SSブログ

日本でFtM(Female to Male)が多いのは・・・ [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月19日(金)

少し前に日本における「性同一性障害の人の割合」について考えた。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2012-10-07-4

その結果、日本ではFtM(Female to Male)が諸外国に比べてかなり多いことを指摘した。
今回は、その理由(数字的あと付け)を考えてみた。

日本の女性人口を6448万人とする。

そして、その3%が女性同性愛者(レズビアン)であるとすると、レズビアンの人数は193万人いることになる。
ただ、日本社会の現状では相当数が潜在化していると思われる。
仮に顕在化率を3分の1と考えると(根拠なし)64.5万人となる。

本来の性同一性障害の人(FtM)の割合をオランダ並みを国際標準と考えて3万に1人と仮定すると、その人数は2149人となる。

ところが、日本でFtMとされている人はもっとずっと多い。
たぶん1万人に1~3人の範囲ではないだろうか。

1万人に3人 19344人(差17195人)
1万人に2人 12896人(差10747人)
1万人に1人  6448人(差 4299人)

では、オランダと同じ比率で考えた場合との「差」(増加分)はどこから来たのか?

私は、日本のFtMが国際的に比較して異様に多く、MtF(Male to Female)との数的関係が逆転している原因を、本来、レズビアンの範疇に収まる人たちが、GID特例法に誘導されて、性同一性障害(FtM)に流れ込んでいるためと推定している。

その推定に立って、どの程度の比率でレズビアンからFtMに移動しているのかを考える。
電卓を叩くと・・・、
顕在化している(推定)レズビアンの2.67%が流れ込めば、FtMの比率は1万人に3人になる。

同様に1.67%の流入なら1万人に2人になるし、0.67%が流入すれば、1万人に1人になる。

つまり、顕在化レズビアンの僅か0.7%が自分は「性同一性障害だ」と「誤認」(意図的な誤認を含む)すれば、日本のFtMは国際標準の3倍になり、2.7%が「誤認」すれば9倍に跳ね上がる。

この程度の「誤認」率は十分に考えられると思う。
なにしろ「GID特例法」は、生来的な同性が結婚できる唯一の方法だから。
女性と結婚したいレズビアンがこの法律を利用しようとすることは、十分に想定されることなのだ。

私が昔から「性転換法と同性パートナーシップ法は同時にやらないと駄目だ」と言ってきたのは、こういう事態、つまり、性転換が同性結婚のための抜け道に使われることを予想していたからだ。

一方、日本のMtFの比率は、1万人に1.5~0.75人の範囲と推定され、オランダ(国際標準と仮定)の1万1900人に1人と大差はない。
これは、ゲイ(男性同性愛者)からMtFへの流入がほとんどなく、MtFの素の数字が現れているからだろう。

レズビアンはFtMに流入するが、ゲイはMtFに混入しないという相違はなぜ起こったのだろうか?

日本において、ゲイコミュニティとMtFのコミュニティは、性同一性障害概念が流布する1990年代後半以前に、すでにかなり明確に分離していた。
その分離の時期は1970~1980年代と考えられる。
性同一性障害概念はMtFだけに影響を与え、ゲイにはほとんど影響が及ばなかった。

それに対して、レズビアンコミュニティとFtMのコミュニティは分離が進まず混在した状態だったところに、性同一性障害概念が流布した。
結果、本来、性同一性障害概念の影響を受ける必要のないレズビアンにまでその影響が及んでしまい、混乱と混入が起こってしまったと考えられる。

つまり、現在の日本のFtMの多さは、レズビアンの僅か1~3%が混入していると想定すれば、十分に説明可能ということである。
nice!(0)  コメント(11)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 11

とまと

うーみゅ…MtFの少なさは逆にゲイからの流入を含め…GIDとしてカウントされていないが実際じゃないかにゃぁ…ゲイ経由でニューハーフ業界にはいってトランスしている人は山ほどいるので…

