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女装者のセクシュアリティ(性行動)の変容 [現代の性(性別越境・性別移行)]

1月10日(水)

「(資料紹介)責め場の女形に憑かれて -中村和美さんからの手紙-」の原稿をチェックしていて、あらためで1980年代までの女装者の性行動の活発さに驚く。

このことは、昨年3月に発表した論文「「唄子」を探して——大阪における「女装バー」の成立と展開」(『Antitled』2号、2023年3月)を執筆したときにも感じた。

性欲・性行動は、個人差が大きいし、データ化しにくいテーマだが、全体的な傾向として、激変に近い大きな変化が会ったように思う。

その理由として、HIV感染によるAIDS流行以前(before it)と以後(after it)の性行動の変化を想定した。
日本における「AIDSパニック」は1987年なので、beforeとafterの境界は、だいたい1980年代末あたりになる。
その説は、私の経験からしても間違っていないと思う。
1990年代前半にデビューした私の世代の女装者は「after it」の時代の第一世代だったから。

ただ、もう一つ、次の段階があったように思う。
それは、1990年代後半から進んだ、アマチュア女装者世界における女性ホルモン投与の流行だ。
女性ホルモンの投与は性欲の減退に直結し、当然、性行動は不活発になる。
時期的には、1996~98年頃と押さえられる。
つまり、beforeとafterの境界の約10年後だ。

この説については、もう少し検証が必要だが、1980~90年代の女装者の性行動の変容は、この2段階で説明できるように思う。

1980~90年代に、女装者のセクシュアリティ(性行動)に大きな変容があったという仮説。
それは、同時に「ペニスがある女の子」を好む男性たちの性行動の変容(衰退)でもある。
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