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思春期以前の性別違和は寛解する事例もある [現代の性(性別越境・性別移行)]

3月30日(土)

思春期までの性別違和は不安定で、思春期以降も継続するとは必ずしも限らないという説を私が支持するのは、そういう事例を実際に知っているから。

多いときには,年間1000人近くの受講生をもっていたが、その中にリアクションコメントやレポートで小・中学校時代の性別違和を語ってくれる学生がいる。

そうした体験を語る受講生は圧倒的に女子学生が多い。
たとえば、自分は男の子だと信じていて、髪を短くして黒いランドセルを背負って通学していたとか、思春期になって女性になっていく身体が嫌で嫌でたまらなかったとか、典型的な性別違和の語りだ。

ところが、そうしたことを書いてくる学生さんに実際に会ってみると、少なくとも外見は一般的な女子学生に見える。
「性別違和感、今もあるの?」と質問すると、「まったくないわけではないけど、こんな感じで女子をやれる程度になりました」とのこと。

別の学生で、かなり今風なファッショナブルな女子学生をやっている人もいた。

つまり、思春期以前の性別違和は、完全にではなくとも、寛解する例がそれなりにあるということ。

性別違和が思春期以降も継続する例と、緩和・寛解する例の例の比率は、データが少なく確かなことは言えないが、およそ半々くらいではないだろうか。

私は、性別違和が寛解して、生まれた時に指定された性別で、やっていけるのなら、それがいちばんいいと思う。
そういう事例を性別違和の治療コースに乗せてしまったら、それは間違いだ。

私が、思春期までの性別違和について、積極的な診断・治療に懐疑的で、「受容的見守りしかない」と主張するのは、こうした観察があるからだ。

ちなみに、性別違和が寛解した人は、わざわざジェンダークリニックには行かないので、医師は症例として把握できない。
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