最近ではドラァグ~→トランスってパターンも結構あるし…

ただ、これらはGID治療以前のノウハウが案外しっかりあるので…それこそSRSをするまでは特にジェンクリに行く気にもならず…結果カウントされないってところでは?^^;
by とまと (2012-10-19 03:36) 

Mr. RCK

タイトルと見て、Facebook, Twitter and Mixiと早とちりしてしまいましたー。

それはともかく、FtMとMtFのお話、勉強になりました。
by Mr. RCK (2012-10-19 05:09) 

田中玲

レズビアンコミュニティには相当数のFTMが入り込んでいますからね。レズビアンクラブイベントは公的書類上の性別を「女」と証明すれば入れるので。逆にMTFの人がレズビアンだと言っても、公的書類上「男」なら入れません。ウーマンズウィークエンドの参加資格も「戸籍が女の人のみ」だし、あまりにも訳が分からないので、私はクローゼットなところには近付かないようにしています。
by 田中玲 (2012-10-19 09:55) 

三橋順子

とまとさん、いらっしゃいま~せ。

ご指摘のような部分もあると思いますが、現状はMtFが少ないのではなく、オランダなどとの比較で、明らかにFtMが多いのです。
MtFの人数は、最近では、ほぼオランダなどと比較して見ても水準に近いと思います。
言い方を換えると、日本の性同一性障害の問題点は、過去のようにMtF問題(ニューハーフなどの排除・把握漏れ)ではなく、現在ではFtM問題(若年FtMの爆発的増加)だということです。
by 三橋順子 (2012-10-19 10:33) 

三橋順子

Mr. RCKさん、いらっしゃいま~せ。

>タイトルを見て、Facebook, Twitter and Mixiと早とちりしてしまいました。

あはは・・・、ほんとそうですね。でもTwitterだけなぜ小文字?
すいません。タイトル、誤解のないように補っておきました。
by 三橋順子 (2012-10-19 10:37) 

三橋順子

田中玲さん、いらっしゃいま~せ。

>レズビアンクラブイベントは公的書類上の性別を「女」と証明すれば入れるので

あれは不思議な仕組みですね。
あそこまで戸籍に重きを置くレズビアンて、いったいなんなのでしょう。
髭や腕毛がしっかり生えているFtMの兄ちゃんがOKで、きれいに女性化しているMtFはNGですからね。

まあ、私も昔からレズビアン系のイベントには近づきません。
歓迎されないのわかっているし。
ヘテロ(を装っている)女性の方が、私好みの「いい女」が多いの、経験的に知ってますから(笑)。


by 三橋順子 (2012-10-19 10:43) 

C Sato

こちらに移られたのですね。
楽天、て、なんとなく、会社全体が好きではなくて。

さておき、田中玲さんのコメントと、三橋さんのご返答、興味深く拝見しました。

そうなのですね。

ゲイパーティーにFTMが入れるか?
も興味がある設定ですが、

上野女史が、女子に生まれた、というだけで、同士と思う、といったコメントをされていたことを、連想しました。

by C Sato (2012-10-21 11:53) 

三橋順子

C Sato さん、いらっしゃいま~せ。
ご心配をおかけしました。なにしろ突然切られたので、読者の方にご挨拶もできませんでした。
探し出していただいて、うれしいです。
あらためてよろしくお願いいたします。

>上野女史が、女子に生まれた、というだけで、同志と思う
はい、そうです。
男子に生まれたら、それだけで(いくら女子になる努力をしても)同志と思ってもえません。

by 三橋順子 (2012-10-25 10:02) 

ビュウ

前からこっそりとブロッグを読ませていただきましたが、今回は初コメントです。

日本ではFtMが多いことについてのご見解を興味深く読みました。確かに、ご指摘のとおり、社会ではレズビアンとの区別は確立されていないことは1つの原因かもしれません。しかし、オランダを基準にして、日本を「異常」として捉えることに対してはいささか疑問に思っています。というのは、諸外国では、FtMの数字を本来より低い水準に抑える要因がないのかどうか考えてみればいいかもしれません。

