fu6-4)の裏面に「広島 中津直子 33才」とある。
容姿、踊りのレベルからして、おそらくアマチュアの女装者ではなく、プロのゲイボーイの方だろう。
(fu4-18)日本髪に和装の舞台姿。
この写真も、日本舞踊の発表会と思われる。
裏面に「込山憲子」という鉛筆書きがある。
こちらは、アマチュア女装の方か?
(fu3-3)芸者の「出の衣装」(黒の紋付)姿で三つ指をつくゲイボーイ。
裏面に「ポケット しげみ」という鉛筆書きがある。
『風俗奇譚』1964年4月臨時増刊号掲載の西塔哲(富貴クラブ会長)「新宿のメケメケ・バー」によれば、「ポケット」は新宿の「千鳥街」にあったゲイバー。
千鳥街は、新宿2丁目の新宿通り南側(現在、御苑大通りの新宿通り南側の路面)にあった飲み屋街。
「ポケット」のマダム「しげみ」さんの芸者姿は、「新宿のメケメケ・バー」に大きく載っている。
同じ衣装だが、ポーズ的には、こちらの方が決まっているように思う。
(続く)
「富貴クラブ」は、1960~1980年代に活動したアマチュア女装の秘密結社。
その写真コレクションをこの2月に関係者から入手し、現在、整理作業をしている。
前々回、前回に引き続き、興味深い写真を、いくつか紹介してみたい。
(関連記事)
女装秘密結社「富貴クラブ」関係写真コレクション(その1)
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-02-27-1
女装秘密結社「富貴クラブ」関係写真コレクション(その2)
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-03-08-1
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(fu2-13)羽子板をもつ和装の若いゲイボーイ
この写真は手札版だが、まったく同一構図(余白が少し広い)の二回り小さな名刺版の写真がある(fu5-23)。
(fu5-23)の裏面は名刺になっていて、「おひろ 南区宗右ヱ門町十八」とある。ただ、「おひろ」が店名なのか人名なのかがわからない。
まあ、おひろさんが1人でやっている「おひろ」という店なら、どちらでも同じということになるのだが。
【追記】『風俗奇譚』1967年1月臨時増刊号「妖艶咲き競う女装の花園」の記述から、「カルーセル」のマダムおひろさんの若き日の写真であることが判明。
(fu2-48)日本髪に和装のゲイボーイ。
着こなし、片膝を落とした座り方、煙管を構えるポーズが粋で、とても色っぽい方だが、誰だかわからない。
背景の障子の格子や床の感じ、そして置かれた雪洞(ぼんぼり)などから、一般の和室ではなく、どこかの舞台かと思う。
(fu5-44)日本髪に和装の「娘」の立ち姿
背後の屏風の絵柄(衣桁に架けられた扇面柄の着物)、雪洞が(fu2-48)と同一で、同じ日時・場所の撮影であることがわかる。
問題は、それがどこか?ということ。
当時(1960年代と推定)のゲイバーでこれだけの舞台を備えている店があっただろうか?いささか疑問。
となると、日本舞踊の発表会とか、お芝居の舞台とかが思い浮かぶ。
日本舞踊は当時のゲイボーイの必修科目だった。
また、大衆演劇の女形からゲイボーイに転じた(あるいは兼ねている)人もいた時代なので、どちらの可能性もある。
(fu3-36)日本髪に和装の舞台姿。
この写真は、間違いなく日本舞踊の発表会。
踊っているのは「吉壽己」さんという方、演目は「明治一代女」。
名取名に「壽」が入っているので花柳流と思われる。
同じポーズの写真(fu6-4)の裏面に「広島 中津直子 33才」とある。
容姿、踊りのレベルからして、おそらくアマチュアの女装者ではなく、プロのゲイボーイの方だろう。
(fu4-18)日本髪に和装の舞台姿。
この写真も、日本舞踊の発表会と思われる。
裏面に「込山憲子」という鉛筆書きがある。
こちらは、アマチュア女装の方か?
(fu3-3)芸者の「出の衣装」(黒の紋付)姿で三つ指をつくゲイボーイ。
裏面に「ポケット しげみ」という鉛筆書きがある。
『風俗奇譚』1964年4月臨時増刊号掲載の西塔哲(富貴クラブ会長)「新宿のメケメケ・バー」によれば、「ポケット」は新宿の「千鳥街」にあったゲイバー。
千鳥街は、新宿2丁目の新宿通り南側(現在、御苑大通りの新宿通り南側の路面)にあった飲み屋街。
「ポケット」のマダム「しげみ」さんの芸者姿は、「新宿のメケメケ・バー」に大きく載っている。
同じ衣装だが、ポーズ的には、こちらの方が決まっているように思う。
(続く)
2013-03-18 10:42
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コメント(1)
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大阪にヒロという名のお店があってそこのおひろママです。
カルーセル麻紀さんも若い頃お世話になっていて、美川のお姉さんもお世話になってたはずですよ。
愛媛県出身だったと記憶しています。
とてもきれいな方でした。
by まお (2018-04-24 23:08)