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知らなかった・・・刑法93条(私戦予備および陰謀罪) [事件・事故]

10月6日(月)
日本人にもいろいろな人がいる。
私が知っているセクシャルマイノリティの人で、わざわざユダヤ教に入信した人もいる。
ユダヤ教の教典である『旧約聖書』は、同性愛者、異性装者・去勢者は認めないのに。
まあ、信教は自由だから、自分を否定するような宗教に飛び込むのも自由。
批判はしないが、理解はできない。

だから、イスラム過激思想に染まる日本人がいても驚かないし、いずれ出てくるだろうと思っていた。
オウム真理教の過激思想に染まった人間、しかもかなりの高学歴者が、あれだけたくさんいたことを思い出せば、不思議でもなんでもない。

しかし、無知なことに「私戦予備・陰謀」の禁止という刑法の規定(刑法93条)があり、外国で行われている戦闘に加わろうとすることが、それに引っかかるとは知らなかった。
(私、養老律はちゃんと勉強したけど、刑法は全部は読んでません)

ん? 待てよ。
過去に、フランス外人部隊に加わっていた日本人がいたような記憶があるぞ。
それに、傭兵会社を作ってシリアの最前線に行った湯川遥香さんは、この条文に引っかからないのだろうか?
自首したら免刑というのも不思議な規定だな。

そもそも過去にどれだけ適用例があるのだろう?
空文化していた古めかしい条文をイスラム国対策で掘り出してきたような気もするな。
刑法に詳しい方、教えてください。

(参照)刑法93条(私戦予備および陰謀)
外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁錮に処する。ただし、自首した者は、その刑を免除する。
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「イスラム国」に加わろうとした疑い 日本人学生を聴取

中東の過激派組織「イスラム国」が活動するシリアに渡り、イスラム国の戦闘に加わろうとしたとして、警視庁は6日、日本人の北海道大の男子学生(26)から、刑法の私戦予備・陰謀の疑いで事情を聴いたことを明らかにした。公安部によると、学生は「『イスラム国』に戦闘員として加わろうとした」と認めているという。公安部は同日、関係先数カ所を家宅捜索し、イスラム国に関する求人に関与した日本人がいるとみて調べている。

イスラム国をめぐっては、欧米などから戦闘員として多くの若者が合流しているとされる。こうした若者が帰国後にテロを起こす懸念があるとして、国連安全保障理事会は9月の首脳級会合で具体的な措置を各国に求める決議を採択した。各国は法整備などを検討し始めている。

刑法は、外国に対して私的に戦闘行為をする目的で予備または陰謀をした者について、3カ月以上5年以下の禁錮に処する、と定めている。
『朝日新聞』2014年10月6日22時10分
http://www.asahi.com/articles/ASGB66614GB6UTIL062.html?iref=comtop_6_02
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コメント 6

hiro

いやーさすがにこれは刑法学者でも分からんでしょうw
うーん、私も院まで法律の勉強をしましたが初めてです。
判例も裁判例も無いでしょう。
しかし、条文がある限りは適用できるので。
ちなみにフランスの外人部隊は交流のあった国立大学の同じ流派で空手をやってた子が入隊してます。
NHKのドキュメンタリーでかなり時間をかけて紹介されていましたが。
日本人も常時10名前後いるようです。
習志野にいる人間に聞いたら、自衛隊の中でも意識の高い人間は民間軍事会社等に入社して、実践を積んできてるようですよ。
ただ今回のはw
興味深い話には違いないです。
by hiro (2014-10-07 02:34) 

うぐいす

いつもブログを読ませていただいています。

私も大学で法律学を専攻していましたが、刑法93条はあまり記憶にないですね…国家の存立などに影響を与える罪については、講義で全体像と各条文をひととおり触れる程度、詳しく学ぶことはまれだと思います。

刑法93条は国交に対する罪の一つとして定められています。
国家の意思とは異なる行為を国民が行うことによって、外交上の問題が発生することを防ぐのが目的の条文であると思われます。

もともと起こる可能性が非常に低い状況設定ですから、実際に適用された例は皆無だと思います。
93条に関する判例が全くないのが証拠です。
空文化していたというより、適用できる状況が発生したので適用したという感じではないでしょうか。

また、外国人部隊にいた人や傭兵については、罪になるのかどうかははっきりしません。
罪になるという考え方と罪にならない考え方の両方あるようです。
確立した通説がないので、はっきりと「こうだ」とお答えすることが難しく、もどかしい思いです。
by うぐいす (2014-10-08 00:53) 

三橋順子

hiroさん、いらっしゃいま~せ。
大学院まで法律の勉強をされた方でも「知らなかった」とうかがい、少し安心しました。
第81条「外患誘致罪」は量刑が死刑しかない条項として知っていましたが、第93条「私戦予備・陰謀罪」は小耳に挟んだ記憶もなかったもので・・・。
今回の学生、思想的背景はほとんどないようなので、野次馬としてはちょっと気抜けしました。
by 三橋順子 (2014-10-08 13:18) 

三橋順子

うぐいすさん、いらっしゃいま~せ。
丁寧なご解説、ありがとうございます。
「私戦予備・陰謀罪」、「国交に対する罪」の中の1つというところに、どうやらポイントがありそうなこと、条文を単独ではなく、並べて読んで理解できました。
外国人部隊や傭兵について、適用か否か学説が分かれるというのも、そもそも判例がないからなのですね。
今回の学生も、思想的背景は乏しいようなので、たぶん逮捕・起訴にはならないでしょうね。
by 三橋順子 (2014-10-08 13:22) 

丁子屋

こんばんは
 右な方たち(中には「議員」さんもいたような)が 尖閣諸島上陸というか接近を図ることが一時流行った?ことありました。
 ああいう行為とその結果として中国と揉めたら(先方から言えば領海侵犯のだ捕であるから抵抗となる行為)私戦と呼んで良いのでしょうか?
 日本政府としては日本の領海内で、外国が自国民に危害を加えた行為であります。が、揉めるのを承知というか それを目的に抗議活動したら「私戦」?

 私戦の定義は、どうなっているんだろう?
by 丁子屋 (2014-10-08 21:56) 

三橋順子

丁子屋さん、いらっしゃいま~せ。
国家間の戦闘行為に対して、「外国に対して(個人や集団が)私的に(行う)戦闘行為」を「私戦」と言っているのだと思います。
「私戦」を行う場所については、条文からは読み取れませんが、国外を想定していると思います。
国内で外国の侵略に対して戦うことは自衛行為で禁止する必要はないと思います。
by 三橋順子 (2014-10-09 21:40) 

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