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「理解増進法」の法文解釈 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月17日(土)

「理解増進法」が成立したことで、今まで行っていたLGBT関係の事業ができなくなるのではないか?と不安に思っている人たちがけっこういる。

廃案を叫んでいた一部の左翼系「活動家」がそうした不安をしきりに煽っているから、そう思ってしまうのも無理はない。

しかし、理性的に法文を読めば、そうでないことは¥がわかる。

不安の根源になっているのは、再々修正案で付加された第十二条の「この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。」だが、これは「この法律に定める措置」についての留意点であることは明白である。

再修正案(自民・公明党案)の第十条1項にあった「民間の団体等の自発的活動」は再々修正案では外れたので、第十二条は掛からない。
つまり、民間の団体等が行う自発的活動は王に触れない限り、まったく自由である。

では、「この法律に定める措置の実施等」については、どうだろうか?
この点については,私見を述べるより、専門家の見解を紹介しよう。

『毎日新聞』2023年6月17日朝刊紙面に掲載された日本大大学院の鈴木秀洋教授(行政法)の見解である。
https://mainichi.jp/articles/20230616/k00/00m/010/337000c

鈴木教授は、まず新法について、
「誰の利益をどう守るのか、理念が不明確な法律になった」と指摘しつつも、「成立したからには、性的少数者への差別的状況を改善し、多様性尊重が根付く社会へ向けて具体的施策を進めるための、土台的な法律と解釈すべきだ」と捉える。

そして、
「法律の解釈は、憲法や他の法令との整合性が必要となる。憲法には『個人の尊重』や『差別の禁止』が定められ、新法の基本理念でも『不当な差別はあってはならない』とある以上、12条の『留意』規定で性的少数者の権利を制限するような解釈はできない」とクギを刺す。

学校教育については
「家庭及び地域住民の協力を得る」という条文も、「学校教育法の同様の規定は、学校教育を縛るものと解釈されていない。新法も、性の多様性に関する教育へ介入する新たな権利を与えるものではない」という。

まことに妥当な見解で、ほぼ私見と同じである。
というか、法律の構成や法文を、憲法や他の法令を視野に入れながら、きちんと分析すれば、こういう見解になる。

j結論的に言えば、民間の団体等が行う自発的活動がやれなくなるようなことは、法律上、ありえない。
国や自治体の施策も基本的には同様だが、事業がどこに委託されるかについては、選別があるかもしれない。

法文がまともに読めない「活動家」の扇動に惑わされてはいけない。


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