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「ディズニーリゾート」のクリスマスCM [現代の性(一般)]

12月8日(日)
少し前から流れている、今年の「ディズニーリゾート」のクリスマスCMが気になっている。
見た方も多いと思うが、こんな感じのCMだ。
「二人でよく来た場所だから、待ち合わせはディズニーランド」という若い女性(木村文乃)のナレーションでCMは始まる。
映し出されるのは、クリスマス仕様の東京ディズニーランド。
先に待ち合わせ場所に着いた彼女は緊張の面持ちだが、ワールドバザールで女友達(八木のぞみ)を見つけた途端に笑顔が溢れ出す。
その後は、ディズニーランドで一緒の時間を過ごす間に、二人の距離感は縮まっていく。
携帯電話に保存されている2年前の2人の写真を見ながら、「若いね、二人とも!」「あれから2年ですよ」「大人になりましたね」と月日の流れを語り合う。
そこに「それぞれ変わって、変わらないとこもあって。また、会えたね」というナレーション。
最後は、ワールドバザール内のクリスマスツリーの前で記念撮影。
ひとつのマフラーを二人で巻きながら、あの頃のようにはしゃぐ様子でCMは終わる。
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女友達との久しぶりの再会の様子がリアルで(実際、木村と八木は久しぶりの再会だったとのこと)、東京ディズニーリゾートで「ココロの距離が近くなる」というテーマがしっかり描かれていて、CM自体に問題があるわけではない。

しかし、バブルの余韻が残る90年代前半の日本のクリスマスを知っている老人には、かなり感慨深いものがある。
あの頃、若い男女のカップルが、東京ディズニーランドで遊んで、「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ」とか「ヒルトン東京ベイ」とか、舞浜の高級ホテルでお食事して、そのままお部屋へ入ってベッド・インというのがクリスマス・デートの理想形だった。
そこまでお金をかけられなくても、クリスマスの東京ディズニーランドは男女のカップルでいっぱいだった。
もし、その中に女の子同士の2人連れがいたとしたら、(レズビアンならともかく)かなり惨めな気分にならざるを得ない雰囲気だったはずだ。
もちろん、東京ディズニーランドも、そうしたカップル客をターゲットに宣伝を盛んに展開していた。
聖夜のディズニーランドは男女のカップルの聖地だったはずだ。

その頃に比べると、クリスマスのディズニーランドは女友達同士で、というCMは、なんという変化だろう。
まあ、恋愛至上主義、異性愛絶対主義の後退と見れば、悪い方向性ではないとも思うが、商業主義の権化のようなディズニー・リゾートが、そんな先進的なことを考えてるとは思えない。。

聞くところによると、実際に、女友達同士、あるいは男友達同士の客が増えているそうだ。
一昔前なら、男友達同士でディズニーランドに行くなんて(ゲイならともかく)、自らが「恋愛弱者」であることを世間に触れ回るようなもので、絶対に有り得なかった。

もう、ディズニーランドは、カップルで行くところではなくなったのだろうか。
というか、ディズニーランドでデートできる男女のカップル自体が、現実にかなり減ってきているのだろう。
ディズニーランド側も、そこらへんはしっかりリサーチしていて、減り続ける男女のカップルをターゲットにすることに固執するのは、営業的に得策ではないと判断したのかもしれない。

ところで、昨日、両国駅から乗った総武線電車の中で、「糞、リア充め、爆発しろ!」という、かなりはっきりしたつぶやきが聞こえてきた。
声の主は20代の学生風の男性で、彼の視線の先には、座席で身体を寄せ合う男女のカップルがいた。
「許せん、365日、呪い続けててやる」と、さらにつぶやき続ける彼のどす黒いオーラに、まったく関係ない私まですっかり気押されてしまった。
一昔前の若い男性なら、「来年のクリスマスには、俺も素敵な彼女を・・・」とポジティブに思ったはずだ。
うらやむ気持ちはあっても、少なくとも呪いはしなかった。
そこまでネガティブではなかったと思う。
でも、現代ではカップルは、呪いの対象になってしまう。

携帯電話、Eメール、ラインetc、コミュニケーションのツールは格段に進化したはずなのに、なぜこんなにも恋愛が困難になってしまったのだろうか?
せっせとラブレター(手紙)を書いて、目指す相手を攻略した経験をもつ老人は不思議に思う。

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コメント 10

丁字屋

あのころ 生殖年齢に達していた者として激しく同意

アノ時代の男を この時代に持ってきたら。。。。
「精子脳」と揶揄されてしまいそう


by 丁字屋 (2013-12-09 06:20) 

マミー

初音ミクの『祝ってやる!』そのものですねっww
一時、私もこの歌面白いな〜とおもって聞いていました。
   ♪リア充〜ど〜もめ〜のろいた〜い〜♪
『呪ってやる』じゃなくて『祝ってやる』なんていいではないか、ワハハ〜。 そう言えば、かなり昔ですが、学校から帰って来て、ワイドショーみてたら、富士の樹海の自殺者のこととかやっていて、リポーターがマジで(このように呪ってやるなどと落書きがしてあります)と、よく見ると『祝ってやる』だってー。死ぬ直前にまで漢字まちがえないでよね、ったくダサイなーもう。
by マミー (2013-12-09 12:31) 

