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性分化疾患 手術せず性別変更 [現代の性(性別越境・性別移行)]

8月20日(日)

これは性分化疾患(21水酸化酵素欠損症)の診断を受けた人が戸籍法113条に基づいて戸籍を「訂正」した事例であって、性同一性障害の人の戸籍「変更」事例と混同してはいけない。

性同一性障害の場合は、生殖能力の喪失を要件とした法律(GID特例法)が現行法としてあるので(その内容には問題があったとしても)、家庭裁判所はそれを守られなければならない。

記者は性分化疾患をずっと追っている方なので理解不足ということはないと思うが、微妙に誤解を誘うような書き方(構成)になっているのが気になる。
なにか思惑があるのか・・・。

【追記(21日)】
性分化疾患(DSD、インターセックス==IS)の人たちはもともと戸籍法113条(訂正)によって、戸籍の性別を変更することが可能だった。

(一部の)性同一性障害(GID)者の人たちは、2000年前後頃からミルトン・ダイアモンド博士の「GIDは脳のIS(のようなもの)」という学説を引っ張ってきて、「自分たちもインターセックス、だから戸籍の性別変更を認めて」という主張を始めた。

ところが、2003年に「GID特例法」が成立して戸籍の変更が可能になると、一転してISへの擦り寄りを止め、それどころか「ガイドライン」でISが診断除外になったことから、ISを忌避し始めた。

このような(一部の)性同一性障害者が自己の都合のためにISを利用し、そして捨てた没義道な態度は、当然、ISの人たちの大きな顰蹙を買った。
そのしこりは今も残っている。

今回の性分化疾患(DSD)の人の性別変更の審判に対して、その尻馬に乗って、GIDの戸籍変更要件の緩和を進めようという論理に、私が抵抗感を覚えるのは、そうした経緯を知っているからだ。

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性分化疾患 手術せず性別変更 「心の性」重視し家裁許可

男性ホルモンの分泌が過剰になる先天性の疾患により、体は女性だが自分を男性と認識し苦しんできた20代の2人に対し、家庭裁判所が2015年と16年、女性の体のまま戸籍を男性に変えることを認めていたことが分かった。
「心の性」が「体の性」と一致しない人が戸籍の性別を変更する際、日本では手術で生殖機能をなくすことが求められているが、国際的には人権侵害とも批判されている。今回のケースは今後の性別変更のあり方に影響を与えそうだ。【丹野恒一】

2人は東日本と西日本に住み、岡山大学病院を受診している。戸籍の記載の誤りは訂正できると定めた戸籍法に基づき、それぞれの地域の家裁に家事審判を申し立て、性別変更が許可されたという。

同院の大島義孝医師(精神科神経科)によると、出生時に性別判定が難しいことのある「性分化疾患」の一種、「21水酸化酵素欠損症」と診断されている。胎児期から男性ホルモンが過剰に分泌され、体が女性であることに強い違和感を持つことのある疾患だ。

両家裁は2人が既に男性として生活し、社会的な性別として確立していることなどを考慮。医療上の理由などで子宮や卵巣を摘出する手術を受けるのが難しく、戸籍上男性となっても妊娠・出産できる可能性は残しているが、問題としなかったという。GID(性同一性障害)学会理事を務める針間克己・はりまメンタルクリニック院長は「性別を判断する比重を『体』から『心』へと移した決定で画期的」と評価する。

「心の性」と「体の性」が一致しない人を巡っては、04年に施行された性同一性障害特例法で、性別適合手術で「体の性」を「心の性」に合わせることが性別変更の要件とされている。一方、世界保健機関(WHO)など国連機関は14年、手術の強要は人権侵害で、自己決定や人間の尊厳の尊重に反するとの共同声明を発表。日本でも同学会理事会が今年3月、声明を支持することを決めた。

谷口洋幸・高岡法科大教授(国際人権法)は「二つの家裁の判断がどこまで普遍化されるか分からないが、日本でも手術要件の撤廃に向けた動きが活発化してくれば、後押しする力になるだろう」と話している。

解説 生殖機能除去 重い負担

日本精神神経学会の調査によれば、心と体の性の不一致で国内の医療機関を受診した人は2015年までで延べ2万2000人以上に上る。これに対し、04年の性同一性障害特例法施行後、戸籍の性別を変更した人は16年末までに約6900人。専門家は、性別適合手術が精神的にも経済的にも負担となり、性別の変更をあきらめている人が多い可能性を示唆する。

性別適合手術は健康保険の適用外で、実施できる医療機関が少なく、タイなどで受ける人が多い。費用は国内外を問わず100万~200万円程度かかる上、術後の不調に苦しむこともある。当事者や医療関係者からは、健康な体にメスを入れることへの疑問の声も上がっている。

GID学会によると、海外では手術を性別変更の要件から除外する動きが進んでおり、既に英独仏など約30カ国では手術なしでも性別を変更できるという。日本でも近年、性的少数者(LGBTなど)の人権に関心が高まっている。「心の性」を重くとらえた今回の家裁の判断は、時代の流れに沿ったものと言えるだろう。【丹野恒一】

 【ことば】性分化疾患

染色体やホルモン分泌の異常が、卵巣・精巣や性器の発育に影響し、男性か女性かを明確に判断しづらいことのある病気の総称。成長後に自分の性別に違和感を持つこともある。日本小児内分泌学会の推定では4500人に1人の割合で生まれる。一方、「性同一性障害」は身体的には男女がはっきりしているが性別に違和感がある状態で、医学的には原因が特定されていない。

『毎日新聞』2017年8月20日 07時30分(最終更新 8月20日 09時39分)
https://mainichi.jp/articles/20170820/k00/00m/040/114000c
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ルクス

>記者は性分化疾患をずっと追っている方なので理解不足ということはないと思うが、微妙に誤解を誘うような書き方(構成)になっているのが気になる。
なにか思惑があるのか・・・。

あの人は、知識としては知っていても本当の違いは、理解してないんじゃないかな?「境界を生きる」でしたっけ?記事読む度に性分化疾患も性同一性障害も同じに観てる様に感じます。(違うけど同じ場所に居る。同じでなく狭間に生きる者と一時的に狭間に居るけど結局何時かは去って行く者との違いがある。勿論留まる者も居るけど、境界って所で多分一緒くたになってる。)

本人気は付いてないのか、判って書いてるのか定かでないけど

所詮非当事者といったら怒られるかも知れないけど、どんなに知識豊富であろうと、当事者の気持ちにより添おうとしたとしても当事者で無い者に、当事者の内側が判るわけない。

当事者から観たらそう感じる。(他の人は判らないけど、当事者同士でも判らん事多いし、私や相方は、そう感じてる。)
by ルクス (2017-08-23 00:28) 

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