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『AERA』6月12日号、特集「LGBTブームという幻想」 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月5日(月)

今日(6月5日)発売の『AERA』(朝日新聞社)6月12日号は、大特集「LGBTブームという幻想―虹の麓にある現実―」
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LGBTの光と影
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【ブーム】
「私たち『夫婦(仮)』はじめました」
トランスジェンダーとゲイの異色カップル対談
能町みね子 (漫画家)× サムソン高橋 (ライター)
「『おネエ』しかいらない ―LGBTはメディアでどう扱われてきたか―」
ミッツ・マングローブ/カルーセル麻紀/KABA.ちゃん
【政治】
「ひとつではない政治意識 ―LGBTだからリベラルというわけではない―」
【調査】
「『フレンドリー』は虹の彼方に ―本誌独自調査で見えた自治体対応の実態―」
【教育】
「『いない』のではなく『見えない』だけ ―小中学校教員の半数以上がLGBTを知らない―」
【家族】
「それでも愛して育てたい ―同性カップルが我が子と育む家族―」
【老い】
「誇りは持てた どう老いるのか ―ロールモデルなきLGBTの老後」

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19110
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私は2本目「『おネエ』しかいらない ―LGBTはメディアでどう扱われてきたか―」の中で、LGBTの(テレビでの)扱いには大きな偏りがあるという文脈でコメント。
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メディアとLGBTの関わりについて研究している明治大非常勤講師(性社会文化史)の三橋順子さんはこう指摘する。
「LGBTと言っても、バラエティーに登場するのは過剰に女らしいゲイ(おネエ)ばかり。実際にはマッチョな男らしいゲイのほうが多いのに、女性っぽいゲイしか取り上げられないことが多いんです」
今年4月、NHKの番組で三橋さんがこの問題を指摘しようとしたが、顔出しで登場してくれるマッチョ系のゲイはいなかった。それ以外にも、L(レズビアン)や女性から男性になったT(トランスジェンダー、FtM)が登場することもかなり少ない。
「日本ではMtF(男性から女性に変わったトランスジェンダー)よりFtMのほうが3倍近く多いという統計もあるんですが、FtMはテレビ的には使いづらいという認識があるようで不可視化されているんです」(三橋さん)
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『AERA』は(『AERA』好みのネタなのに)なぜか今まで「LGBT」の特集を組んでなく、ここにきて、良く言えば「満を持して」、悪く言えばブームに陰りが見えてきた「今だからこそ」の大特集という感じ。

それにしても、表紙&吊り広告のコピー「LGBTブームの嘘」はきついなぁ。

LGBT特集で、いちばん驚いたのは、巻頭のサムソン高橋さんと能町みね子さんの対談「私たち『夫婦(仮)』はじめました」。
見出しに釣られて読み出したときには、ネタだろうと思っていたが、お二人の馴れ初めがずっと語られている。
本当だったんだ・・・・・。

有益なのは、「『フレンドリー』は虹の彼方に―本誌独自調査で見えた自治体対応の実態―」。
東京都(島嶼部を除く)と全国の主要都市の首長を対象としたアンケート調査。
ほとんどの自治体が、具体的なLGBT施策をやる気がないことがはっきりわかる。
滋賀県の大津市長だけが「同性パートナシップ制度」の導入に〇をしている。

あと、「『フレンドリー』は虹の彼方に」という見出し、皮肉が効いていてすてき。

いちばん読んでいて共感できたのは、「誇りは持てた どう老いるのか ―ロールモデルなきLGBTの老後―」。
他の記事と異なり、当事者性(ゲイ)のある方の担当で、長谷川博史さんの「僕の失敗を見て学んでほしい。だけど同時に、しくじっても大丈夫だということを今、伝えなければ」という言葉がとても深くてすてきだ。

全体的な感想として「LGBTの光と影」と題しているが、実際には今まで出ずっぱりだった「光」の世界の人(キラキラ系)はほとんど誰も取材されていない。
「影」部分に焦点をあてたという点で、従来の上滑りな特集とは一味、二味違うものになっている。

私が、この頃、「潮目が変わった」と言うのはそういうこと。

6.7兆円とか「巨大な金がそこに埋まっている」と囃し立てたことが、日本の「LGBTブーム」の起点なわけだが、それから5年が経って「そこにはそんな大金は埋まっていない」ことに、大勢の人が気づいてしまった。

そうしたら、そんな景気が良いキラキラ話が続くはずもないわけで、シビアな現実(影の部分)に焦点が移るのは、むしろ健全なことだと思う。

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