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「LGBT理解増進法・与野党合意修正案」についての再修正提言 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

2月18日(土)

2021年6月30日に、衆議院第2議員会館で稲田朋美衆議院議員にお会いして、「LGBT理解増進法・与野党合意修正案」について、私が申し上げたことは、次の2点。

① 与野党修正案の「性自認」を自民党案の「性同一性」に戻す。
② その上で、定義をし直す。具体的には、
 「性同一性」とは、自己の属する性別についての持続的な確信をいう。

以下、稲田先生にお渡しした文書
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「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」案についてのご提案
2021.06.30
明治大学文学部非常勤講師 三橋順子(性社会文化史)

1 法律名称、法文中の「性自認」を「性同一性」に直す
・ gender identityの学術的な訳語としては、精神医学、心理学の分野で「性同一性」が使われてきており(日本語文献の初出1973年)、定義もしっかりしている。
・ それに対して「性自認」(日本語文献の初出1979年)は定義が甘く、gender identityの重要な要素である「時間的な継続性」が表現されてなく、誤解をまねく余地がある(実際に招いている)。
・ 世界のトランスジェンダーが嫌っている(止めてくれ!)のは、gender identity disorder(性同一性障害)の「disorder(障害)」の部分であり、gender identity(性同一性)の部分ではない。
・ その点、「性同一性」が「当事者に嫌われている」という「活動家」の言説は誤り。

2 第2条2項の「性自認」の定義
・ 現在の法文は「性自認」の定義がまったくの循環定義になっていて意味をなしていない。国語的にも劣悪。
・ 法文にある「性自認」「性同一性」「自己の属する性別についての認識」は、すべてgender identityの意味なので、置き換えると、以下のようになってしまう。
「gender identity」とは、gender identityに関するgender identityの有無又は程度に係る認識をいう。
・ 「性自認」を「性同一性」に置き換えたうえで、下記のように定義し直すことが望ましい。
この法律において「性同一性」とは、自己の属する性別についての持続的な確信をいう。
・ 「持続的な確信」という文言は、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号)」の第2条(定義)に「心理的には、それとは別の性別であるとの持続的な確信」と使われているので、法律間の整合性もとれる。
・ 「持続的な確信」を解説すれば、「時間的な継続性をもった安定的な意識」となる。これなら「一時しのぎ的に使われる」という「性自認」についての誤解(言い掛かり)が防げる。

以上、僭越ながら、トランスジェンダーの社会問題に長く(26年)たずさわってきた研究者としての見地から、ご提案いたしました。
ご参照いただけましたら、たいへん幸いに思います




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