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経産省職員トイレ利用制限問題、東京地裁判決要旨 [現代の性(性別越境・性別移行)]

12月13日(金)

性同一性障害の経済産業省職員のトイレ利用制限を違法とした12日の東京地裁判決の要旨は次の通り。

性別は、社会生活や人間関係における個人の属性の一つとして取り扱われ、個人の人格的な生存と密接かつ不可分と言える。個人が自認する性別に即した社会生活を送ることは重要な法的利益として、国家賠償法上も保護される。トイレは人の生理的作用に伴って必ず使用しなければならない施設であり、自認する性別に対応するトイレの使用を制限されることは重要な法的利益の制約に当たる。

被告の国側は、女性職員との間で生じるトラブルを避けるための処遇であり、庁舎管理の責務を遂行した合理的な判断だと主張する。確かに、長年にわたる生物学的な性別に基づく男女の区別を考慮すれば、女性職員への相応の配慮は必要で、日本において必ずしも自認する性別のトイレの利用が画一的に認められているとまでは言いがたい状況にある。しかし、このような事情から直ちに性同一性障害の職員に対して、自認する性別のトイレ使用を制限することは許容されず、その当否は、当該職員の具体的な事情や、社会的な状況の変化などを踏まえて判断する必要がある。

原告は専門医が性同一性障害と判断した者であり、女性に対して性的な危害を加える可能性が客観的に低いことを経産省は把握していた。原告は、社会生活上、女性として認識される度合いが高かった。さらに、国側は従業員に対して制限なく女性用トイレの使用を認めた民間企業の例を把握できた。日本においては、心と体の性が一致しないトランスジェンダーがトイレなどの男女別施設の利用について大きな困難を抱えていることを踏まえ、働きやすい職場環境を整えることの重要性がますます強く意識されるようになり、国民の意識や社会の受け止め方には相応の変化が生じている。諸外国の状況から見て取れる傾向とも軌を一にする。

これらの事情に照らせば、原告の主張する2014年4月時点で、国側の主張するトラブルが生じる可能性は抽象的なものにとどまり、原告の法的利益に対する制約を正当化できない状態に至っていた。

トイレの利用制限を継続したことは、国家賠償法上、違法の評価を免れない。

経産省の上司が「もう男に戻ってはどうか」と発言したことは、原告の性自認を正面から否定すると言わざるを得ないから、法的に許容される限度を超えて違法だ。

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