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北斎の傑作肉筆画「隅田川両岸景色図巻」、100年ぶり発見  [お勉強(博物館・美術館)]

3月4日(水)
昨年3月の喜多川歌麿の「深川の雪」に続き、またも行方不明だった浮世絵の傑作の再発見。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-03-02-3
しかも、今回、見つかった葛飾北斎(1760~1849)の「隅田川両岸景色図巻」(文化2年=1805)は、北斎壮年期の傑作で、長さ6m以上に及ぶ大作。
柳橋から舟で隅田川をさか上り、新吉原遊廓に向かう瓢客(ひょうかく=色里に遊ぶ男)の目に映る隅田川両岸の風景を描写し、最後は新吉原での遊興の様子を描く。

舟に乗る形で視線を移動させながら、遷りゆく両岸の景色を描く方法は、当時の流行で、円山応挙「淀川両岸図巻」などがある。
北斎にも『絵本隅田川両岸一覧』(刊年不詳、壮年期40~47歳の作品)という隅田川周辺の風俗を描いた狂歌絵本がある(上中下3冊計25図)。

自治体の公共美術館に収蔵されるのもうれしい。
見るのが今から楽しみ。

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↑ 葛飾北斎「隅田川両岸景色図巻」(両国橋付近)
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↑ 葛飾北斎「隅田川両岸景色図巻」(吾妻橋)
葛飾北斎「隅田川両岸気色図巻」(三囲神社・右奥と牛嶋神社付近).jpg
↑ 葛飾北斎「隅田川両岸気色図巻」(三囲神社・右奥と牛嶋神社付近)

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北斎の傑作肉筆画、100年ぶり発見 「隅田川両岸景色図巻」墨田区が公開

江戸時代後期の浮世絵の巨匠、葛飾北斎の壮年期の肉筆画の傑作で、100年以上も行方が知れなかった幻の図巻「隅田川両岸景色図巻」が発見され、4日、東京都墨田区が報道陣に公開した。
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「隅田川両岸景色図巻」より吉原室内

この図巻は、縦28.5センチ、長さ6メートル33.5センチ。両国橋の近くから隅田川を舟で上って吉原に向かう両岸の景色と、遊郭での遊興場面を、彩色豊かに描いている。

1805年(文化2年)、北斎46歳ごろの作で巻末には北斎が用いた「画狂人」の印が押されている。制作依頼者は江戸の戯作者、烏亭焉馬(うていえんば)で、後半の落款にその制作事情を北斎が記している。

1892年、東京・上野で開かれた浮世絵展に出品された後、海外に流出、1902年フランスで競売にかけられた記録が残るが、その後は行方不明だった。

鑑定に当たった北斎研究の第一人者、永田生慈氏は、「陰影を用いた実景描写や遊興場面の色彩感がすばらしい。保存状態がきわめて良好で、北斎壮年期の肉筆画の最高傑作の一つ」と話す。

墨田区は約1億4900万円で購入する手続きを近くとり、来秋にも開館する「すみだ北斎美術館」で一般公開する予定。
『日本経済新聞』2015/3/4 12:12
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFG04H0J_U5A300C1MM0000/
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100年ぶり発見の絵巻に北斎の自画像?
葛飾北斎「隅田川両岸景色図巻」(新吉原室内)2.jpg
↑ 葛飾北斎「隅田川両岸気色図巻」(吉原室内)拡大
見つかった葛飾北斎の肉筆画「隅田川両岸景色図巻」の最終場面、吉原室内。杯を手にした男性が北斎である可能性があるという(東京都墨田区提供)

江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎が46歳のころ手掛けた肉筆画の傑作で、明治期から100年余り所在不明だった絵巻物「隅田川両岸景色図巻」が4日までに見つかった。墨田区は都内の美術商から近く購入し、来年秋にも開館する「すみだ北斎美術館」で一般公開する方針。画中には壮年期の自画像の可能性がある男性も描かれており、新たな謎としてファンの関心を集めそうだ。

この作品は1805(文化2)年の制作で、縦28・5センチ、長さ633・5センチ。区によると、浅草・柳橋から船で隅田川を上り、吉原遊郭に向かう途中の風景や吉原での遊興の様子が時系列に描かれている。絵巻物の最終場面には、吉原の室内での遊興の様子が描かれており、その中央には、遊女4人に囲まれて酒を飲む男性の姿がある。

1965年に刊行された「浮世絵芸術」には、19世紀フランスの浮世絵研究家ゴンクールの著書「北斎」の翻訳が紹介され、この男性について「画中ソクラテス風の頭、上を向いた小さな鼻、人をばかにしたような目、茶褐色の着物を着て酒杯を前に差し出している酒飲みは北斎であると信ぜられる」といった内容の記述があるという。

墨田区によると、北斎壮年期の自画像作品は他になく「北斎か否かを検討する余地がある」としている。区文化振興財団の根岸美佳学芸員は「これまであまり知られていなかった北斎の交友関係も明らかになるかもしれない」と話している。

この作品は1892(明治25)年に東京・上野の浮世絵展に出品された後、1902年にフランスの国立競売場で売却されたのを最後に長らく記録が途絶えていた。2008年にロンドンで競売にかけられ、墨田区の調査で所在が判明した。購入費用は約1億4900万円で、寄付金を充てるという。

北斎研究の第一人者で、鑑定を担当した同区芸術専門員の永田生慈さんは「陰影を用いた独特の描写は、北斎の他の肉筆画には見られない。署名などから制作年や発注者が判明している点でも貴重で、色彩や表具の保存状態もすばらしい」としている。
『スポーツ報知』2015年3月4日20時7分
http://www.hochi.co.jp/topics/20150304-OHT1T50136.html
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