月村 朝子

CMに男女のカップルを登場させない点について・・・三橋さんのご指摘を読まなければ、ほとんど疑問を抱かずにいました。

若い仲良しの女性二人を登場させれば、シングルの男女が見ても、恋人がいる男女が見ても、・・・子どもから大人まで、ほぼどの層からも「ほほえましい」と受け止められるからかな?と思いました。また、今年大ヒットしたNHKドラマ「あまちゃん」の主役コンビにならったのかな、とも思いました。

あと、SNS等のツールの発展が恋愛を難しくしている気もします^^;私はそれが原因でふられたことがあります。とくに見かけと内面(SNSの投稿内容など)にギャップがある人間は、・・・幻滅されがちです(苦笑)
by 月村 朝子 (2013-12-09 16:59) 

カナッペ

わたしはこのCMを観るたびに同性愛(女性同士)を感じます。
確かにおっしゃる通り、商業主義によるよるものでしょうが、欧米のでこのCMを流したどうなるんだろうかと・・・
女性に関しては同性愛に寛容な国なのではないかと思います。
男性同士バージョンが放映される日が来ればよいのですが、そこは欧米文化の差前線のパークなので。。。(-.-)

by カナッペ (2013-12-09 18:52) 

三橋順子

丁子屋さん、いらっしゃいま~せ。
あの頃のクリスマスの雰囲気を知ってれば・・・・ですよね。
by 三橋順子 (2013-12-12 02:51) 

三橋順子

マミーさん、いらっしゃいま~せ。
「呪ってやる」と書いたつもりが、誤字って「祝ってやる」…。
久しぶりに爆笑でした。
ありがとうございました。
by 三橋順子 (2013-12-12 02:53) 

三橋順子

月村朝子さん、いらっしゃいま~せ。
世の中が、「男女カップル」よりも「女の子二人組」を好ましく思う方向に変化しているのではないかと、何となく感じてました。
(「男の子二人組」いまだに駄目ですが)
それが、このCMではっきりしたという感じでした。
おっしゃる通り「あまちゃん」のラストシーンも「女の子二人組」で、男女の恋愛成就ではありませんでした。
まあ、「恋愛至上主義の行き詰まり」と言えなくもない現象だと思っています。
SNSでの恋愛、なかなか難しい問題も多いですね。
誰とでもつながりやすくなった半面、一点集中ができなくなったような…。
by 三橋順子 (2013-12-12 03:00) 

三橋順子

カナッペ さん、いらっしゃいま~せ。
おっしゃる通りで、欧米でこのCMを流したら、レズビアン・カップルと思われても仕方がないと思います。
男性同士バージョンがあったとしたら、すごく「オタク」っぽい映像になるような気がします。
by 三橋順子 (2013-12-12 03:02) 

Gen

「糞、リア充め、爆発しろ」
怖いですね~。
いつからこういう他者の幸福をはっきり妬む層が出現したのでしょうね。
インターネットはこれまで見えなかった人々の本音を表面化し、そのことによって不必要な摩擦を生んでいるように感じています。
なあなあでなんとなくやってたところを無にしてしまったというか・・・。
でも彼女欲しいなら頑張ってみればいいのに、と私などは思います。
妬む側に行ったら一生縁がなくなっちゃうじゃないですか。
若くなくて、お金持ちじゃなくて、当世風でなくてもカッコいい人間っていますけどね、結構。
ゲームとか上手ならそっち極めて自分を磨けばいいのに、と思います。
オタクの方が平均的な人より魅力感じることよくあるのに、もったいないなぁ・・・。


仕事でたまに休日の京葉線に乗るとディズニーランド行きの人々でぎっしりになり、帰りも彼らと同じ電車に乗ることがあります。
カップルより家族連れって感じしましたね。
昔はバブリーでしたね。
そういうデートには全く興味がなかったですが、学校関係か職場の人々と行った時、アトラクションのお姉さんのハイテンションぶりとゴミが出ると即座に回収する係の方に圧倒されたのを覚えています。

CM気付かなかったけど、同じマフラーを二人で巻いてたんですか??
それはちょっと恋愛関係を暗示してるみたいですね。
私は結婚かなにかで境遇が変わった二人が再会して旧交を温める、的な話かと思ってました・・・。
by Gen (2013-12-13 02:28) 

三橋順子

Genさん、いらっしゃいま~せ。
>いつからこういう他者の幸福をはっきり妬む層が出現したのでしょうね。
>インターネットはこれまで見えなかった人々の本音を表面化し、そのこ>とによって不必要な摩擦を生んでいるように感じています。

まさにその通りだと思います。
以前は他者の前で口にするのがはばかられた「妬み」の感情がインターネットを通じて安易に発信されるようになり、それが普遍化してそまた現実化しているという構造だと思います。
そうした回路は、「嫉妬」だけでなく「差別」感情についても同じ状況があるように思います。

と、ここまで書いて思いついたのですが、恋人がいて、そんなりに充実した生活をしている「リア充」は、今や少数派(マイノリティ)になりつつあるということです。
そう考えてみると「リア充」批判言説が強まりつつあるのは、マイノリティに対する差別感情と無関係ではないように思います。


by 三橋順子 (2013-12-16 13:50) 

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