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東京の危険エリア [社会分析]

10月13日(土)
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記事に出ていた東京都の危険な密集市街地(113地区、1683ヘクタール)を区別に並び変えてみた。
カッコ内の数字が地区数で、その後の数字が面積(単位ヘクタール)。

墨田区 (19) 389
品川区 (23) 257
北 区 (21) 270
中野区 ( 9) 152
荒川区 ( 8) 126
足立区 ( 8) 107
世田谷区( 6) 104
豊島区 ( 5)  84
大田区 ( 4)  61
目黒区 ( 3)  47
渋谷区 ( 3)  45
台東区 ( 3)  29
文京区 ( 1)  13

意外なのは、戦災(東京大空襲)で丸焼けになった東京下町(城東地区)、具体的には江東区、台東区、墨田区南部などで、危険視される地区が少ないこと。
これは、戦後に防災を意識した計画的な復興計画(道路幅員の確保、規則的な街割)が実施されたため。

城東地区で危険視される地区は、丸焼けにならなかった(まだら焼けの)地域やその周囲、墨田区北部、荒川区に多い。

私は、上の地図でいちばん大きな赤い部分、つまり墨田区北部は必要があってかなり歩いている。
木造住宅が密集しているだけでなく、住宅街の道が細く、かつ曲がりくねっている。
素人目に消防自動車が入るのは到底無理なエリアがかなりある。

言いにくいことだが、遠からず襲来する東京直下型大地震では、消化不能な大規模火災が起こる可能性が高い。

もうひとつの危険エリアは城南、城西、城北地区の環状7号線沿線に分布している。
南から大田区、品川区、目黒区、世田谷区、渋谷区、中野区、豊島区、北区、足立区などである。

この地域は、戦災のときはまだ農業地帯でほとんどで住宅地化していなかった。
それが、戦後から高度経済成長期にかけて急速かつ無秩序に住宅地になった。
計画的な道路整備や宅地割がされてなく、かっての農道や畦道がそのまま道路になっているような所が多く、やはり、消防自動車が入れないエリアがかなりある。

数年前に「目黒区総合危険度マップ」で最高ランクの5の原町1丁目一帯を歩いたことがあるが、残念ながら次の震災では丸焼けになるだろうというイメージを強く抱いた。

東京の街は、大正12年(1923)9月の関東大震災と、昭和20年(1945)年のアメリカ軍による大規模空襲(焼夷弾攻撃)で、大規模な火災に見舞われ広範囲が焼け野原になり、大勢の人が焼け死んだ。
犠牲者の数は、関東大震災では7万人、東京大空襲では10万人余。

関東大震災からは来年で90年、東京大空襲からでも70年近くが経過している。
当然、当時、存命だった方、実際に体験した方がどんどん亡くなっている。
つまり、生の記憶が急速に失われている。

震災や戦災を体験し語り伝えてきたおじいちゃんやおばあちゃんが亡くなり、その結界、自分の住んでいる街が、大正12年、昭和20年に焼けたのかどうかさえ、知らない住民が増えているということだ。

そういう状況で、地域の防災意識を高めることはなかなか難しい。
意識を持ったとしても、高齢者ばかりの住民消火隊がはたしてどれだけ有効に機能するだろうか?

ともかく、自分たちが危険度の高い街に住んでいるのだということを住民に徹底的に周知することがまず必要だと思う。
「知らなかった」では済まない問題であることは、3・11の大震災で日本人は思い知ったはずだから。

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危険密集市街地:17都府県41市区町の197地区

地震時等に著しく危険な密集市街地(東京都)

国土交通省は12日、地震などで大規模火災が起きたり避難するのが難しかったりする「著しく危険な密集市街地」が全国17都府県41市区町の197地区5745ヘクタールに上ると発表した。危険度の高い「木造密集市街地」(木密)の中で一層危ない地区を抽出したもの。国は、こうした地区を20年度までにおおむね解消する目標を掲げ、自治体と共に建物の不燃化など対策を進めているが、財政難や住民の高齢化といった事情もあり難航している。

調査は、東日本大震災発生後に全国の市区町村に調査票を配布する形式で実施し、今年3月1日時点のデータをまとめた。木密のうち、建物が不燃化されていないことなどによる「延焼危険性」(燃え広がりやすさ)、道路の狭さや建物の倒壊を考慮した「避難困難性」(逃げにくさ)を指標に、より危険な地区を絞り込んだ。

その結果、最も広かったのは大阪府の2248ヘクタール(11地区)で▽東京都1683ヘクタール(113地区)▽神奈川県690ヘクタール(25地区)▽京都府362ヘクタール(13地区)−−が続いた。

自治体の約9割は、建物の不燃化・耐震化や避難経路・避難場所となる空き地の確保などの対策を実施中とした。しかし、避難・防災訓練や防災・避難マップの作製などは6割弱にとどまっている。

国や自治体が進める建物の建て替え促進や道路・公園整備は、自治体の財政難や所有者の資金不足だけでなく、地主や大家、居住者との権利関係の複雑さも絡み、進んでいないのが現状。高齢住民の中に生活環境の変化を嫌う声があることも要因の一つという。

国交省住宅局は「迅速な初期消火には自治会の防災訓練が有効な手段。近隣で助け合う『共助』の意識を高めることが大事だ」と話している。【樋岡徹也】

 【ことば】木造密集市街地(木密)

木造の住宅が高密度で建ち並ぶ市街地。老朽化した建物が多い上、道路が狭く、避難場所となる公園や緑地が不足している。住民の避難や緊急車両の通行が困難なため、阪神大震災でも神戸市などで壊滅的な被害が出た。延焼防止や建物の不燃化・耐震化が課題になっている。

『毎日新聞』 2012年10月12日 20時44分(最終更新 10月13日 01時46分)
http://mainichi.jp/select/news/20121013k0000m040068000c.html

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