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渋谷の街とトランスジェンダー [現代の性(性別越境・性別移行)]

11月7日(土)

『現代思想』のLGBT特集で清水晶子さんの論考「ようこそ、ゲイ・フレンドリーな街へ」が鋭く指摘しているように、渋谷には従来、L/G/B/Tの人たちが集えるような「場」がほとんどなかった。

LGBについては細かいことは知らないが、Tに関しては、女装系は1999年開店の「スタジオ サファイア」(11月11日閉店予定)がほとんど唯一だし、ニューハーフ系の店もほとんどない。

1960年代から女装系コミュニティが立地した新宿、ニューハーフ系の店が多く立地した六本木に比べると、その差は著しい。
戦前から「男色文化」があった浅草、戦後混乱期に女装男娼たちが集まった上野、新橋、さらには20世紀末にニューハーフ・ヘルスが多かった池袋や五反田、あるいは現代の「男の娘」カルチャーの秋葉原などと比べても、渋谷はパッとしない。

街を歩いていて、ニューハーフのお姐さんや、女装の娘を見かけることが少ない街なのだ。
そして、そういうお姐さんを好む男性もほとんどいない。

その昔(1990年代後半)の私の「路上ナンパされ率」でいうと、新宿10、六本木7、渋谷1以下という感じだ。
そのくらい渋谷の街は、トランスジェンダーと縁が薄い。

なぜそうなのかは、私も長年考えているが、納得できる理由が見つからない。
そうした文化的な土壌に乏しいとしか言いようがない。

たぶん、これからもTrans-womanは、渋谷には集まらないと思う。
街の雰囲気が、なんとなくTrans-womanには優しくなく、どうにも相性が悪いのだ。

わかりやすく言えば、先日のハローウィンの夜に渋谷に集まって騒ぐような若者たちは、同調意識が強い反面、異質なものへの排除意識が強い。
早い話、Trans-womanに対していちばん差別的なのがこの連中。
当然、Trans-womanたちは、そんな連中との接触は避けたいと思う。

もし、今後、渋谷にトランスジェンダーの文化が根付くとしたら、その担い手はTrans-manだろう。
渋谷に集まる若者たちとTrans-manとは、どこか共通する要素があって、気が合いそうに思う。

とういうことで「LGBTの街・渋谷」のTの部分はTrans-manたちに担ってもらおう。



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コメント 5

AJ

確かに、渋谷区には、文野君たちの「irodori」がありますが、現代的、「輝いているLGBT」の行くところというイメージですね。
秋葉や新宿などのサブカルの街から、若者消費の渋谷へ、というのは象徴的な気がします。
渋谷、電通、ディズニー、といった感じです。
by AJ (2015-11-08 12:41) 

三橋順子

AJさん、いらっしゃいま~せ。

考えてみれば、なにもLGBTが同じ場所に集まる必要はないわけで、シャイニーで富裕なLGB&Trans-manは渋谷に集い、古いタイプのLGBとTrans-womanは今までのように新宿をホームにし、サブカル系の「男の娘」や「女の漢」は秋葉原へ、という感じで住み分ければいいのだと思います。
同じ新宿でも、LGBは二丁目、Trans-womanは歌舞伎町~三丁目で住み分けてきたのですから。

by 三橋順子 (2015-11-08 22:13) 

ひろ

先生、お邪魔します。
渋谷はゲイの集まるところもとても少ないんじゃないでしょうか。
ゲイバー、発展場ともに凄く少ないと思います。
LGBT活動家のゲイの方以外はいないんじゃないかな(笑)。
by ひろ (2015-11-08 23:59) 

三橋順子

ひろさん、いらっしゃいま~せ。

ゲイバーは、無くはないようですが、おそらく1桁(10軒以下)でしょう。
新宿(数100軒)に比べたら、100分の1か200分の1か・・・。
だからこそ、既存のゲイやレズビアンじゃない、新しいキラキラした人たちを集めたいのでしょうね。
by 三橋順子 (2015-11-09 22:47) 

真樹猫ちゃん

渋谷界隈は、Bunkamuraを始め、よく出かけていたにょですが・・・。
確かに怪しい輩が少なく(別の怪しいのが)、地形のため視点が
変わる変化もあり散策には良いと思いみゃす。
隣接する代官山へ、駒場方面へ歩くにょもいいですにゃ。

by 真樹猫ちゃん (2015-11-14 11:30) 

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