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外反母趾の話 [日常(髪・爪・肌・ファッション)]

7月26日(金)
暑い季節になって、女性のサンダル姿が多くなった。
オープン・トゥ(爪先が開いた)のサンダルだと、指の状態が見える。
昨日、東急東横線で渋谷に出ようとしたとき、左斜め前の席に座っている女性の足の指に目が止まってしまった。
親指の付け根の骨が異様に突出している。
そして、親指やその隣の指が外側(小指の側)に斜めに傾いでいる。
その角度がすごい。
典型的な、というかとても重度の外反母趾だ。
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↑ ほぼこんな感じだったが、もう少し外反が強かった
その女性は薄茶色に髪を染め、きちんと化粧し、足の爪にもちゃんと手入れをして、オレンジ色のペテキュアをしているが、肌の状態からして、60代後半から70代ではないかと思う。
もう1人、右斜め前の女性もオープン・トーだったので、さりげなく観察すると、最初の人ほどではないが、やはり親指がかなり斜めになっている。
こちらの人は、私とほぼ同年層(50代後半~60代前半)だと思う。

わずか2例の観察だが、そこで思ったのは、私と同じか上の世代(50~70代)の女性の外反母趾率って、かなり高いのではないだろうか、と気になった。
子供の時から、ずっと靴を履き続け、女性として社会に出てからは、なにも疑問を感じることなく、ハイヒール・パンプスを履き続けた世代だ。
換言すれば、女性性(女性ジェンダー)の表現型の一つとして、ハイヒール・パンプスを履くことを社会の中で求められてきた世代ということ。

私は、大学のジェンダー論の講義の中の「ファッションとジェンダー&セクシュアリティ―装いと身体の間―」の講義で、身体加工に言及している。
身体加工のうちでも、前近代の中国女性たちが強いられていた纏足に注目していくうちに、纏足のレントゲン写真と、ハイヒールのシルエットが形態的にそっくりなことに気付いた。
SCN_0051 (3).jpg
また、都留文科大学でいろいろお世話になっている山本芳美先生の論文「装いとジェンダー―纏足とハイヒールとコルセットとブラジャーと-」(都留文科大学ジェンダー研究プログラム七周年記念『ジェンダーが拓く共生社会』論創社 2013年3月)を読んで、ハイヒール着用の「見えない強制」の結果による外反母趾は、ある種の身体加工なのではないかと確信を抱くようになった。

もちろん、纏足は身体を加工することを目的としているもので、外反母趾はハイヒール着用の結果であり、その点で両者は異なる。
しかし、ジェンダー的な要請が身体の形に影響を及ぼすという点では同じなのではないかと思う。

ちなみに、私の足指は、写真のとおり、ほぼまっすぐだ。
P1040017 (2).jpg
ただ、子細に見ると、わずかな外反がある(写真の右足より左足の方がわかる)。
こういう足だと、市販のおしゃれなパンプスはほとんど履けない。
通りかかった家猫さんの足を見せてもらうと、親指の外反はほとんど認められず、しかも足指の間にわずかだが隙間があり、縄文人足に近い。
こういう人も、パンプスは履けない。

逆に言えば、外反母趾にならないと、パンプスは履けないということだ。
足の形を靴に合わせなければならないって、変ではないか。
そういう靴を平然と作り売り続ける靴業界の構造、おかしいと思わないのがおかしいと思う。

なぜ、外反母趾になることがわかっているのに、一部の女性はハイヒール・パンプスを履き続けるのだろうか?
それが、女っぽく、きれいで、素敵だから?
では、それが女っぽく、きれいで、素敵だと、いつ、だれが決めたのか?
女性は、そう思い込まされ、騙されているのではないだろうか?
ハイヒール・パンプスを履いている人は、もっと疑った方がいいように思う。
ああ、こういう「余計なお世話」を書くから、ますます読者が減っていくのだな。

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コメント 4

ぶり

ご無沙汰してます。外反母趾は、足に合わない靴を履き続けとなってしまいますね。
解剖学的に言うと、足裏の筋肉群が筋力低下し、足裏のアーチを作れなくなること、特に足指達つけねの横アーチが弱るためですよね。アーチを形作るため、足指じゃんけんや足指だけでタオルをたぐり寄せるストレッチを毎日続けていると、なんとかなります。そして、姿勢とも大いに関係ありまする。
実は、長年のデスクワークで猫背だったのを治そう、着物をスッキリ着たいと始めた日舞ですが、解剖学的知識の蓄積が多いバレエ、大人のためのバレエレッスンにも最近並行して通い始め、真直ぐ立ってまっすぐ歩くを少しずつ実践中です。それで判ったことは、腹筋、ハムストリングス、内転筋、足裏筋肉群を鍛えることでした。
順子さんも若い頃はスケートで鍛えていたでしょうが、最近は運動不足ではないかと思い、ウォキングでも何でもか始められてはとお勧めする次第です。記事の趣旨とずれた偉そうなコメント、相すみません。
by ぶり (2013-07-27 11:57) 

MIKA

若いころからハイヒールが苦手で、息子が生まれてからは、冬はスニーカー、夏はぺたんこサンダルが基本のわたしの足は、ちょっと外反母趾的な部分はあるものの、ほぼ順子さんと似たような感じです。むかしから、とがったつま先の靴って苦手で、自分で選ぶときはいつも丸いつま先のものを選んでました。それが功を奏しているのでしょうか(^_^;)。
by MIKA (2013-07-29 09:40) 

三橋順子

ぶりさん、いらっしゃいま~せ。
コメントありがとうございました。
ご指摘の通り、若い頃、スポーツをして鍛えた貯金はとっくに使い果たし、運動不足と加齢、さらに女性ホルモン投与による筋力低下がかなり進行しています。
外出時は、駅までの往復だけで3km、その他を入れると4~5kmは歩いているのですが、それだけでは駄目みたいです。
あと、なんとも時間的な余裕がないのが・・・。
by 三橋順子 (2013-08-04 02:55) 

三橋順子

MIKAさん、いらっしゃいま~せ。
健全な足で何よりです。
内のパートナーは、ほとんどスニーカー、もしくは先が丸い靴ばかりなので、見事なまでにまっすぐな足指をしています。
本当はそれが健全なのですが、なぜか「女性としては駄目」という烙印を捺されてしまうのが日本の現実なのですよね。
by 三橋順子 (2013-08-04 02:59) 

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