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「LGBT理解増進法」案について

6月16日(水)

通常国会が閉会して、「LGBT理解増進法」は今国会に提出されることなく終わった。
成立を目指して尽力された関係者には申し訳ないが、これで良かったと思う。

理由は2つ。
1つは、野党の要求を入れて「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識」という文言が入ったのは進歩だが、基本的に「理解増進法」は、婚姻平等の早期の法制化を阻むという邪悪な目的の法案であること。

2つは、gender identityの訳語として「性自認」という定義が甘い言葉を採用し、その定義が国語としても学問的にもお話にならないくらいポンコツであること。
gender identityの訳語としては、自民党原案通り「性同一性」を用いるべきであり、その上で「性同一性」の定義をきちんとすべきである。

たとえば、「性同一性とは、時間的・社会的に同じ性別であるという感覚のこと」のように定義すれば、誤解はかなり減ると思う。

残念だったのは、法案を推進する「活動家」に、こうした疑義や改善点を顧みる姿勢がほとんどなかったことだ。

「運動」に勢いが必要なのはわからないわけではないが、時には立ち止まって考えることも必要だ。
この法案は「活動家」だけでなく、大勢のLGBT+当事者の生活に関わってくるものだけに、専門家も含め、広く意見を聞いて熟議することを望みたい。


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