英語圏のトラズジェンダー関連のウェブサイトを検索してみましたが、そこで興味深書き込みが見つかりました。「なぜMtFの方がFtMより多いのか」という質問の対して、様々な意見がありましたが、一部の投稿者は「本来同率である」としています。FtMは少ない理由として、まず「MtFに比べて性転換手術は大変」なことが挙げられています。それから、もっと興味深く、「男性的な女性」は社会の中で比較的に許容されるから、転換しなくても済むと述べられています。「女性的な男性」は非常に厳しい社会的な制裁に直面しなければならないが、男性(のよう)になろうとする女性に対しては制裁が比較的に軽いと考えられているようです。(ただ、当事者自身の意見はどうか知りたいと思います。)

日本の情勢は違うかもしれません。「女性は女性らしく」しなければという「女性性」に対するこだわりは他の国より強く残っているでしょう。「男性的な女性」に対する制裁は、女性の社会進出がより進んでいる国と比べて、厳しいでしょう。それもFtMを多くする要因として考えるべきではないでしょうか。
by ビュウ (2012-10-26 19:59) 

三橋順子

ビュウさん、いらっしゃいま~せ。

ご指摘ありがとうございます。
たしかにオランダを標準化することには私もためらいがあります。
「諸外国では、FtMの数字を本来より低い水準に抑える要因がないのか」ということ、もっと考えるべきでしょう。
たしかに、「男性的な女性」は社会の中で比較的に許容されるから、転換しなくても済む(FtMの比率が低く出る)という論理は有りうるでしょう。
しかし、その反面として、「男性的な女性」に対して不寛容な社会ではFtMの比率が高くなるという論理は、必ずしも成り立たないと思います。
というのも、「男性的な女性」に対して不寛容な社会では、女性が男性に移行して男性社会に参入することは極めて難しいからです。多くの場合、命の危険があります。
となると、FtMの比率が高くなる社会として、「男性的な女性」に対してやや不寛容ではあるが、女性が男性に移行することは許容される社会というものを想定する必要があります。
実は、私、それが日本なのではないかと思っています。
いずれにしても、この問題は、もっと考察を深める必要があります。
そのヒントをくださったこと、感謝いたします。

by 三橋順子 (2012-10-26 22:44) 

ビュウ

そうですね。つまり、表の性別と「逆の性格」を表現することに対する寛容と、性別そのものを転換することに対する寛容は、別問題だということですね。日本の社会では、FtMの場合、前者の寛容度はやや低いが、後者は比較的に高いとおっしゃっているようです。となると、一体どういう心理がそのようなことを可能にしているのでしょうか。「『男性的な女性』に対して不寛容な社会では、女性が男性に移行して男性社会に参入することは極めて難しい」のであれば、日本社会のFtMに対する態度はいささか逆説的に見えるようになります。

こうした問題を更に追及する方法としても、許容するのは社会全体ではなく、社会の中の誰かだと考えればいいのではないでしょうか。つまり、許容する主体をより特定化して、社会のあるところでは許容されるが、別のところでは許容されない可能を視野に入れることです。許容されても、それは限られた社会的な領域内の許容にすぎません。(例えば、ニューハーフ業界のように、MtFが活躍できる限られた領域は存在するが、一般社会への進出は中々難しいこと。あるいは、医学の専門家に認められているが、それは社会の他のところでは通用しないこと。)

最後に、ちょっと気になることですが、FtMよりMtFの方が多いヨーロッパやアメリカ大陸の社会は「女性的な性格」をもつ男性に対してかなり不寛容だといわざる得ません。むしろ、「女性的な男性」に比較的に寛容であるのはまさにFtMの方が多い日本です。これをどのように受け止めればいいのでしょうか。
by ビュウ (2012-10-28 11:08) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0