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『朝日新聞』デジタル版「男装女装を許さない社会」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

8月10日(土)
『朝日新聞』朝刊の教育面連載「いま子どもたちは」では、7月24日から「男装/女装」を扱ってきましたが、本日8月10日紙面掲載の第12回で最終回となりました。
この連載ではドキュメンタリ構成の紙面には収まりきらない解説的な内容を、デジタル版に掲載しています。
最終回のデジタル版で「男装女装を許さない社会」と題する私の解説が掲載されました。
内容的には、第5回(デジタル版)の「『華やか』男装、『日陰者』の女装 寛容度に差、なぜ」に続くものです。
また、最後の文節は、掲載直前の確認段階で付け加えてもらったもので、「男装女子」「女装男子」の保護者の方と学校の先生方への私からのお願いです。
どうか「問題行動」ととらえたり、無理に病院に連れて行ったりせずに、冷静に見守って欲しいと思います。

なお、私の解説・コメントはこのシリーズで5度目となりました。
7月24日 第1回(紙面)「この世代ならではの文化」
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-07-24-2
7月31日 第5回(デジタル版)「『華やか』男装、『日陰者』の女装 寛容度に差、なぜ」
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01-2
8月7日 第9回(デジタル版)「今どき女装は「かわいい」が鍵」
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-08-07
8月8日 第10回(デジタル版)「女装はなぜ難しいのか」
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-08-09
8月10日 第12回(デジタル版)「男装女装を許さない社会」
合わせて、お読みいただけたら、幸いです。
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男装女装を許さない社会

明治大学非常勤講師の三橋順子さん。トランスジェンダー(性別越境者)で、女装を実践・研究している。著書に「女装と日本人」など

【原田朱美】明治大学非常勤講師の三橋順子さん(性社会史)に、男装・女装と社会との関係について語ってもらった――。
     ◇
男装女装が許されなくなった歴史上の最初の転換点は明治だと思う。欧米に追いつこうと欧米の思想を輸入した際、「男は男らしく、女は女らしく」という規範が庶民にも広まった。

次は、戦時体制になった昭和10年代から。「お国のために戦う」という時代で、男性が男性性を捨てることは許されなかった。

第2次世界大戦後、それまでの軍の締め付けが緩み、1940年代後半から50年代にかけて女装の男娼(だんしょう)やゲイボーイが出てきたが、高度経済成長期を迎えると、再び女装のブームはしぼんでいく。

高度経済成長期は、24時間働く「企業戦士」という闘争的な男性像が一般的だった。企業戦士たりえない男性は社会から認めてもらえない。一方、女性は「一般職OL」という男性を補佐する存在。こうした「企業的なジェンダー」が社会を覆っていた。

明治、戦争、高度経済成長という三つの時代に共通するのは、社会が単一化しているという点。目標に向かって一丸となって戦うというときは、単一化圧力が強くなる。逆に言うと、多様性が失われた社会。そうした時代がいったん崩壊すると単一化圧力が弱まり、男装女装のブームが出てくる。  この10年の男装女装のブームは、60~90年代に築かれた企業的ジェンダー観の崩壊の表れではないか。

男装女装を許す時代を「下り坂のダメな時代」と考えるか、「多様化を尊重する時代」と考えるかは価値観による。

連載「いま子どもたちは 男装/女装」を読んでいると、特に女装をめぐり、社会の厳しい視線が子どもたちに精神的な負荷を与えている様子がよくわかる。大人たちには、子どもたちの男装・女装を、自己表現のひとつとして受け取ってほしい。頭ごなしに否定的なとらえ方をしないでほしい。(談)

http://digital.asahi.com/articles/TKY201308090375.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201308090375

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