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猫の日本への渡来についての新設 [天文・気象・生物]

1月20日(土)

猫の文化史では、日本で7番目くらいの権威である私にとっては、重要な遺伝子解析研究の成果。

猫(イエネコ)の日本列島への本格的な渡来は、約900年前の平安時代後期に九州へという説。
そして、鎌倉時代に全国に広がる。

なお沖縄への渡来は100年ほど早く、東アジアから直接渡来した可能性が強い。

日本における、最も早い猫の痕跡は、長崎県壱岐市のカラカミ遺跡(弥生時代・紀元前2世紀)で出土した猫の骨。

そして、兵庫県姫路市の見野6号墳(6世紀末~7世紀初頭)出土の須恵器にスタンプされた肉球跡。
猫足跡1.jpg
文献的には、9世紀末の『宇多天皇御記』寛平元年(889)2月6日条に見える黒い唐猫。
10世紀末、『枕草子』に出てくる一条天皇の愛猫「命婦の御許」。

これらは散発的な(個体数が少ない)渡来で、本格的な(個体数が多い)渡来は平安時代後期。
ということは、宋の商船に乗ってきたのか。

ちなみに、私の「猫の文化史」は下記。
https://zoku-tasogare-2.blog.ss-blog.jp/2013-02-14-15

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ご先祖さま、平安時代に渡来 日本の猫、まず九州に 遺伝情報から解析

現代の日本で暮らす猫(イエネコ)たちに直接つながる祖先は平安時代の九州に本格的に渡来、鎌倉時代に入って大きく増えだし、日本列島を北上するように広まった――。そんな研究成果を、アニコム先進医療研究所の松本悠貴研究員らがまとめた。現在の猫の血液などから遺伝情報を抽出、解析する手法で導き出した。20日に「コンパニオンアニマルのゲノム医療研究会」で発表する。

考古学的には、長崎県壱岐市のカラカミ遺跡から紀元前2世紀ごろ、弥生時代の猫の骨が出土。文献史料に猫が登場し始めるのは平安時代からだ。だが本格的な渡来の時期や列島各地にいつ広まったのかといった伝播(でんぱ)状況については、よくわかっていなかった。

松本さんらは全国各地の猫71匹から血液などを採取。遺伝情報を抽出し、ある遺伝子が何世代前から受け継がれている遺伝子なのか、その世代の遺伝子にどの程度の多様性があるのか調べていった。それぞれの世代の多様性の程度から、その時点で生息していた集団の相対的な大きさなどが推定できるという。

解析をすすめたところ、いま日本列島に生きている猫たちの祖先は、約900年前の平安時代に、まず九州に本格的に渡来していたことがわかった。「弥生時代はまだ散発的、限定的な渡来だったのではないか」と松本さんは指摘する。

九州に渡来した猫は徐々に個体数を増やしつつ、鎌倉時代以降に関西、中部、関東で順に広まっていった。東北、北海道で広まったのは江戸時代に入ってからだったとみられる。一方で沖縄については、本州より100年程度早く、東アジアから直接渡来していた可能性を示すデータが出てきていて、「今後さらに調査、解析が必要」とする。

また、国内の個体数が本格的に増え始めたのは約700年前の鎌倉時代からで、江戸時代に入ると「急増」していたという。松本さんは「野生では生きられない猫は、人によって各地に移入されていった。その背景や用途などについても、今後研究が進んでほしい」と話している。(太田匡彦)

『朝日新聞』2024年1月18日 16時30分
https://asahi.com/articles/DA3S15841751.html
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